永い事バイクに携わってきて まさか今の現行機種に「絶望」を感じる事になるとは思ってもみませんでした。

年数を重ねる度に同系列のモデルは進化してきたし 熟成してきました。(XRの話)

次はどんなのが出てくるか ワクワクしたものです。

そしてレースを重ねる毎に 使い勝手が良く“速い”理想のバイク像が見えてきました。

古くは‘85・86のXR350Rがそれに近い存在でした。

250並の車体レイアウトに強力なパワ―ユニット

当時はえらいプレミアがついたバイクで 今となっては滅多に見る事が出来ない激レア車となっています。

当時関東のエンデューロレースの年間チャンピオンにもなりました。

ウチでも最初の「看板マシン」として採用した機種です。

ただノーマルエンジンはまったりして「ビッグシングル」らしいフィーリングでしたので

エンジンの反応にシャキシャキ感を加える為に”通勤快足”が出来たのでした。

ココがルーツです。


そして十年のインターバルをおいて出てきたのがXR400Rでした。

そして 最終モデル 2004年

250と400は“スーパーXR”というキャッツフレーズで ウッズランをかなり意識したレイアウトに変更されました。

特にXR400RはXRシリーズの中で特異なエンジン設計で 250のように回るエンジンになっていました。

メーカーカタログによれば乾燥車重:112kg(250ccクラスと同等) ピークパワー:40PS(600と同等)

そしてディメンションがME06とほぼ同じ(燃費も600と同じ)

実際車体にまたがってみるとシート高があるので 視線の高さを感じる、

車高下げリンクで3cm下げれば250とまったく同じ感覚になる。

ノーマルサスは“硬め”だったので この車高下げによって圧縮レバー比が下がり丁度良くなる。

最低地上高は下げても250よりも高さはあります。

やっと私が想う理想の本格的オフロードマシンが出てきたのです。

勿論 ノーマルのポテンシャルは従来のオフロード車の中でも別格で比較にはなりません。

ただ「玉に瑕」なのは XRには必要の無い点火リミッターを設けた事、

それも250に比べ 遥かに低い回転域の設定。(おそらく8.000rpm前後)

折角250ベースの400版的なエンジンなのでリミッターが無ければ12.000rpmは軽く回るのです。

RFVCエンジンは設計上 サージング域でもバルブキッスは起こらないようレイアウトされているのです。


バイクの素性を見極めた上で その長所を最大限活かす施術を施せば

上のクラスを軽く食える性能に進化するのです。

エンデューロは ライダーに要らない負担を掛ける事無く 疲れ難く扱いやすいパワーフィーリング、

スプリントではモトクロッサー並のサスやバランスがなければ 同じフィールドで戦う事が出来ません。

XR400Rを磨き上げた結果 エンデューロでもスプリントでもモトクロッサーを抑え

勝つ事が出来る性能にまでに達しています。

特筆は海外製600ccオーバーのマシンも含むレースで勝った事です、それもスプリントで。

またXRシリーズの最大排気量 XR650Rはフルパワーで62PSで 言わずもがな速いです、

それに”通勤快足”を組んだ650Rよりも 俗に言う「ゼロヨン」的な走りは

私のXR400Rの方が遥かに速い事は立証済みです。


また実話ですがメーカーの人が個人でBAJA1000に出るので XR400RでYZ400Fを直線で抜けるよう

エンジンチューニングして欲しいと依頼がありました。

結果それは達成できました。


今となって振り返ると ウチの400に乗った事があるユーザーの数人は

強烈なインパクトが忘れられなく 同じ内容の後追いマシンの依頼があった事です、

「あのフィーリングが忘れられないのです」 と。

特に余命宣告を告げられたユーザーさんが「最期に選んだマシン」が

ウチの400だった事は「最高の栄誉」であり 感慨深いものがあります。

XRのチューニングに邁進してきて良かった と。


従来オフロード車の車検付きバイクは敬遠されがちでした。

それは車検代が高かったからです。

しかし 現在はユーザー車検で行けば 経費2万円も掛からないのです。

XR400Rは性能的にも造り的にも“XR”の頂点だと自負しています。

唯一無二な存在なのです。

コレに気付いた方、

手に入れられるユーザーには 最期のホンモノのオフロードバイク 「XR400R」は 超お勧めのマシンです。


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