前述の高橋国光選手のインタビューの中に下記↓の記述があった。


↑上記高橋国光選手のインタビューにその一端が垣間見える。

フェアレディZ432RのS20型エンジンもスカイラインGTRのS20型エンジンも

高回転域で振動が凄かった と当時のプライベーターの証言がある。

この時点でノーマルクランクでは有り得ない回転域だと気付かされた。

というのも 以前にも紹介した記事に


Z432に限らずスカGRも同様 ドライバーによってはS20型エンジンは諦めて 
別のエンジンを載せ変えて出ていたと言う。

S20型エンジンのノーマルは高回転回せば振動が大きく出る。

この高周波な振動があちこちに悪さをする。

そして無理して回し続けると“ポン”とブロー

振動が出る時点で回り難くなるのは必然で 吹き上がりにも影響する 12.000rpmも回る訳が無い。

このレーシングクランクが出来る前は10.000rpmも回せば ワークスでもクランクプーリーのねじが緩む事象が多発した。

しかし表向きこのワークスクランクの記述は無い。

ワークスS20とプライベーターS20は決定的にココが違うのだ。

最終その12.000rpm回しても壊れなかったと証言されている。
(ピークパワーはおそらく9.000回転台で出ていると思われる)

↑上記の 走る 壊す 走る 壊す を繰り返す事で 「何故壊れるのか」を追求

ニッサン特殊車両部第2特殊車両課 の開発人はそこに気が付き試行錯誤を繰り返したのだ。

別項でワークスS20型エンジンに施されたものがあります。

ワークスGT-Rで分かっているチューニングパート
   部品または部位 → 主要対策
 エンジン関係  クーリングファン → 径の短縮 → 削除
 フライホイル&プーリー → 軽量品
 コンロッド&バルブ → チタン合金製
 エアファンネル → チタン合金
(125mm)
 ラヂエター → アルミ製3層
 エキゾーストマニホールド→軽量品ショートタイプ
 
(集合まで730mm)
 SPL;ヘッド シリンダー&スリーブ
クランク

この中でさらっとクランクと書いてあるが高回転エンジンの根っこは“クランク”が肝、

センター出しは言うまでも無く 今で言う「動バランス」(ダイナミックバランス)が取られ

それもどんどん精度を上げていった 且つ軽量化も施されている。

高回転エンジンの天敵は「振動」なのだ。

宝石のような「S20型エンジン」とは言えど あくまで量産車(大量生産)だと言うのを忘れてはならない。

パーツ一つ一つには設計上交差が設けてあり その範囲の中でエンジンは組まれている。

“当たり”“ハズレ”も出て来る訳だ。

ワークスS20型“改”の“肝”はクランクとチタンバルブだ。


↑:ノーマルクランク

過去の雑誌や献文書にはこの事には一切触れられていない、青地康雄氏の文献にも。

チューニング上当たり前の事だからか 極秘のノウハウだからなのか 今となっては分からない。


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私も元はS20型エンジンのGTRが欲しかったのだが 日産ワークスのチューニング内容が明らかになる度

一般市販のS20型エンジンとはあまりにも違う別物の「S20“改”型エンジン」だと言う事が分かり

諦めた経緯がある。「似て非たるもの」(勿論真似出来ない=ノーマルS20に興味が無くなった)

ブロックは基よりスリーブ・クランク・コンロッド・ピストン・ヘッド・バルブ・カム 何もかもスペシャル、

到底個人が真似出来る代物ではなかった。

------------ Related to the previous -----------

S20型エンジンのクランク支持はGR8譲りの7箇所と多く 丈夫だ。

ワークスクランク


ワークスブロック

日産ワークス活動終了後 あとを引き継ぐプライベーターにパーツの供給は行われたと言う。


五十年以上前にココまでの技法が日産の技術陣の手により施されていた。

イマドキのチューナーさんたち 古い技法だと馬鹿に出来るのだろうか。

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現在カメアリさんやプロテックさんからクランクが出ている。


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