昔 RVFというマシンを作っていた。

学生の頃の ただ漠然とした「夢のバイク」だった。

モトクロッサーのフレームにXRのエンジンを搭載した混合機。

モトクロッサーのレイアウトや足回りは 一般市販オフロード車とは月とすっぽん

逆車のXRと言えどもベンツとトラックほども性能差は違う。

京都に来 独立してしばらくして急遽作ることになった。

モトクロッサーのKX250にKDX250のエンジンを載せたマシンがエンデューロレースを席巻していたのだ。

当時はトレールのエンジンであれば フレームはなんでもOKというレギュレーションが主流だった。

まず拘ったのがモトクロッサーフレームでも125ccのフレームに載せる事。

250と125では車体の大きさが全然違ったのだ。

やはり小振りで小回りが効かないと機動性が失われる。

しかし4サイクル250エンジンは大きく 簡単には125フレームには載らない。

試行錯誤の上 なんとか車両が完成した。(製作期間1ヶ月)

デビュー戦はそのKDX?との一騎打ち

早々に2台の争いになり

作戦勝ちと言うか 無事デビューウィンを飾る事が出来た。


出来たから完成ではなく 日々走り込んでいけば悪いところも出てくるし対策も必要になってくる。

性能の向上も進められ もうこの車体では限界と言うところまで使い込むと 1年半のペースで

フレームを新型に変え U号車 V号車まで製作しました。

当然W号車の構想も固まり 製作する為の素材や必要なパーツ類もすべて揃えました。

その構想とは

タンクをエアクリーナーBOXにして エアクリーナーBOXの位置にガソリンタンクを設置するというものでした。

はガソリンタンク はエアクリーナーBOX

そうする事でマシンの重心は中央に近くする事が出来 かなり低くなります。

この事によって車体の動きが軽快になり 振り回し易くなり ライダーに与える疲労も大幅に軽減出来る、

またリアのトラクションは格段良くなる。

タンクはジュラ材でワンオフし(7.5L) 燃料の供給はエンジン内の負圧で作動する負圧ポンプで供給。

タンク部分のエアクリーナーBOXは樹脂タンクを繰り抜いてエレメントを敷き詰めて使います。

エンジンもハイコンプ270ベースのビッグバルブ・ショートストローク仕様も完成しており

フライホイルは700gのインナーローターを採用予定でした。

PJ36 左右独立のツインエキゾーストを装備します。

すべて作動する事も確認済みでありましたが 新型のモトクロッサーはフレームがアルミに変わって来ていました。

アルミフレームも検討したのですが エンジンを載せる為にアンダーフレームを作り変えるのですが

どうしてもアルゴン溶接では強度が出ないと言う事で断念。

RVF-Rはどれも装備重量で100kgいかなかったので このMK.Wは軽さと言う部分ではかなり期待をしていたのですが。


そうしているうちにレースのレギュレーションが「フレームとエンジンが一致している事」と変更になり

RVF-Rの活躍の場が無くなったのでした。

こうしてRVF250R Mk.Wはこの世に出る事無く“お蔵入り”になったのです。

レースのレギュレーションが変わったのは どうもRVF-Rがレースで荒らしまくったからだと聞きました。

レース参戦者から「あんなバイク ずるい」とクレームが入ったようです。

速くて当たり前のモトクロッサーが走れるオープンクラスなのに 主催者が規制を掛けてくるなんて

なんて「遊び心が無いのだろう」と肩を落としたのでした。

またクレームを出した連中 情け無いヤツラだ。

あれだけバカにしていた4サイクルに勝てないから 苦情を出すなんて“恥”を知れ!

「お前ら 何に乗っても一緒じゃ」と言ってやりたかった。

RVF250R Mk.W は幻のマシン となってしまったのでした。

カラーリングもコレ↑に決まっていたのですが・・・

RVF-Rが今後どう進化していくのかも楽しみでしたが 見方を変えてXRをどれだけ進化させる事が出来るかの

課題も面白いかも と。でなければRVS-Rは出来ていない訳ですから。


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