Intake and exhaust syatem

=吸排気=
・ケイヒンPJ38.3(フォーランナーバルブ)
・ショートインマニ
・K&Nエアエレメント
・ストローカーエキパイ&アルミフランジ
・Powerd Muffler Mk.V
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

エンジンはパワーの源ですが コレを最大限性能を引き出す需要なパートが

吸入系であり排気系です。

Carburetor

PJキャブは1985から採用され1998まで2ストレーサーに装備されていました。

吹き上がりの良さ、レスポンスが鋭いのが特徴で実質のベンチュリー径よりも

全開時 同じベンチュリーであれば通常のPEキャブの2〜3mmアップの充填効率があります。

2ストに付いていますが ただでさえ4ストに比べレスポンスが良いのに

それを更に引き立たせるのがこのPJキャブです。

キャブレターの構造に詳しい人であれば その“造り”を見ればどのような特性になるかは一目瞭然。

スロットルバルブの厚みが薄ければ薄いほどレスポンスが良くなるという特性で

スロットルバルブのセンター軸をエンジンに近づければ近いほど コレもレスポンスが良くなります。

今まで様々な形式のキャブレターを試してきましたが その“レスポンス”の良さは

PJキャブを超えるものはありませんでした。
(FCRとの比較がよく出てきますが キャブ構造を見ればこの比較は愚問)

当時エンデューロでもオープンクラスはモトクロッサーでもエントリー出来た為

必然的にライバルは2ストモトクロッサー250cc(車重:100kg前後 パワー:50PS前後)になり

ストレートスピード コーナー立ち上がりの加速では従来の4ストは置いていかれます。

4ストが苦手なその部分を補う為に PJキャブ・ハイカム・ボアアップ・フライホイル超軽量加工などを

駆使して 同じ1周でも離される事無く同じようなラップを重ねられるようになったのです。

当時XR250R(ME06)に270cc・ハイカム・通勤快足セット・エキパイ&マフラーを組んだ車輌が

CR125R(車重:88kg パワー40PS)と加速・最高速共にまったく同じ性能でありました。(実際検証済み)

