久々にクラシックディ−ラーズを見た。
今回は初期のミニだった。
中でミニの最高速記録がオーストラリアで150km/hというので
レストア後挑戦するというものだ。
一回目ふつうにやって思うような記録は出なかった。
二回目軽量化して再チャレンジ
スタートシーンで後ろからのアングル
よ〜い スタート、するとマフラーからポワッと白煙が・・・
番組では尺があるのでヘッドのオーバーホールは見たが 果たして腰下は・・・
鍛造ピストンなら分かるが 古いクルマなので圧縮だけ見て手付かずか・・・
よくよく考えれば組んだばかりのエンジンを「慣らし」もせず いきなり全開走行&白煙
私だったら絶対買わない
そういえばハコスカの動画で○○ミーティングとかでよくイキッたヤツが
エンジン吹かしてタイヤをきしませ立ち去るシーンがある。
多かれ少なかれ白煙を吐いているモノが少なくない。
またショップやユーザー個人のご自慢のハコスカを動画で紹介しているものも
マフラー側をアップで写し レーシング
吹かす度に白煙吐いているシーンを多く見る。
言うまでも無いが 回転上昇中に白煙が出るのがオイル上がり ⇒ ピストン・シリンダー系
回転下降中に出るのがオイル下がり ⇒ ヘッド・バルブ系
3gなどのL型エンジンを組む時に多くは社外品の鍛造ピストンを使う事が多いだろう。
ノーマルピストンは鋳造製
鍛造は強度があるのは誰でもが知っていると思うが ピストンクリアランスを鋳造の倍以上とらないと
焼きついてしまうのを知っているのだろうか。
鍛造はアルミの密度が高いので膨張率が大きいのと 同じ体積であれば重いのだ。
私の経験上 ターボでもない限り鍛造ピストンまでの強度は要らないと思っている、
(ゼロヨン仕様は別)
最近のバイクで4サイクルモトクロッサーは 圧縮比:13 ピーク回転:15.000rpm
このスペックでも 車体は軽いにしろピストンは鋳造製だ。
L型エンジンの純正ピストンを見たことがあるだろうか
ピストン裏から見れば ピストンピン側両サイドにスチールのプレートが鋳込んである。(↑上図 赤ライン)
昔ゼロヨン全盛の頃 3gL型エンジンを作るのにバイク用のピストン流用が流行った事がある。
右側ピストンがバイクのピストン
今となっては入手が困難なピストンだが 未だこのピストンを使おうとしているショップがあるのが信じられない。
話によれば良く壊れたという、ピストンがバラバラになるのだ。
また別件でバイクのボアアップするのに使えそうなピストンを探していた。
今でもあるが工業書で2年に一度 あらゆる機関のピストン寸法一覧表を記した本が出る。
その本を持っていたので見ていると ピストン外径 ピストンピン径 ピストンハイト・・・
ボアアップにはドンピシャの寸法のピストンを見つけた。
それはホンダ インテグラTYPE-Rのピストンだった。
私の印象でTYPE-Rはバイクのようなレスポンス 回転の吹き上がりの印象があったので
これは使えると 早速取り寄せてみた。
ピストン形状を見る前にその箱を持ってみると「重っ」
ピストン形状はクルマ的ではなく バイク的なつくり
(分かる人には分かると思います)
しかし重過ぎる バイクのピストンに比べ4倍ぐらい重い。
このピストンもスチールのプレートが入っている。
コレでは使い物にならない。
クルマの場合多気筒なので その重量は打ち消しあえるのでバイクのようなレスポンスが実現出来る。
そこで分かった事に 結局ピストンがその車体の重量をひとえに背負っている事を。
バイクは車重100kg前後 クルマは1トン以上を牽引している。
車重の全負荷はピストンで受け 荷重はピストンピン付近に集中する。
バイクの鋳造ピストンでは耐たないのは当たり前だ。
コレに気付いていないクルマ屋やショップは止めた方が良い。
言うまでも無いが ノーマルピストンは冷間時 横(ピン方向)から見れば台形で 真上から見れば楕円形だ。
温まった時に真円の円筒形になるよう設計されている。
多くの鍛造ピストンは削り出しが多く スカートも短く 各肉厚を見ても温まっても真円にはならない。
現実 組んでいてもトラブルも無く使えていると言うユーザーは 一度開けてみれば分かる。
張り付いていないだけで ピストンをシリンダーに組んだ時 真上から見て
シリンダーとピストンの隙間からリングが見えるほどクリアランスが大きいのだ。
オイル消費も多いし ピストンの首振りでシリンダー壁面に縦方向に引きずったような擦れ傷が出てくる。
削り出しは確かに綺麗でカッコイイが
ピストン工学が到底分かっていると思えない業者が作っているのだ。
要はメーカー純正のようなつくりになっていないものが多く販売されているのが現状だ。
私の場合 ロングライフを念頭にしているので すぐに3gにせずニッパチ(ノーマルピストン)をベースに
出来る事は施工 パーツを選びながら組み上げている。
特にピストンは鋳造製を念頭に選んでいる。
「来る日の為に」と一応Ф89の鋳造ピストンキットは用意している。
今のエンジンを開けた時にシリンダーが非常に綺麗だった為 リング交換のみに留めた。
エンジン内の各部の状況も非常に良い状態だった、
組み立ての頃 圧縮平均13kg-m が 現在14kg-m 当たりが出ている証拠。
今のままだとこのピストンの出る幕は無さそうだ。
------------ Conclusion -----------
旧車とはいえマフラーから白煙を吐いているような固体はダメです。
値打ちなし
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