PGC10・KPGC10のエキゾーストマニホールド(タコ足)は日産スポーツコーナーの
パーツ群の中にも記述が無い。(432用は有り)
一般ユーザーにはエキパイはノーマルを使い それ以降はレース用補強パーツを付けろということだろう。
レーシングマニュアルにはノーマルエキパイの補強の仕方は書いてある。
しかし日産ワークス車にノーマルエキパイは有り得ないだろう。
私は当時の画像を見てみてもワークスエキパイが写っているものがまったく無い。
凄く気になって仕方が無い。
ユーザーの中でも知らない(興味が無い)人がほとんどだろう。
かつてワークスマシンのR38シリーズは造りは一貫していた。
独立型等長式 R380〜383同様モナカ型合せ彫金等長管
俗に言う“もなか型”である。
プリンスR380 MkT
ニッサンR381 MKT
ニッサンR382
ニッサンR383
“モナカ型合せ彫金等長管”は言うまでも無いが板を調金し合わせパイプ状に造るものだ。
パイプをベンダーで曲げて造った方が早くてコスト的にも良い筈だ。
しかしワークスマシンには必ずこの手法のエキゾーストマニホールドが付けられている。
と言う事は必ず性能的なメリットがあるに違いない。
おそらく手曲げにせよ 機械曲げにせよ 曲げた部分に痩せが出るからだろう。
それにしてもかなり高度の彫金技術だ 見るだけでも凄い技だ。
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日産スポーツコーナーオプションを個別に見てみよう。(カタログ画像)
240・280Z用(当時7万円)
280Zクロスフローヘッド用(当時20万円)
432R用(当時5万円)
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S20型エンジンノーマルエキパイ
以前S20型エンジンのエキパイをL型エンジンに加工して付けようとそれぞれを用意して比べてみた。
同じ直列6気筒 爆発の順も同じ。
ヘッドへの勘合部分の形状が違うだけで形状はほとんど同じであった為計画を断念した経緯がある。
S20型エンジンノーマルエキパイ
PGC10・KPGC10(共用)
♯14002−A0205
KPGC110
♯14002−R5500
Z432
♯14002−E4202
同じS20型エンジンでも3種三様
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=レア画像=
LY28用エキゾーストマニホールド
Z432レース用エキゾーストマニホールド
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あの渡辺コレクションのHT・GT-R(日産スポーツコーナー製作)にはどんなものが付いているのだろう。
画像から見て取れるエキパイは“もなか型”ではないだろうか 流石日産スポーツコーナー製作車。
唯一過去の画像コレクションの中にS20型エンジン用日産ワークス“もなか型”があった。
滅多にお目に掛かる事が出来ない“逸品”だ。
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私にとってL型エンジンを載せているハコスカ“GT-改”にレアエキパイは
日産スポーツコーナー ♯14004−E4620 だ。
↑:日産スポーツコーナー L6用エキゾーストマニホールド 原型
240・280Z用エキゾーストマニホールド(出口もなか構造)
一般社外品で昔から量産されているエキパイはこのコピー品だろうが 排気ポートの段付きを無くす配慮に欠ける。
その日産スポーツコーナー ♯14004−E4620 でも初期型であろう画像がある。
同じエキパイと思えない手間が掛かっていて細かいところにも配慮が見える。
上の♯14004−E4620(シルバー)は簡略化された量産型に見える。
LY型エンジンにもかなり興味はあるが 約50年前のものであっても実績は疑いないものだ。
ターンフローヘッドであればこう言う部分にも拘って欲しいものだ。
日産ワークスが造るエキゾーストは一貫して集合まで最短距離で等長だ。
勿論それには理由がある。
まさかタコ足の特徴も知らず 見た目で選んだり ショップにお任せなんてボンクラユーザーは居ないと思うが・・・
エンジンフィーリングの理想は下からトルクがあり パワー曲線がフラットであり 高出力
アクセルレスポンスが鋭い などなど 実に都合が良いものだ。
これらを実現する為に各メーカーの開発部は各パーツに特徴と役割を十分把握した上で作り上げている。
それには並々ならぬ人力と巨費が投じられているのは言うまでもない。
市販タコ足にも様々なものが出ている。
L型にしてもS20にしても多くはとても良いとは思えない(私見)。
勿論 製作にあたりテストを繰り返しパワーチェックを行ったものだろうが
パワーチェックグラフに唯一表されないのが回転上昇タイムだ。
等長である事は最低限の条件だが“うねりたおした”長いモノはかなりレスポンスがボケてしまう。
そして必要以上に太いもの(吸気と排気には黄金比がある)。
エキパイだけでもこのような特徴があるほか レスポンスを損なうもの
・ファンネルが長いもの ・インマニが長いもの ・キャブ口径が理想値より大きいもの(理想値は計算で出ます)
・フライホイルが重いもの ・オーバーラップが広い尖りカム など思いつくだけでもこれだけある。
日産ワークスはやはり集合まで短いつくりが主力だ。
レスポンス重視だが高速域は別の部分でちゃんとカバーされている。
エキパイだけでも選ぶのに見る目が要る。
今までチューニングされたL型もいろいろ乗ってきたが(お決まりのソレタコデュアル)回転をある程度キープしていれば
そこそこレスポンスは良いが アイドリングより少し上ぐらいでぐっと踏み込んでついて来るものはまず無い。
コレは当たり前ではない。そんな組み方をしているからだ。
日産ワークスのパーツは50年前とはいえ現在市販されているパーツに比べ
見習うべきノウハウがてんこ盛りだ。
日産スポーツコーナーのパーツにしても同様。
多くのユーザーは古臭いものより今の方が良いに決まっていると思っているに違いない。
それらを見抜く目を養って欲しいものだ。
------------ Bonus -----------
S130Zに乗っている時 カメアリオリジナルのタコ足を装着した事がある。
付ける前に構造を見ると見えない部分も排気抵抗にならないよう配慮されていた。
付けてすぐ体感出来たのが出足などの回転域が明らかにトルクが増している。
それとアイドリング時 2ストのチャンバーのような「コリコリ音」。
この作りも最短距離を狙った等長エキゾーストマニホールドだ。
------------ result -----------
今の私の仕様はただスペースの問題とあえてHJG46Wを付けている為
「イカ足」になっている。
来るべき日の為に日産スポーツコーナー ♯14004−E4620は温存。
ただ排気出口のマニホールドの裏に6発とも“のどちんこ”の凸がある。
これはあえて排気抵抗を付け低速のトルクを増す為のものだ。
排気量増大もありこの部分は削り取るのと内壁と段合わせのポート研磨 、抵抗が無いように加工はしている。
以上のようにカタチあるものには意味がある それらを理解し自分が思うエンジン造りをして欲しいものだ。
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