当店に来られて試乗車に乗ったユーザーさんならエンジンのメリハリの違いは体感して頂けたでしょうが

誌面などではパワーチェックグラフを見る限り“ウチの売り”はなかなか伝わらないのが残念です。

下の矢印の回転上昇タイムは表示されません、ゆっくり回っても速く回ってもグラフの表示は同じです。

こんな伝わり難い事に力を入れて来ました。

「よ〜いドン」で違いを発揮出来るのです。

=本当の話=

昔 某モトメンテ誌からキャブ比較の原稿を書いて欲しいと依頼があった。

快く引き受けて CV PD PWK FCR PJの5種類キャブを用意した。

それぞれ目的があってメーカーが設計・製作したものであり構造・特性を解説。

フル加速してどのキャブが一番速いかを主眼において比較した。

CV < PD < PWK < FCR < PJ と結論付け 原稿を寄稿した。

1ヵ月後 雑誌が発売 送られてきた。

内容を確認すると

CV < PD < PWK < PJ < FCR と内容が変更されていた。

即 編集室にどういう事かと問い正すと

「いや そっちの方がウケが良いから」と・・・

私の名前で出ているので 次号で訂正・お詫びを出してくれ と言うと

「訂正しません」との事・・・

最後の砦だった某モトメンテ誌もこのテイタラク、

雑誌を作っている奴ら全般 言葉は良く知っているがバイクの事を知らない事に驚く。

ソレ以来雑誌の取材はすべてお断りするようになった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

メーカーのカタログ値から“狙い”を読み取る事が出来る。

排気量397.2cc 最高出力 (PS/rpm) 40/7,500  キャブレター型式 PD36

以前紹介した適正ベンチュリー計算式から算出すると

7.500rpmで最大パワーに必要な口径はФ43.7mm

市販車の多くはこの数値から低速狙いの為 2〜3mm絞られたキャブが採用されている。

実際付いているキャブはФ36で 逆算すると5.100rpmでベストとされるベンチュリーです。

一般ユースを考えると実にブン回さなくても扱い易い設定と言う事が読み取れ

パワー数値だけではなくトルク数値の兼ね合いもありますので

オフロードユースを考え 低中速重視のセッティングと言えるでしょう。

当店はPJ38.3を400R用に採用していますがPDキャブに換算するとФ41.3に相当します。

↑上記の理想値の2.4mmダウンと言う事は400Rに相応しいキャブと言えるでしょう。

------------------------------------------------------------

そこで“地上最強のXR400R”を製作するにあたりPJキャブは外せません。

手持ちの中古ケイヒンPJ38.3(パワージェット付)をオーバーホールを兼ねて

リビルトしていく事にしました。

ただパワージェットはこの車輌の場合必要ないので通常のPJとして機能するように本体を加工する事無く潰します。

パワージェットの機能もすばらしいので いずれ元に戻せるように。


パワージェットはまだ新品が出るので既存のジェットにハンダを流し込みルートを遮断します。


ソレノイドバルブを外し「メクラ蓋」を製作 今回はドライカーボンで作りました。

まず現状を見ると


フロートとバルブの接触部分が凹んでいます。

あまり前例がありません。

まだ補修パーツが出ますので♯2バルブ ♯3フロートを交換します。


♯8 チョーク&アイドリングノブ

部分が擦れて下手っていればアイドリングの不安定化 エアスクリュの位置が決まらなくなります。


ノブの頭が割れているので新品に交換。

あと♯6エアスクリュ(生廃) ♯18・12パッキン(生廃)も交換

♯7スロットルバルブはフォーランナーバルブ加工を施します。

♯29ネジ ♯17・22ホースも新調


ヒューエルホース・エアベント・オーバーフローパイプ新調

------------ Subsequently -----------

セッティングは全てやり直しと 取り付けにあたりノーマルに比べキャブセンターを

15mmエンジン側に寄せられるようになった為(超ショートインマニ)

キャブボディに旋盤加工が必要になります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

キャブレターのオーバーホールと組み付け

入替えるパーツを揃えます。

・フロートガスケット ・チョークノブ ・スローJ ・エアスクリュ ・ニードルピン ・ドレンO-リング

・フロートバルブ ・フロート 他、ネジ エアベント・ドレンチューブ


各ポートが貫通しているか確認後 スロー&メインJ取り付け


フトート&バルブ組み付け後 油面の調整


フロートガスケット入替え


チョークノブ&エアスクリュ組み付け


加工済みカッタウェイ ニードルピン


組み付け完成

アタッチメントは通常のモノより面積が大きく取れるのでヒートシンクをイメージしスリットで表面積を増やした。

吸入空気の温度には爆発圧力が大きく響く 大きな効果は期待出来ないが

少しでも出力アップに寄与出来る事があればやっておくのがチューナーの魂


ヒューエルホースに薄型クランプ

------------ in addition to that -----------

「三種の神器」と重複しますが

=インマニ長=

XR400R:63mm ショートインマニ:38mm

25mmもの短縮に成功しました。
(この数値がどれほどのモノか分かる方は猛者です)

