270ccベースのお任せ田口仕様

<<インプレ>> お任せ田口仕様

VITAL田口様

お世話になってます。

お任せ田口仕様の感想を、送付させていただきます。

車両を引き取り後、冬季でもあり じっくり慣らしができました。

(桜の蕾も膨らんできましたので、)そろそろ調子を上げていけそうです。


感激一・・操作性向上で乗り易い! 本物のプロが組上げると、こんなに乗り易いのかー。操作し易い=速い!

感激二・・始動性が向上。 エアスクリューの兼合いも考えられますが、氷点下6度でも キック3回以内で必ず始動する。
      よって自分の体の暖機は、自分で行わなければならない。(ラジオ体操第一、真冬の早朝は +第二)

感激三・・加速。 ドッ と 力強く押進められるも フルフラットで滑らか。いつの間にか、かなりの速度になっている。
      ロータリーエンジン? レーシングクランク、バランス調整諸々のお陰で、不快な振動は皆無。

      構成部品の勘合を見ながら組上げられていますので、アイドリングも静か。
      当に 『エンジンの音が出る電動モーター』 です。

感激四・・クロスミッションは、意思通りの加減速をしてくれるので、自然に体(感覚)に馴染みます。シフトチェンジが面白い!

全体的にマイルドに仕上げていただきましたが、柔じゃない。歯応えがあります。完成度は素晴しい。

これまでの装備+今回の仕様 = どれも良い仕事をしてくれます。

機関にも勝る性能の 商標:猫足デルタリンク、フロントフォーク強化ステージT、リヤビックローター等々

トータルバランスを熟考されたレイアウトのお陰で、 超快適に速く走れます。疲れない。疲労度が格段に違います。

故に同じく、自分も成長してきた・・・ような。 以前は、我武者羅でしたが、今は妙な余裕があります。

大人の貫禄 ってな訳なく、転倒が怖いだけの小心者。(余談でした)

これらは単気筒バイクをも網羅、熟知された田口さんならではの技です。

車両購入当初は、ポテンシャル設定の低さに落胆。 あるべき姿に戻すべく、給排気、足回り、軽量、欲張って機関までに

手を付けてみる決意をしたものでしたが、早い時期に VITAL田口さんに辿り着け幸運でした。 

巷のバイク屋、各種情報に見切りを付けていた時期でしたし、ズバズバッ、サクサクと商売に関係ない質問、

愚問にも回(快)答してくれる 懐の深さに惹かれました。 引き続き、恩恵に与らさせていただきます。

次回の目標は、軽量です。 ご指導、宜しくお願いします。

稚拙ですが、インプレまで。

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この車両はMD30モタードですでに270通勤特急になっております。“Bulletin Board”の「判断に苦しむ事例」で

入庫したもので どうせやるならと言う事で今回の仕様になった訳です。レーシングクランク、男のクロスを含んだ

全バラ作業から始まります。

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まずミッションのチェック方がた クロスミッションに組替えて行きます。

ギアのフェイス面も荒れは無く良い当たりが出ている。270までにはこのクロスが実に有効な仕事を

してくれる。競技は勿論 峠やワインディングでキビキビ反応するようになる。


Lケースに高速ベアリングを挿入 ドライブシャフト及びその他のベアリングのチェックも忘れずに。
(触ってみてベアリングの良し悪しの目安が分からないとお話にならない)

ベアリング類は挿入時 基本的には衝撃を与えてはならないので細心の注意を払い作業を行う。

エンジン回転高速化に伴い回転抵抗に大きく貢献するブリーザー拡大加工も施した。

またゴミが溜まる部分も要チェック。

※3万キロ以上 ノーオーバーホール車両に多く見られるのにクランクケースのメインベアリングをはめる部分が

開いており 通常圧入するべきものが簡単に外れる現象が見られる。この場合ケースだけでなくクランク、ミッションに

おいてもガタが出ているもの多く見られる。こういう車両にはクランクセンター出ししても意味が無い。


ウチではクランクを触る時バランサーのバックラッシュギアは必ず外します、コレを外してもガタは出ないし

音が出ることも無い。外す事によりME08のバランサーよりも軽くなる。


軽量を兼ねた270に合わせ重心移動したレーシングクランク
(レーシングクランクはセンター出しもされてる)

