1969年11月頃の記事                   
(AUTO SPORTS)










A550Xの中の“R”構想










フェアレディの中でも432Rは生産台数がおよそ30台

超希少車としてマニアの間で広く知れ渡っているフェアレディZ432R。
このクルマはフェアレディZ432をベースにレース用にチューニングされました。
60年代末期から70年代初頭にかけてフェアレディシリーズのフラッグシップモデルであったZ432の中でも
非常に希少価値の高いクルマです。ボディには標準モデルよりも0.2ミリ薄くした0.6ミリの鋼板を使用しています。
その結果ベースモデルよりも100kg近く軽量化に成功しました。
またベースモデルより40L増量した100Lガスタンクを搭載しています。
ボディカラーは日産グランプリオレンジの一色のみです。
またフェアレディZ432Rの”432”という数字は搭載されているS20型エンジンの特徴でもある
”4バルブ3キャブレター2カムシャフト”から命名されています。

フェアレディZ432Rは当時のフラッグシップモデルであったZ432のレース仕様として販売されたにも関わらず、
10台ほど売れ残ってしまったそうです。その理由は諸説ありますが、
販売当初レース仕様のため公道での走行もできず、車検すら受けることが出来なかったことが大きな要因でしょう。

またレースのために徹底的な軽量化を図った事により、ヒーターがオプションだったりダッシュボードや
ベンチレーションホールが装備されていなかったりと、実用性が低かったことも原因かもしれません。
また、Z432Rよりもあとに発売されたフェアレディ240Z-Gの方がレース実績が良かったことも考えられます。

フェアレディZ432Rは売れ残ってしまったとは言え大変魅力的なクルマです。
「車検を通さない」とい条件でユーザーに販売したり、軽量化のためにレースで不要なものは徹底的に排除したり…。
まさにレースのためだけに振り切って作られたクルマですね。
その”潔さ”が日産ファンの心に強く残っているのではないでしょうか。

Z432が150万で“R”は35万アップだった。


Z432の方がKPGC10より10kgだが車重が重い事に驚いた。
KPGC10のメーカーデータで0→400m加速:15.6秒

上記の「目立った活躍はありませんでした」は余りにも不見識

確かにZ432Rの活躍期間は短く240Zに移行していった。

1969 11月 Z432発売

1970 1月 鈴鹿300km自動車レース 3位

1970 4月 レースドニッポン6h 優勝

1970 5月 鈴鹿1000km自動車レース 優勝

レースは結果だが多くのZ432が活躍している。

このZ432Rだけが異例の企画だった 他に例が無い。

ボディ鋼板を変えるという事はイチから生産ラインを異にしなければならない。

日産としてはかなり気合が入った企画の“Z432R”だったが・・・

この432Rが好評であったなら製作手法は240Zにも受け継がれて行っただろう、

GTRにも同様の仕様があったのではないだろうか。GT-R“R”(ダブルアール)

PGC10Rと活躍が同世代

黒沢選手の印象として

「4ドアは割と乗りにくいクルマで、後ろが落ち着かなくて。剛性がなかったんだよ。
剛性をもっと上げたいって言っていたんだけど、結局、重くなるからっていうので、
櫻井さんたちも剛性強化には反対していた。
軽量化しながら剛性を出すというのは、まだまだ出来ない時代だったんだよ。

ホイールベースが長いこと自体は悪くはないんだけども、ドライバビリティや安定性が悪いっていうのは、
ホイールベースが長いからなおさらボディの曲げ剛性とねじれ剛性が出てなかったんだと思う。
つまりバランスが悪かった」と。

こう言った理由でPGC10モデルでは432Rのようにボディ鋼板を薄くしたりと言う構想自体は

考えられなかったということだったのだろう。

またKPGC10R・240Zでも同様の構想は無かった。



逆に考えればKPGC10のフレームは剛性があったという事だろう。
(ボディのみの重量はフェアレディの方が軽い)

=参考=
KGC10 車輌重量:1130kg 前軸重:630kg 後軸重:500kg
240ZG 車輌重量:1010kg 前軸重:530kg 後軸重:480kg
S130Z 車輌重量:1225kg

メーカーのカタログにはレース仕様の記載はあったが・・・

432Rで100kg近くの軽量化が実現したのであれば KPGC10であれば1.000kg

ここまで踏み込んだGTRがあればまた様々な展開があったかもしれない。


いずれにせよ Z432Rは走り本位の日産が本気で作ったマシンに変わりない。

非常に希少なレーシングマシンだ。

=END=