ある平日 昼イチで二人の来客があった。その一人がMD30を持っていて“思うように走らない”と言う。
このユーザーさんは以前モトクロス経験者らしく「そんなに速く無いですけど」と謙遜していた。
そこでしのもの言うより当店試乗車シュラウド佐西号(通勤特急)に乗ってもらうのが一番なので試乗を薦めた。
自分にとってウチの味付けが気に入ってもらえるのか 合っているのか 乗って体感して判断してもらえるのが
一番だ。シュラウド佐西号はホームページ記載通り特別な仕様ではない、MD22時代からの定番アイテム
オフロードブーム全盛の頃 女性ライダーでも普段の足からツーリングに使ってもらっていた構成だ。
ボルトオンで組めるものでノーマルのバランスを崩さず 寿命にはまったく関係ない 素材を最大限復活させる
いわばヴァイタルのノーマル仕様でチューニングはココから始まる入門編なのです。
エンジン暖機後いざ試乗、2〜3分後帰ってこられた第一声「う〜ん これは速い」 顔がニコニコしている。
友人曰く もう一人の友人に乗ってみろと薦めて乗ることとなった。その友人も試乗後「う〜ん」と唸っていた。
と言うのも最初に試乗したユーザーさんはMD30を持っていて オフを始める為にその友人もバイクの購入を
考えていた。ウチに来る前にYメーカーの現行機種の試乗をしてきて心の中では本決まりだったようだ。
「○○よりはるかに速くて扱い易い」とポツリ・・・ ちょっとした衝撃だったようだ。
ウチにとっては当たり前だがやはり乗って体感してもらわないと分からない 最近は人によって感じ方が
大きな隔たりがある時代になっているようだから・・・
初めに乗ったユーザーさんは兄貴の時代からヴァイタルの噂は聞いていた いつか来たかったのだが
敷居が高くてなかなか足が向かなかったと語った、良く聞くハードルだ。一歩踏み込む勇気を賞賛したい。
これまで組むのにいくら掛かるのかが気になるようだが その新車を買う事を思えば程度が良い中古を
買って組み込んでも充分お釣りが来るだろう と答えた。しかしこれで満足してもらっては困る チューニングは
これから始まり 伸び代はまだまだあると可能性を語った。
このところユーザーさんを見ると一人で行動している人が多く見受けられます、一緒に遊ぶ友人がいれば
お互いに切磋琢磨し技量の向上も早い、また楽しさも永く持続する。同時に様々な情報も自然と入ってくる。
ライディングテクニックやメカ的な知識 ネットの情報より確かではるかに信頼性が高い、特にウチの周りでは。
ウチの掲示板などで声を掛け合って友人を増やし 楽しく遊んで欲しいものです。
もう一度日を改めて試乗に来たいと言い残し 笑顔で何度も会釈をして帰って行かれました。
さて一人はすでにMD30を持っていて これから買う選択肢として同じMD30を買うのか、
同じでは嫌なのであえて他機種を選ぶのか 動向が楽しみだ。
ただ昔ドミネーター(650)のチューニングを依頼された時 オフロードユースなのになぜドミネーターを
選んだのかと聞いたら XR600Rがあまりに多かったのが嫌だったので同系列のエンジンが載った
ドミネーターを選んだそうだ。しかし何故XR600Rが多いか考えなければならない、増してやドミネーターは
オフ車ではなくロングツアラーだ。オフで使うには重く足も弱い、エンジンに手を入替えて 足も改造しても
トータルバランスと出費を考えるとかなりの遠回りになる、そこを考えないと・・・ 気持ちは分かるけど。
同じ機種を選んでもやはり可能性が高いベースを選び自分の色で主張すれば良いのではないだろうか。
=感受性の隔たり=
少し前にME08ドノーマルを所有したユーザーがシュラウド佐西号に試乗した際 「私のXRとあまり
変わらないので通勤快足は要らないです」と言って帰られた方が居られました。そのXRはリアスプロケット
48Tでウチのは42T・・・ 今までのお客さんであればわざわざ言わなくても雰囲気の違いに気付き 自ら試乗後
リアスプロケットを確認する人や聞いてくる人がほとんどでした。自分の経験上 頭の中で換算して42Tで
この加速なら48Tだったら・・・すごいですね、と言う流れだった。
それ以前に48Tであれば各ギアの回転の吹き上がり方で違いに気付くべき
気づかないぐらいのユーザーさんにわざわざ貴重なPJキャブは
“豚に真珠 ・ 猫に小判 ・ 馬の耳に念仏 ・ 犬に論語 ・ 兎に祭文
”付けて頂かなくても結構。
分かっていたがあえて言わず見送った。そんなお店なのです ヴァイタルは。
人には五感というものが備わっている、その五感も人によって様々なのは分かっている。
元から長けている人は良いのだがそうで無い人は多くの経験を積みその感覚を育んで行って欲しい。
それに取り組もうとする気持ちが大切なのだ、根拠の無い裏づけの無いプライドは捨てるべき。
また試乗時に“Air Charger System”も付いているので試してみたら と薦めても「違いが良く分からない」と
言う方も増えてきました。コレが分からないようであれば何をやっても分からないだろう と 最近は
“Air Charger System”の事は黙っているようになってしまいました。
キックが最たる件でほとんど掛けられる人が居ません、ですのでセルレスキットは口が裂けても付ける事は
勧めなくなってしまいました。私にとってPJキャブのロースロやデコンプの動画を上げる事が「何故ここまで
しなければならない時代になったのだろう」と屈辱に際悩まれています。誰でも初めはある 壁に当たったら
それを克服する努力が必要だ。人は出来て自分は出来ない 実に屈辱的な事象だ、受け入れがたいこと
なのだがハリボテのプライドは捨てて努力しマスターすることがその人の新価なのだと思う。
何事においても現状の事実を認め その殻から抜け出す事を覚えれば広い世界が待っています。
最近は切に切に望む事です。