ケースに収める訳だがココが最大の肝。センター出しされたクランクは単品だと少しの衝撃でも簡単にずれてしまう。

L&Rケースを完全固定出来るまでが勝負となる。クランクのセンターがケースの合わせ目に合うよう挿入する。


バランサーのタイミング合わせはクランク側の合いマークとバランサー側の合いマークがバッチリ

合わないといけない、勿論ゲージでクランクの上死点を出した上での事だ。ノーマルベースでは

まずピッタリ合っているものは皆無。これをピッタリに合わせるのだ、これでXRを製作した首脳陣の

設計通りに仕上げる事が出来 振動も大幅に軽減出来る。


シフトフォークの曲がりも必ずチェック 蟹の爪両サイドの当たりも忘れずに。


Rケースも同様ベアリングのチェック この車両はすでにセルレスになっているのでカウンターシャフトR側の

ベアリングが要注意 必ず荒れる。コレも例外無く荒れていた。

そしてRケースを合わせる訳だがセンター出しされたクランクの場合 抵抗無く合わせ目までスコ〜ンと入る。

ケースの加工精度が高いからだ、しかしこのケースはのこり5mmほどで抵抗が・・・


おかしい。仮組してミッションやクランクの作動を確認してみるとどうもミッションの動きが少し硬い。

メインシャフトを回しながらシフトが入る事を確認していると上映像↑のカウンターシャフトが振っている。

この車両は以前キックギアが破損しRケースまで入替えた事がある。おそらくその時に曲がったのだろう。

そしてミッションを入替えたことによりバックラッシュが狭くなり渋りが発生したと考えられる。

作業やり直しを行う、早速カウンターシャフトを手配しミッション入替え。ついでにメニューには入れて無かったが

ギアシフトフォークガイドシャフトを新調し バフ仕上げする事でフォークの動きが軽くなりシフトのタッチが

向上する、コレも加える事にする。


各シャフトを入替えると 本来以上の軽快な動きに戻った。

ドライブシャフトもスルスル回り シフトもパドルシフトのようにスコスコ入る。

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すでにこの車両はセルレスになっているのでフライホイルのワンウェイベアリングは外されている。

その重量は1.300g


アンダーカムスプロケットをクランクの合いマークに合わせ 強化カムチェーンをセット。


クラッチハウジングに段付が・・・ 1回だけなら修正可能、本来ならGHA加工ハウジングがお勧め。


ハウジングを修正後 センターカラーを交換、このカラーはオーバーホール毎に交換しておかないと

ハウジングが振ってしまいます。このカラーにバフを掛け加工を施し摺動抵抗を軽減させる。


すでにGHA加工アルミクラッチは組込済み、今回はFCCクラッチディスクもヘタリが見られない為このままゆく。


クラッチのクーリング&潤滑 供給向上の為 オイルポートを追加加工を施した。


プラス クラッチレリーズ延長加工も。
(フロントスプロケットカバー同様 作るのが面倒なのであまり注文しないように)


270cc(鋳造製)の1オーバーサイズピストンにコンプレッションスリット&サイドスリット加工。

それに近年出来るようになった270ccピストンピン軽量加工。ピストンピンに給油するオイルポート

増量加工も加えておく。また高回転対応の為ピンサイドにケース内に通じるポートも加工しておいた。

リングの組み方でノーマルの場合と高速(レース用)は異なる、この場合は高速対応で。


シリンダーボーリングは勿論 超細密ボーリングを実施。

鋳造ピストンは鍛造のクリアランスの約半分でOK。ノーマル同様オイル消費は少ない。


バルタイミング調整の為 実際の上死点をゲージで確認 フライホイルに刻印。

------------ and -----------

いよいよ終盤にかかって来ました。ヘッドポーティングに入ります。


あまり詳しい映像は勘弁頂きたいがポーティングにも目的に応じて様々なやり方がある、この度は

モタードなのでロード仕様で削ってみた。かつて有名どころのポーティングも数多く見てきたが「ほ〜」

と思える加工は見た事が無い。バリを取ったぐらいでポーティングとはおこがましい。

出力の大半はヘッドの良し悪しで決まる。


そして ヘッド冷却の為のディンプル加工、ちまちました作業だ。


バルブ軽量&ポリッシュラウド加工

このヘッドは以前リテーナーが割れてバルブが脱落した第一号であった、その時ポート側のガイドが

割れていたので交換したが 今回バルブシートカット&摺り合わせを行う時にそのガイドが甘くなって

いた。入替えたガイドがダメになっていると言う事はもう純正パーツは使えない。そこでガイド自体を

作り変える事となった。バルブの当たりは気密性を上げる為にレース用の細目を選択した。

そのバルブも勿論 新調。MD30のヘッドはME08に比べ 釜圧が甘いのが玉に瑕だ。


バルブスプリングに関してはチタンリテーナー付きの強化バルブスプリングを採用。


カムスプロケットは急激な回転の上昇によるシナリを防止する強化軽量タイプを投入。


ヘッド カムを取り付け、カムについてはすでに進化型HOTCAMが入っている。

バルタイ調整については詳細は書けないがタイミング命となる。

なお強化6mmロングスタッドボルトもネジが舐める前に入れるのがミソ。

※シリンダーもヘッドもマニュアル通りのトルクではありません。


すでにセルが無い為 レイアウト距離が短いME08のオイルパイプに入替え。


ロッカーアームもそれぞれ軽量加工、シャフトは軽量タイプに入替え。


ヘッドカバーを取り付け タペット調整とダイレクトイグニッションシステム用に

プラグを調整し取り付け 完成。


では無く エンジン各部に配している6mmボルトをアルテックボルトに総入替え。

そしてフロントスプロケットは純正MD30の音止めゴム付ではなく(抵抗になる為)

ME08用で取り付けボルトは頭が小さい8mmを採用。


アルテックボルトに入替える際 通常ボルトで組み上げた後 落ち着いたところで1本1本入替える。

その際 緩み止めのワッシャと組み付けグリスを塗付し適正トルクで組み上げる。


必要な部分はすべて入替え 完成。


ワンオフでGHA加工はしていないがオーバークーリングシュラウドを製作。


ユーザーさんの希望でPJキャブに整流板も設置。

以上でパワーユニットは完成した。

エンジン搭載の折 軽量スィングアームシャフトと軽量フロントエンジンマウントに入替える。

このエンジン製作総費用は¥570.000‐也


17インチ用のフロントフェンダーがマッチしてカッコイイ。


------------ END -----------

エンジン製作中思った事だが コレでもRVF250Rには程遠い仕様だ。
果たしてRVF-Rは幾らかかっているのだろう。