今日バイク屋冥利に尽きる話があった。

昨日の晩 不意にお客さんが来て ホームページが見れないから来たと言う。

最近同じような連絡が入ってきているので 調べると 受けて側のセキュリティ−に

引っかかっているようで 直接アドレスを入れると見る事が出来る。

こちらのサーバーの設定の事もあるようで それに対応出来るよう作業中です。


本題の内容は200ccもしくは125ccのオフロードバイクが欲しいらしい。

自分の子供もバイクに乗れるようになり 一緒に林道へ行けたら・・・

以前私の私物であったXLR200Rが回りまわってこのオーナーの元に行ったようだ。

200と舐めてかかったが 思いの他良く走ったのが忘れられない と言う。

勿論 俗に言う“田口仕様”は金に糸目はつけない仕様で 他と比べられては困ります。

車種は少ないが“T. collection”も含めアレコレと話していると

とにかく私の手が入っていないと要らないと言う。

話がナンバー付きからレーサーに移行してきて 今出しているCRF150Rに絞られてきた。

詳しくはホームページのCRF150Rを見てくれ という事で

あとは大蔵省にお伺いをたてるだけだとその日は帰っていった。


翌日(今日)お昼に来られて奥さんのOKが出たと言う。

「実は私はガンで余命宣告の日にちが過ぎたところだ」と言うではありませんか。

奥さんは「一番良く効く薬代」という事でお許しが出たらしい。

そんな時にウチのバイクを選んでくれたユーザーさんは二人目。

昨日来られた時に「ウチもあと2年で閉める予定」と言った事がすごくショックだったらしい。

それも後押ししたようで 話が変わって「私が魂をつぎ込んだマシンを手元に置きたい」

と言う風に変わってきた。

有り難い話でバイク屋冥利に尽きる話です。

このCRF150Rは参加出来るレースがひと段落ついてしばらくバイクには乗っていなかった。

リハビリ用としてミニクラスにも出れると思い下ろしたバイクです。

現車を見ると値段の割りにお金が掛かっていない事が気に入らなくて

エンジンからブレーキ サス 軽量化 保守パーツなどなど 多岐にわたって手を入れました。

最終 US限定の純正ブラックエディションと言う限定バージョンの外装を手に入れ

結局乗らないまま置いていた いわば数十m走った新車です。

幸いな事に初期型なので今に至るCRF150Rの中で一番パワーがあるモデルなのです。

墓標代わりに奥さんには「置いといて」と言っているらしい。

私もちょっと前にガン検診で引っかかり精密検査を受ける羽目になったところです。

余命などと理不尽な宣告を受けた人の気持ちがひしひしと分かった経験でした。

「今のアンタを見ると生き生きしているので一番のクスリだ」と奥さんは旦那を見て言っていたそうだ。

そう言って帰った1時間も経たないうち 「お金持ってきた」と再来店

「早っ!」

次期オーナーの意気込みの表れだと思う。

気合を入れ直し 魂込めて仕上げなきゃ


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