CRF250-Xのオーバーホール&チューニング依頼を受け2週間、いよいよ納車に向けて仕上げに掛かった。

最後の詰め シム合わせの段階でメーカーにシムを発注。この調子で行けば3日後の週末には間に合いそうだ。

このCRF-Xはフライホイルカバーが割れているのでユーザーさんがカバーとガスケットを持込みで交換と言う事だった。

シリンダー、ヘッド、キャブまで組みあがり 後はシム待ち フライホイル側に作業は移った。持込みのパーツに

入替えようと部品を見るとカバー内側にはまっているオイルシールが入っていない。このオイルシールは

クランクにオイルを圧送する為の重要なパーツだ。今からパーツを頼んでも土曜には無理だ。既存のオイルシールを

綺麗に外せないかやってみたがやはり使うには不安が残る。今週は世間は3連休(土・日・月)なので納車を

月曜日にしてもらおうと連絡を取ったが あいにく月曜は仕事で日曜を逃せば12月の中旬でも引き取りは

難しいと言う事だ。何としても日曜に仕上げなければ・・・ だたし夕方の引き取りにしてもらった。

土曜にシムが来る筈だったが来なかったのでオイルシールと共に日曜が勝負だ。土曜中に出来るところまで

組み上げておいて日曜にパーツが来ればすぐに取り掛かれるように準備はしておいた。

通常メーカーのパーツは宅配で遅くても午後1時半までには来るが ウチの場合はこういう時に限って

配達時間が狙ったように遅い事が多い。日曜正午に宅配に確認の電話を入替え「早い配達」を依頼した。

担当の人から電話が入り「2時以降になる」と・・・ 「ダメだ 一分一秒でも早く配達して欲しい」と答えた。

今日取りに来るユーザーさんは関東の方なので万が一今日は渡せないと言う事が出来ない。

午後1時過ぎには持って来てくれたのでやれやれと思ったのもつかの間 オイルシールは入っていたが

シムが入っていない・・・ メーカーの端末で調べると土曜の配達になっているではないか!

宅配業者にその事を話すと調べるので少し時間が欲しいと言う事だった。なぜこういう時に限って

こんな事になるのかと憤りが隠せない。通常は遅配も無いし配達の時間も早いほうなのに

急ぎのパーツに限って大体遅い事が多く パーツが何処に行ったか分からなくなる事は有り得ない。

悪い予感は見事的中。

もう無理かも知れない と頭をよぎるが諦める訳には行かない。

幸いパーツは見つかり15分ほどで届いた、後は組むだけだ 何とか間に合いそうだ。

パーツを組み込みエンジンを掛けようとキックをすると途中でキックが降りなくなる ん?

カムタイミングが合っていなくてピストンとバルブが干渉しているのか?

もう一度タイミングを見直しても間違えていない 何故だ。

ピストンを逆に組んでいてリセスの違いでバルブキッスをしているのだろうか。

バラして見るしかない・・・ バラしてみた、が 間違っていない。何故だ。

シリンダーまで組んでピストンが綺麗に動くか確認し ヘッドを載せてみた。

カムシャフトを組みクランクを回すとやはりインレットバルブが出切る前にクランクは回らなくなる。

何故だ もう時間が無い・・・ コレでは到底渡せる状態ではない。もう一度バラしてみた。

ヘッドを組むとその症状が出るということはヘッドに問題が有るに違いない。

ヘッド単品にカムシャフトを組んで回してみるとその症状は出た。インレットのカップに問題が

あるのだろうか! じっとヘッドを眺めているとあることに気が付いた。

CRF-Xの場合バルブスプリングは4つとも共通ではなく IN EXの2種類に分かれる。

インレットバルブはチタンでエキゾーストはスチールだ、当然ばねレートが異なり線型が異なる。

IN EX逆に組んだのではないか・・・ しかしそれぞれ相性があるので外す時にその位置が混ざらないように

保管している。スプリングを外してみた、ビンゴだった。エキゾーストwpイン側に組む事でスプリングが

全屈してそれ以上動かなくなる事でその症状が出たのでした。初歩的な私のミスだった。

気を取り直し組みつけに入った、エンジンが組めたところでユーザーさんが来店した。

少し時間をもらい周辺パーツを組み込み完成。エンジン始動 快調だ。

試乗セッティングも問題なく調子が良い。何とか間に合った。


しかし半日の間に宅配から始まり 自分の凡ミスも有るがココまで短時間のウチに難題が山積したもんだとつくづく思った。

こんな時にこそお店の技量が問われる 諦める事は簡単だが約束は必ず守る 何とかするそれだけだ。

しかし疲れた。

無事 ユーザーさんに渡す事が出来て良かった。