先日「スカG 王座奪還なるか」であった記述の文中でスカGファンとしては引っ掛かるものがあった。
スカGって 懐かしい呼び方


‘72 日本グランプリ GT-Rがロータリーに負けた以降 メディアの風向きが明らかに変わった。

その特徴の一部

↑上記筆者によればGT-Rの開発テンポはかなり“のろい” とある。

この記述は看過出来ない

一方 別誌では3年5ヶ月で14秒もタイムを縮めた と ま反対の評価。

例えば軽量化するのに様々な部分を出来る限り肉落としして

結局数グラムしか軽くならなかったとする それを「たった数グラム」と言い捨てるようなもの。

一歩引いて考えるとTV・新聞を含めたメディアは隣国の風潮に似ている。

「その時強い親分に取り付いた時は一生懸命持ち上げるが 

もっと強い親分が現れるとそちらに鞍替え 前の親分を徹底的に叩く」

今もそれは変わらないようだ。

「負ければニュースになる」とまで言われた常勝スカイラインの存在が憎たらしくなってきたのだろう。

時間が経てば 歴史が評価するのだ。

この筆者は残る活字を生業にしている自覚が無いようだ。


そんな事はさておき

富士スピードウェイ 6kmフルコースでのタイムが比較しやすいだろう。

S20型エンジンの原型となったGR8型エンジン

R380はどうだったのだろう 調べてみた。

富士スピードウェイ6kmフルコース

2分の“壁”


Nissan R380A MK.U

R380A MkU エンジン出力:220HP 車重640kg 

1968 10/20 NETスピードカップ 北野元 1:59.170

------------------------------------------------------------


Nissan R380A-MK.V改 ⇒ R380シリーズの最終型

R380A-MkV改 エンジン出力:250HP 車重660kg

1970 9/6 富士インター200マイル 北野元 1:58.120

ちなみにR382開発時期と同時にR380‐MkV改も更なる改良が行われていた。

------------------------------------------------------------


240Z

240Z

1971 4/25 富士GC第1戦(富士300km) 高橋国光 1:59.160

------------------------------------------------------------


ワークス最後のGT-R

GT-R エンジン出力:264HP 車重935kg

(参考:1969 5/2 JAF GP クラブマン 4DRGT-R 藤田 2:13.420 
デビュー戦はレギュレーションでワークスドライバーの参加は出来なかった)

1969 6/29 富士300km 黒沢元治 2:12.184 ⇒ ワークスドライバー初レース
 ↓
1972 10/9 富士マスターズ250km 黒沢元治 1:59.70

3年4ヶ月を経て 12秒484短縮

------------------------------------------------------------


------------------------------------------------------------

[ワークスドライバーの技量があってでのラップタイムと言うのが大前提で]

R380は言うまでも無く純然なるレーサーで車重は軽く 出力も250PS前後は出ている、

大きく有利なのはボディ形状の空気抵抗の差

R380A MkU:エンジン出力:220HP 車重640kg 
R380A-MkV改:エンジン出力:250HP 車重660kg
KPGC10R:エンジン出力:264HP 車重935kg

レギュレーションで許された車重は918kgだがそこまでの軽量化は出来なかった、

ボディ形状はハードトップになって改善されたが原型は箱型 空力には不利である。

それらのハンディがあるのにKPGC10Rは最終2分を切った。

トータルの性能やバランスがかなりの高次元な域に達していた事になる。
タイヤの進化も大きいと思うが

------------------------------------------------------------

後に試作されたL24型エンジンを積んだKPGC10R

単純には比較出来ないが両車の重量差はエンジン S20はL24より20kgも重い。


少しでも空気抵抗を低減する為 ボンネットやドアの継ぎ目にガムテープで塞いでいる。


S20よりL24の方が低中速域のトルクがある 立ち上がりはL24に分がある。
富士の4.3kmコース向き

L型エンジンを積んだKPGC10Rの画像はこの2枚しかない。

積んであるL24型エンジンはノーマルのターンフローヘッドにキャブ仕様

表示出力も236PSと特段のチューンされているとは思えない 無難に出る出力、

エンジンパワー的にはまだまだ延び代がある。

もし時間的な余裕があれば ニッサン特殊車両部第2特殊車両課が本気で

取り組む事になれば・・・

フェアレディZ432Rと240Zは活躍時期がかぶる。

Z432Rは活躍時期が短く 早いうちに240Zに移行したところをみれば

L型エンジンに勝機を見たということだろう。(クラスはひとつ上になるが)

しかしニッサンワークスは最後までブレなかった。

上記記者のように勝てれば何でもいいという事ではない。

KPGC10R(S20型エンジン:1.989cc)でないとGT-Rではないからだ。

=END=