=実際やってみた事=

PJキャブをXRにボルトオンの装着する時にコネクティングチューブとキャブの間にアタッチメントを

製作します、キャブを可能な限りエンジン側に寄せ取り付ける為です。

XR600Rでこのアタッチメントをエンジン側に加工し取り付けるとどんな感じになるかやった事がある。

実質15mm後ろにオフセットする事になります。

そしてその体感はアレだけレスポンスが良かったのが 負圧キャブのように一テンポ遅れて

反応がドヨ〜ンと悪くなってしまいました、

まだノーマルキャブの方がレスポンスが良いぐらいまで下がってしまいました。

それだけキャブ位置が重要な意味を持ってくるのです。


↑:ノーマルインマニ                    ↑:ショートインマニ

コレによりPJキャブの歯切れ良さが更に強調されるようになり

加速Gは2割増しほどの体感があります。

------------------------------------------------------------

Air cleaner element

やはりダートを走ると言う事は埃が大敵です。

この埃がエンジン内に入ると ペーパーでシリンダーを磨いているのと同じ事で圧縮が一気に落ちるような

磨耗を起こしてしまいます。

抵抗の少ない湿式エレメントがお勧めです。

XRはトレール車の中でもエレメントの大きさは大きい方ですが

モトクロッサーに付けるようなドロドロのオイルは厳禁です。

エレメントの組織まで潰してしまうので抵抗がかなり大きくなり混合気が濃くなります。

多少トルク感は出ますが レスポンスは落ちるし燃費も悪くなるのです。

ウチのメンテ方法はエレメントをガソリンで洗い硬く絞ります、掌に乗る程度の4サイクルオイルを

エレメントに満遍なく広げます。そのエレメントを乾いたウェスで汁気を吸わせ乾かしてください。

そしてエアクリーナーBOXに装着します。


Exhaust system

もうひとつ軽量化の為に造ったのではありませんが シングルで効率の良いパワーを

引き出す構造はメガホンが一番です。(‘96以降のXRもそうなっています)

その特徴は2ストのチャンバーと同じ役割で 入り口のテーパ角と出口の絞り角、

そして内部容量で特性が決定されます。

そのメガホンにする目的はアクセルのツキを良くする事と回転上昇時間を短くする事、

そのパワー感が強烈な事、

そして高回転を延ばす役割を持たせる事です。

要は俗に言う「ドッカンパワー」化を引き出すのが目的です。

当店オリジナルPowerd Muffler は消音材で消音しているわけでなく 構造で消音しているので

経年変化で音量が大きくなる事はありません。

近年レースでも街乗りでも音量規制があります。

今まで様々な外品マフラーやワンオフで作ってきたマフラーはフルパワーを出せば 音量で引っ掛かり

レギュレーション内に消音すればパワーが下がっています。

ユーザーさんから「静かでパワーがあるマフラーありますか?」と聞かれますが

「ありません、どちらかを選んでください」と答えるしかありませんでした。

PJキャブを装着の場合 ソレがはっきり分かります。

音量規制が無かった頃のフルパワージェッティングはもう分かっていて

音量規制をクリアするとジェッティングは絞らなければカブってしまうのです。

ウチのオリジナルマフラーが始めてフルパワーで音量規制をクリアしました。

そして共振しない厚みでジュラ材を使い 内部構造が仕切り板は無く

簡素なメガホン構造であれば軽くビルドアップする事も分かっていました。


左 XR400R:ノーマルマフラー 3.15kg

右 Powerd Muffler:脅威の1.5kg(市販マフラー最軽量)

マフラーが軽いと言う事はリアサスの動きに大きく影響してきます。

フレームの末端が重いと重量の慣性が大きいので小刻みの動きが緩慢になります。

XR400Rのリアストロークはモトクロッサー並みの300mmを誇ります。

そのストロークを有効に動かす為にも一役買うのです。

また前軸重と後軸重のバランスがややフロント寄りになる事でギャップやジャンプで

マシンコントロールが容易になるメリットもあります。

ノーマルXR400R 前軸重:後軸重比率 8:7

------------------------------------------------------------

Headers

エキパイには集合部分が早いタイプ(当店オリジナルが出来る前に使っていたものです)
‘98年式までの特典 ショートタイプスチールキックアーム
エンジンはまだ手を入れていませんがHRCフルキットは入っています。

エキパイもシングルながら排出口が2本ある構造です、ホンダは2気筒の形式を流用した構造になっています。

左右のパイプ内の脈動波を集合部分で互い違いに流す事で その脈動波を緩和しています。

エキゾーストの特徴としてはノーマルのエキパイからマフラーエンドまでの距離を基準として

限度はありますが 短い傾向に振ればレスポンスが向上し上が回り難くなります。

長く距離を取ればレスポンスは落ちますが高回転は延びる特徴があります。

そして2 in 1の集合が早い方がレスポンスが良く 遅いとレスポンスは鈍くなります。

その代わり高回転が延びる事も特徴です。

従来のXRはエキパイでレスポンスを向上させ マフラーで高回転を延ばすと言う組み合わせで来ましたが

スーパーXRは逆でエキパイで高回転を担当し マフラーでレスポンス向上の役割をさせていて

トータル的には従来と同じ特性を狙ったものです。このメリットはマフラー容量を小さくする事で

軽量化が出来る為です。しかし総評するとそのマフラー容量が小さい為上が延びなくなっています。

今回の排気系のラインとしては従来の役割に戻し エキパイでレスポンス、マフラーで上を延ばす

構造で組み上げます。


=END=