‘02 11月17日(日) レオタニカップ スプリントオープン参戦


まずこの話しが来たのはレースの1ヶ月前の事でした。

当時レオタニさんには本格的な交流も無いのにいろいろ人を介してお世話になっていた。

また オフの新商品の営業さんが来た時には

「ヴァイタルさんのとこ行った?ヴァイタルさんが使わないようなものならウチは使わないよ」と言うらしい。

慌ててウチにその商品を「使ってみて欲しい」と持ってくるような事もあった。

その主任の人が言うには「ヴァイタルさんが本気で走っているところを見てみたい」と言っていたらしい。

だから是非年一度の遊びのレースに出てくれないかと。

コレはもう断る訳にいかず参加する事になった。


参加する事が決まると 昔ウチにいた常連がウチを離れ 上のショップに鞍替えしたヤツがいて

モトクロスを始めていた、そこの大将も暇を見つければコースで練習するぐらい熱心にやっていると言う事は

聞いていた。鞍替えしたヤツはCRF450R ショップの大将はCR125R、噂によればめきめき上達していると言う。

この人たちもレオタニと深い交流があるらしく ウチが出るなら是非参加したいと言う、世紀の決戦だ。

「もう今の感じならヴァイタルに負ける事は無いだろう」的な挑発も上から目線でしてきた。


当日 レース場に着くとそのショップが大挙して陣取っていた。

公式練習が始まったがその二人は走っていない、「走らないのか?」と聞くと

不敵な笑みで「ふふっ」 と余裕たっぷりな態度だった。

後で分かった事だが 前日にコース整備を手伝うついでにしこたま練習していたという。

私は「なるほどね」と納得した、コースの隅々まで知っているぞ的な余裕をかましていた。

前座のレースでウチのお客さんが出ていたので応援していると

「次のメインレースのライダーはスタートラインに並んで下さい」とアナウンスがあった。

「え え〜っ もう集合?」 まだ着替えてもいなかった、身支度をしスタートラインに行った時には

時すでに遅し。あの二人は最前列の一番第一コーナーに近いところを陣取っていた。

「しまった もうレースは始まっているのだ」と。並んでいるマシンは2ストのモトクロッサーや

4ストのモトクロッサーばかりで XRで参加しているのはウチだけ。

それも参加台数も多く2列目のイン側・・・ いきなり曲がりながらのスタートとなった。

スタートから不利だし CRF450Rのヤツなんてスタート良くする為にフォークを縮めるキットまで付けている。

何気にレース展開を予想した。CRF450Rのヤツは流石スタートは速いに違いない 少なくとも

離れず視界にとらえていればいずれへばって抜けるチャンスも来るだろう この人体力無いから。

問題はショップの大将だ MFJのライセンスも上に上がっていると聞く。

少なくとも何位であれこの二人の前でゴールしなければシャレにもならない。

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京都 チキンランド 10分プラス1周

レース展開:スタートはすぐ右コーナーで グリッドは不利な二列目の最右翼でした、

直線的なラインが取れずアクセルも開けにくい位置でした。しかし スタートしてみれば 

我が視界には誰もおらず ホールショット。

1周目はなんとかトップを死守し2周目に。しかしコースの真ん中に大きな2連ジャンプがあり

練習でも飛ぶ勇気が無く クリアしてなかった、コレが致命傷にならないと良いが・・・

2周目も ナンとかトップを死守できましたが メインの2連ジャンプが飛べず ここで後続車に詰められる。

後ろのYZがこの2連を飛んで並んでくるが2個目に引っ掛かってこけそうになっていた。

そして そこで3周目にこのジャンプで抜かれ2位に後退。

4周目にはまた2連で2台抜かれ4位まで順位を落としてしまいました。

ジャンプが飛べる飛べないで さすがトップグループは僅差で 簡単に順位が入れ替わるシビアさを

痛感しつつ ナンとか2位集団に食らい付いていた。トップはYZ125とばかり思っていたが250だったようで 

やや離れ 2位CR125 3位YZ250F 4位RVS300Rと続く。

2位と3位のバトルを真後ろで見ていて バトっているだけあってラインがメチャクチャ。

後ろで冷静に様子を見る事が出来た。抜くなら裏のストレートだと狙いを定めチャンスを待つ。

我がRVF250Rはダッシュ力と直線は2スト125や4スト250には負けないどころかソレが武器だと

数々のレースの実績で分かっていた。

ラスト1周まで この間隔で進行し 残り一周、2.3位の様子を伺いながら間を詰めて行き 

裏のストレートに入るコーナーをインカットしてフル加速に入った、2位・3位は競っていてこのコーナーでは

アウトアウトで膨らんでいたからだ。ストレート中盤で3位のYZ250Fをパスし ストレート終盤

登りで勝負を掛け2位のCRに並びインをとり右コーナーへ。

ここまででCRもパスするはずだったがコーナーを抜けると小さな3連で左側が走り易く 右はギャップだらけ、

インを取っていた為CRに左を取られ やもなく右へ。ところがCRがギャップに取られ失速。

CRを無事パスし 2位浮上、そのままゴールと言う展開でした。

このレースには毎回KBS京都の女性アナウンサーを呼んでいて レースの実況をしていた。

チェッカーを受けた後パドックに引き返す道中見知らぬ人から多くの祝福を受けた。

勿論レース中はアナウンスが耳に入る余裕も無く あとで見ていた人から聞くと

最初から最後まで「ヴァイタルの田口さん」を連呼していたと言う。

最初はホールショットで「ヴァイタルの田口さん」

首位から落ちれば抜かれたと「ヴァイタルの田口さん」

最終順位を上げれば「ヴァイタルの田口さん」 と。

そうだったのか と周りの人の反応に納得した。

道理で表彰式の時 そのアナウンサーは真っ先に2位の私にマイクを向けた。

アレコレ聞かれ 結局私ばかりにマイクを向けていた。1位を差し置いて・・・


問題の二人はと言うと まずCRF450Rのオッサン:スタートでエンスト・・・(ダッサ) これで終わり。

メンタルも弱いので戦意喪失。

バイク屋の大将はと言うと 取るに足らぬ腕前だった。チャンチャン

スプリントではジャンプの重要性を思い知らされつつ つい手堅く冒険をせず 他で詰める展開でレースを組み立てて

走りました。しかし レーサーの中で唯一XRベースで入賞出来た事は痛快で 

本来のヴァイタル魂の根源を証明出来た事を嬉しく思います。見に来られた方には

インパクト有ったかな?

招待してくれたレオタニの主任さんには「いいモノを見せてもらった 実力を認めるよ

XRって速いんだね」と言ってくれた。プレッシャーが一気に解放された瞬間でした。


もう一人 上記の二人に加え ふたつのショップを行ったり来たりする「仕切り屋」のオッちゃんがいた。

あっちのショップに行けばウチの悪口を言い こっちに来れば差しさわりの無い事を言うオッちゃん。

そのオッちゃんが興奮したようで「よ〜し コレからファミレスに行って反省会や」

「田口君も来るやろ」と言うので 「僕 反省する事無いので行きませんわ〜」と言って帰路についた。

若いメンバーを引き連れて「反省会」なるものを開いたらしいが「あのガキ〜」と私の悪口ばかり言っていたそうだ。

ソレをきっかけにその悪口オッサンを切った。


以上がレースの全容でした。

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