もうコレが最後となるであろう「MD30エンジン フルチューニングバージョン」二基
“地上最強のMD30”と被るかと思いますが 組んでいく詳細を紹介して行こうと思います。
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ウチのホームページをよく読んでいらっしゃるようで オーナーさん自らME08のクランクケースで
組んで欲しいと依頼がありました。
国内XLR系(MD)のクランクケースと 逆輸入車のXR250R(ME08)のクランクケースは
鋳型は同じですが アルミを流し込んだ後にケースに掛ける圧力が違い
ME08の方が硬く 強度や剛性 雌ネジの強さが違うのです。
ソレを知っておられたようで MD30のエンジンベースですがクランクケースは中古のME08を使っていきます。
パーツで提供されたクランクケース
パッキン剥がしは勿論 オイルストーンで面を整えます。
また今回高回転型に対応する為 ブリーザー口の面積を“倍”に広げ加工しています。(ピストン抵抗低減)
L ME08クランクケース
R ME08クランクケース
ご存知かどうか分かりませんが Rケースに使われている1箇所のベアリングはもともと組まれていて
パーツでは入手出来ません。
シフトドラムを支えるベアリングです。
コレは純正パーツで使えるものは用意してあります。
またME08にはニュートラルスイッチがありませんので MD30同様取り付け穴を加工しますが
失敗した時に替えがありませんので 慎重に一発勝負となります。
またオーバーホール時に必ず交換が必要になるベアリング
赤丸○
部分のベアリングはすでに生廃
外周に溝がある特殊なベアリングです。
青丸○
部分はキックが付いている場合 必ず荒れますので要交換
クランクケース内のベアリング一式
------------ and -----------
クランクケースを組む前に 各パーツでやる事があります。
まずバランサー
左:MD30 右:ME08
MD30のバランサーにはギア鳴き防止のバックラッシュギアが組み込まれていますので
回転抵抗になる為 取り外します。
軽量化も兼ね 一石二鳥です。
続いてミッション
270ccまではクロスミッションが有効ですので入替えます。
上のメインシャフトはユーザーさんが新品を送ってきたので入替えます。
コレが昔売っていた“男のクロス”です。
続いてはケースをばらした時の根幹的パートです。
クランクセンター出しです。
=クランクセンター出し=
クランクの構成は下記↓に述べていますが 左右のウェブを同一線上に修正する事で
クランクの“芯”が出せるのです。芯が出ていれば振動もなくなりますし 回転の上限も上がります。
回転による振動は様々な“悪さ”をします。
ネジを緩ませたり 回転上昇が遅くなったり ピーク回転を妨げるのです。
大きな公差のクランクは 俗に言う「はずれのエンジン」になってしまうのです。
体感的にはガサツな吹き上がりが モーターのようなスムーズなものに変わるのです。
クランクの構造は右・左のウェブにコンロッドの大端ピンが圧入されて構成しています。
溶接やスプラインなどで完全固定され嵌め合わされている訳ではありません。
右のウェブと左のウェブのセンターがかつてピッタリ合っているモノはひとつもありませんでした。
メーカー公差の範囲以内で組まれているのです。
コレをセンターのずれをゼロに修正してクランクケース内に組み込む訳です。
左右のケースを合わせるまでが勝負ですが パーツ単体ではコツンと床に置くだけで狂うシビアな部分なのです。
あと肝心なのはクランクケースを合わせる時 センターガスケットが要ります。
そのセンターガスケットがとっくに生廃になっているのです。
社外品は信用出来ないし
ウチでも残りが少ないので有効な使い方をしたいものです。
------------ Icing on the cake -----------
“断捨離パーツ”にME08の新品左クランクケースが出ています。
クランクの固定は左が圧入 右が挿入式です。
クランクも左側は圧入なのでしっかりした新品が良いに決まっています。
コレは個々の判断に委ねますが せっかくなので・・・
ただ組みあがったクランクケースはあしゅら男爵のような見た目にはなりますが・・・
To be continued.