お客さんを見ていて“運”のいい人 悪い人 がはっきり別れているように思う。
最近の例で 海外から電話が入った。ニューヨークに居る日本の方、
念願のXR600Rを手に入れ 最近乗っているという。
いずれアフリカを横断したいと思っていて ファラオタンクを探していた。
しかしED US 日本とネットで調べてもまったく見当たらない。
ファラオといえば1985年のツインキャブの600、40年前の部品がすぐに見つかるとは思えない。
しかし今はネットの時代 世界を見る事が出来る。
そこでウチの“断捨離パーツ”に出していた中古のタンクを見つけたそうだ。
むかしオーストラリアンサファリやモンゴルのラリーにエントリーするユーザーは毎年居た。
レギュレーションで保有義務があるので大体20L以上を積まなければならない。
必然的に市販のタンクでファラオが良く使われた。
そのストックが“断捨離パーツ”で出していたもの。
ウチのホームページは継ぎ足し継ぎ足しの迷路のような構成になっている。
良くピンスポットで見つけたものだ。
そのユーザーはうちの事を知らなかったようで 二日掛けて見れるところはすべて見たと言う。
「XR系で よくもココまでやっているところがあったなんて・・・ 知るのが遅すぎた」
と 言っていた。(それも“運”)
実際作ったオーストラリアンサファリに製作したXR600Rの画像を送ったら 「まさにコレを作りたいのです」と言う。
しかしすぐに作れないので残念です と。
当時でも多くはレース中にマシントラブルや製作した備品が振動に耐え切れず 次々と壊れていく。
NHK密着の「モンゴルラリー」でも三日目が山場で 次々とリタイヤしていく様を放映していた。
ベースマシンを購入し 車体と同額またはそれ以上のお金を掛け 150万のエントリー代、
三日で壊れれば さぞ悔しかろう。
ウチではレースに集中してもらう為 マシントラブルや装備が壊れないよう ウチなりの工夫で
作って来た。勿論そんなトラブルでリタイアした人は居ません。
また別件で44年前のXRでパリダカに出たいという相談があった時に 気持ちは分かるがマシンが耐たないから
断った事がある。そのユーザーは諦めきれず他所の業者に依頼し マシンを製作したようだ。
たまたまその製作の工程をホームページに載せていたのを見た。
製作業者は「こんなんでいいやろか」的なコメントが書いてあり 明らかにマシン造りのノウハウが無いと思った、
コレはすぐに壊れるわ と思っていた。
縁というか因果というか そのエンジンを作って欲しいと同じユーザーから相談があった。
あのネットに公開しているマシンあなたのですか と聞くと「そうです」と言う。
「悪いけどすぐ壊れて完走なんて出来る代物では無いよ」というと ショックを受けていた。
乗りかかった船で 結局エンジンを含め車体もウチがやり直すことになってしまった。
そのユーザーはパリダカに向けマシンを船便で送ったが 受け入れ国の入管がストを起こし
1ヶ月間足止めを食らい レースに間に合わなかった と言う結末。
対し 今ME08の修理が入っている、昨年の12月初旬の事だっただろうか。
ドライブシャフトのスプラインがズルズルに舐めたそうだ。
パーツはすでに生廃 オークションを見てもエンジンASSYしかなく しかも高価で手が出ない。
ウチの“裏技”旧型のミッションが使えると言うと オークションでバラした腰下が¥44.000-で出ているので
ソレを買おうと思うという。それならウチの“断捨離パーツ”にエンジンASSYで¥48.000-であるので
予備でシリンダーやヘッドも使えるのでお得だと薦めるたが 少しでも安い方が良いと
オークションを進めるという。
車両がいっぱいですぐには預かれないのでエンジンのみ送ってくれれば 着手は早いと話はした。
後日メールで車両を送る準備が出来たので業者に依頼を出したと連絡があった。
おいおい 何を聞いとるんや、車両はすぐには預かれないと言った筈、
すぐにキャンセルしてもらった。
早く治して乗りたいので自分でエンジンを下ろして送る事になった。
数日後 スィングアームシャフトが固着してエンジンが下ろせないと言う。
やり方を伝授したがダメで業者に委託することになった。
結局年末に送ってきたが プラスティックのケースで送ってきたので ケースはバッキバキに割れていた。
そしてオークションの腰下も来たので作業は年明けになった。
明けてオークションのエンジンをバラしミッションを取り出すと ギアのドックが1箇所割れていて使えない。
¥44.000+αが無駄になった。
もうひとつ同年式の腰下エンジンが出ているのでソレを落として送るという。(現在
ing・・・)
修理内容はオーバーホールではなく ミッションの入替えのみのオーダーだ。
圧縮が無かろうが カムに巣があろうが カムチェーンが伸びていようがノータッチ。
折角全バラするのに・・・
以上 “運”のいいヒト 悪いヒト
教訓を活かすのも自分次第 だいたい同じ過ちを繰り返す人が大半のようだが・・・
“運”が向くヒト 逃げていくヒト 何が違うのだろうか。
=END=