ある日の夜 お客さんから電話があった。
今NHKで「プロフェッショナル 仕事の流儀」で小山自動車の事をやっている と連絡が入った。
新たな番組ではなくアーカイブ放送では無いかと思った。
すぐにTVのスイッチを入れると やはり再放送だった。
仕切っていたのが あの「ニュース ウソだったのか!!」の池上彰、
コイツは田原総一郎同様 メディアを使って世の中を間違った方向へ誘導した戦犯、大嫌いなヤツだ。
自分は何でも知っている風が芸風のタレントだ。(ジャナリストとは言わせない)
こんな軽いヤツに小山を語って欲しくないのだが コイツはともかく
小山自動車はオヤジが“R”を買う前から出入りしていたところだ。
いつ頃から行っていたかは知らないが 家から近かった。(現在の場所と異なる)
直接オヤジから聞いた話は 4DRGT-Rを買おうと小山の大将に相談したところ
「今は止めとけ もう少ししたら4DRから随分進化したハードトップが出るらしい」 という事だった。
ここら辺は
オヤジと僕とGTR
に書いてあるのでそちらを見てください。
その時の小山自動車は現在の兄弟ではなくて そのオヤジさんがやっていた(確か明さんだったと思う)
私が高校生の頃 足繁くメカについて教えてもらいに行っていた。
当時はフェアレディSR311のレース車両が置いてあって 開けたエンジンのカムがどうのこうの
なんて教えてもらっていた事を思い出す。
今 小山がらみのお宝は 純正S20型エンジンのマニュアルのコピー、
整備書を借りてコピーしたものをファイルして取ってある事。
本物 複製版
複製本も出ているが 印刷が汚くて見れたモンじゃない、
ファイルしているコピーはめっちゃ綺麗です。
オヤジがまだ健在の頃 友人の結婚式の為 故郷にひとりで帰った。
高速が実に気持ちよく スカGの醍醐味を味わっていた。
地元に下りるインターチェンジの看板が目に入った途端 アクセルを踏んでいるにも関わらず
キルを切ったかのようにエンジンが反応しなくなった。
アクセルを踏み込んだりいろいろ反応を見るが 復活したり死んだりする。
惰性で料金所を超え 広いスペースで止まった。
セルは回るがエンジンが掛からない。
少し時間が経ってエンジンは掛かるようになったが 調子が悪く アクセルを離すと止まってしまう。
幸い家までは近いので 誤魔化し誤魔化し 何とか家まで辿り着いた。
結婚式まで時間がなく すぐに会場に行った。
式が終わり実家に帰ると ガレージのスカGの調子を見たが変化は無かった。
するとオヤジが何処かに電話をしていた。
「小山まで乗って行け すぐに見てくれる」と言う。
予定ではその日のうちに帰らなければならなかったが 簡単に治るのかと思いながら乗って行った。
ボンネットを開け いろいろ見て「1〜2時間で治るよ」という事で 事務所に招かれ奥様方と談笑していた。
その頃はオヤジさんはもう居なくて 兄弟でやっていた。
「いつか黙ってスカGを乗って帰って オヤジをびっくりさせてやろう」と言う企みを話ながら
時間は過ぎて行った。
治ったという事で タペット調整やタイミング調整 キャブ調整並びに同調 プラグギャップ など
多岐にわたったそうだ。
特にSUキャブはイチからやり直したそうだ。
「カム けっこうエグいのが入ってるね」と言われたのが思い出される。
「帰りはもっと調子良く 燃費も良くなっているよ」と。
充分お礼を言って家路についた。
実家によって「これから帰る」と言うと オヤジが封筒を渡してきた。
「何?」と聞くと 「修理代 とっとけ」と言う。
いやいや オヤジから貰うのは違うだろう と言うと 「とっとけ」と言う。
オヤジは言い出すと引かないので いい年をした私は息子に戻り受け取った。
この謎のエンジンストールは故郷に帰る時に限って起こっていた。(三年連続)
それも年に一度だけ そうなっていたのだ。
帰りは実に調子よく 行きよりもハイアベレージで帰ることが出来た。
後日談だが あの「謎のエンジンストール」症状がまた出た。
幸い店の近くだったので押して帰った。
原因はIGコイルへ行く電源喪失だった、おそらくネインハーネス内の断線だろうと思われる。
ノーマル配線を使わず 新たに配線を引き直して対処した。
PS.そのオヤジから貰った修理代 今も「お守り」代わりにもっている。
------------ Related to the previous -----------
この「袋」は 実家近くのお袋が良く利用していた地方の信用金庫、
この袋に入れてオヤジがスカGの修理代だと渡してくれたもの。
いつも持ち運んでいるバッグに入れている。
この中にはお金以外 もうひとつ入っているものがある。
それはオヤジの遺髪
オヤジの死は突然の事だった。
勿論 家族は心の準備も出来ているはずも無く
通夜 葬式 火葬と数日で行われる。
亡くなったとはいえ この数日でオヤジがこの世から居なくなるのだ。
通夜の夜 蝋燭の守をしている時に オヤジの何かを残したかった、
遺品ではなく
迷わずオヤジの髪の毛を分けてもらった。
二つに分け 一つはこの封筒に、もうひとつはスカGに付けているお守りの中に。
そのお陰だと思っているが 今住んでいる家の地域が水没した時に
運良くスカGを乗って出ていて難を逃れた。
翌年も水害にあった時 水没せず難を逃れた。
また貰い事故に見舞われた時 もうスカG生活は終わったと覚悟した。
運良く妥協せずに以前以上に良い状態にやり直すことも出来 今に至る。
オヤジが守ってくれていると思っているのだ。
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