=回顧録=

今 所有しているバイク、もうこれ以上必要ないと思っています。

実動の最前線バイクは XR400Rを筆頭にCRF250F XR250(シュラウド佐西号)、

そしてXR200Rb

コレだけあれば十分。

コレとは別に「盆栽バイク」(田口コレクション)はこの中に入っていません。


特にXR400Rはレースに参戦していた頃よりも格段性能はアップしています。

永年色んなバイクに乗ってきて オフロードツーリングやレースなどを通して

オールマイティに使える機動力のあるポテンシャルを有する。

小振りでハイパワー レーサー並みのサス

コレらを満たすのが私の理想とするバイク像。


私自身はライセンスを持っている訳でもなく あくまでも一般ユーザーの誰が乗っても速いバイクを目指し作ってきました。

この世界は腕があるライダーであればノーマルでも勝てる可能性がある世界です。

レースにて速いライダー(国際A級)に乗ってもらうチャンスもありましたが リザルトに乗り ソレを目にした人は

そのライダーが乗ったから勝てたんだ という印象を受けるに違いない。

見て欲しいのは製作したバイクなのです。

であれば無名の一般ライダーが乗って成績を出さないと意味が無い。

人に任せるのが好きでないのと 自分が乗って「速く走る為の足らない部分」を見出し チューニングしてゆく。

マシンの性能が上がれば ソレを使いこなす為にひたすら練習、

慣れてくれば また新たな足らない部分が出てくる。

ソコを補う為にまたチューニング・・・

コレを繰り返せば 飛躍的にマシンの性能は上がってゆくし 技量も養える。

それがマシン性能向上の最短距離と信じ やってきました。

エンデューロは長時間走って 一番速いヤツが勝ち、

乗り易く疲れないエンジンフィーリング そして疲れないサスペンションとの融合

人の体力には容量があります、いかに温存して効率よく“速く”走るか それに尽きます。


当時XRでレースに出始めた頃 2ストに乗るライダーから言われた事がある。

「オレらはレースをやりに来ている お遊びじゃないんだ、お願いだから邪魔しないでね」と。

あとで分かった事だが ライセンス持ちで国際B級らしい。

また来店のお客さんにXRを勧めると「XRにお金掛けるぐらいだったら 基から速い2スト買うわ、

そっちの方が安くつく」と。

でも実際は巷のユーザーの認識は 市販4ストはそんな位置づけだった時代。

そこまで言われると「XR魂」に火が点く、お前らには絶対負けられない 見てろよ」と。

勿論 そいつらの鼻っぱしを折る為に 尽く玉砕してやりました。

それとか

今までXRをチューニングして走っていたユーザーがパタッと来なくなったと思ったら

偶然 いつも行っていたコースでバッタリあった。

「やっぱ 乗るなら速い2ストですよね〜」と言われた、どうもXRを見切って乗り換えたようだ。

その人の乗り方を見ていると XRに乗っている時とまったく変わっていなかった。

2スト乗り 4スト乗り というぐらい 乗り方は違うのだ。

私はXRでコースイン 何周もその人をラップしてやった。

「お前なんか 何乗ってもいっしょじゃい」と心で叫びながら帰った事を覚えている。


‘81XR200Rが発売された頃 熊本のホンダモトクロスコースのオープン記念のレースが行われた。

話によれば 国際B級125クラスに1台XR200Rがエントリーしたという。

おそらくメーカーがかりのお試し企画だったようだ。

モトクロッサー125は車重:八十数キロ台 馬力:35PS

対し XR200Rは車重:101キロ 馬力:19PS

カタログ上の性能はお話にならないほどの差。

いざ蓋を開けてみると2ヒートとも スタートでは取り残されるものの

周回の度 順位を上げていく展開だったそうだ。

それもモトクロッサーは2連などの大きなジャンプは華麗に飛んで周回していたが XRは飛べない。

市販トレールよりも“足”が良いといっても モトクロッサーと同等とまではいかない。

しかしそのライダーは4ストの特性を利用して 2ストとはまったく違うラインで追い上げ

最終総合2位でフィニッシュしたそうだ。

同じXR200Rに乗っている私は

コレを聞いてXRの可能性を見たし “下克上”のかっこ良さ

「男のメロン」いや ロマンを感じたのです。


いろいろ書きましたが ウチでチューニングしたXRは

エンデューロ・スプリントレースで実績を出した集大成であり

その後の手法で 現在その時以上の性能になっています。

モトクロッサー相手に勝てるXRが レースは勿論 その仕様で街中の“足”としても使える。

1台で何でも使えるのです、本来これが “XR”の原点なのです。

乗った事がある方には分かるでしょうが CRF-XやWRなどのレーサー公道走行車は「買い足しバイク」で

おいしいとこだけ乗るセカンドバイク的位置づけです。

現に一時期 街中で良く見かけましたが 今ではまったく見る事はありません。

それとは異なり 1台でどんな用途にも使える、

こんな「唯一無二」のバイクは無いと思いますし 今後出て来ないでしょう。

早い段階でXRに出会えた幸運をラッキーだったと思いますし

またそれを土台に 自分が何処までやれるかを試す事が出来た。

つくづく いい時代に生まれたと思います。

“XR”は 後世に残すべきマシンだと思います。


ふと そんな事があったなぁと 思い出したのであらためて書いてしまいました。


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