リアウィングは1969年12月から開発に着手されていて

PGC10Rに取り付け 実践投入まで1年以上の歳月を要した。

PGC10は1968年10月発売 同12月からレース仕様に着手、

PGC10Rは 1969年5月 JAF GPでデビュー戦


リアウィングの実践投入は意外と遅く 1970 10月1日 日本オールスターレース にてPGC10R:杉崎直司選手だった。

通算32勝目

予選ラップ:1位 高橋国光 2分5秒850 ⇒ 決勝は日産ワークスは辞退で不参加

<青地康雄回顧録より>





世に出ているリアウィング効果画像はハードトップが多いが 開発はPGC10で検証されている。


ボディサイズの比較


ワークスハードトップGTRがフロントスポイラーを長い間 装着しなかったのは

の実験結果があったからだ。


そしてモデルはハードトップに移行

新設計のボディは空気抵抗の軽減させる為 車高を下げると共に フロントウィンドウとリアウィンドウの傾斜角を寝かせた。

コレにより空気抵抗係数も下がると共にリアウィングの効果も上がった。




スカイラインのリアはスポイラーではなく 鳥居型のウィングなのか、

青地さんの回顧録にもあえて載っていないのだが。

ディ-ラーオプションでスポイラーはあった。




スポイラーの場合 縦矢印(
)の距離が高くなり リアウィンドウ後部の乱気流の渦が大きくなる、

コレによってテールエンドの車速の妨げようとする乱気流が大きくなる。

ウィングの開発のように充分な検証はされていないと思う。

ダウンホースの効果は甚だ疑問

ワークスの発想にはスポイラー型は無かった。

一方 ウィングという鳥居型だと ウィング下部の空間からリアウィンドウ後部の乱気流の圧を抜く効果があり

境界層も引き下げる効果がある。

天井上の速い気流がリアウィングに当たり易くなり 下に押さえようとする効果も向上する。

またテールエンドの乱気流も緩和され相乗効果が生まれる。

良く考えられており 流行の飾りでは無い事が分かる。

ただし効果が最大限得られるように正しい取り付けが最低条件。

メーカー純正リアウィングも2種類

リアのスポイラーやウィングの効果を普段の一般生活で体感する事はまず難しいと思う。
私の場合ラジコンをやっている時 付いているのと付いていないのがこれほど違うのかと実感した事がある。
特にコーナリングのリアのグリップには大差が出た。おもちゃの延長上で「飾り」ぐらいに思っていたが
ちゃんと役割を果たしているのに驚いた。

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更なる性能向上の為 フロントスポイラーの開発に着手

1971 10月10日 富士マスターズ250km 通算49勝目に当たるレース

ワークスとしてフロントスポイラー初装着

予選ラップ:1位 ♯1高橋国光 2分1秒620






※↑上記:2000GTR ⇒ PGC10Rの事

↑上記にもあるように「夏場に行われたので、気温の高いこともあって目に見える ラップタイムの向上が期待できず」との記述がある。 この事の意味は言うまでも無く 吸気温度が高いと本来の出力が出ない と言う意味だ。 日産ワークスはPGC10Rの初期の頃から 吸入温を下げる事に苦労している。 最終外気温の1〜2度差までに治める事に成功した。 その上で↑上記の事を言っているのだ。 巷に良く見るファンネル仕様などは論外で オーナーのレベルが伺える。



上:プロテック製 下:ワークスの型取り品

フロントスポイラーの取り付け傾斜角:35度

車体の下に全面からの空気が入る事で 車体を浮かそうとする作用が働く。

フロントスポイラーを取り付ける事でその流量を制限し 作用を弱められる。

尚且つ実際には採用されなかったがエンジン下に設置する「整流板」の開発も進められ
(車体の下をフラットにする事により空気の流れをスムーズにする。今や当たり前の装備だがその検証の先駆けを行っていた)

最高速を延ばす効果も認められたが 水温の上昇(エンジンルームの熱が逃げない)、

整備性の低下のデメリットがあり採用は断念された経緯がある。

私の場合当初は装着していたが事故以降 パーツの準備はしておいたが取り付けはしなかった。

付けない仕様に見慣れると 「付けなくてもいいか」と思うようになってきた。

結局 メーカーのカタログ仕様だ。

見た目にシンプルで“雑味”感が無い

Simple is best.

------------ in addition to that -----------

レーシングマニュアルのリアウィングにあるスカイラインの画像を思い出して欲しい。


さりげなくフロントにスポイラーが描かれている。

コレは日産ワークスが開発したものではなく

おそらくだが この時にはスクーデリア日産製のスポイラーが採用される予定ではなかっただろうか。

スカイラインのレーシングマニュアルにも載っているがエアロパーツはスクーデリア日産が担当していた。

そのスポイラーはおそらく

車両はおそらく杉崎直司選手のGTRと思われる。

当時スクーデリア日産の宣伝に使われた貴重なワンショット。


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