先日 永らく自宅待機をお願いしていたXR400Rがオイル漏れの修理で入庫した。
現車を見るとシリンダーとヘッドの間 左エキゾースト側にオイルにじみが若干あった。
ユーザーさんの話を聞くとオイルゲージにオイルが点かないのでこのオイル漏れが原因で
オイルが減っているのでは無いかと言う事だった。この程度でオイルが減るようなものでは
無かったので オイルレベルをどうやってチェックしたのかと聞くと エンジンも始動せず
ただゲージを差して見ただけらしい。1週間も置いておけばフレーム側のオイルはエンジン内に
下がってしまいゲージには点かない。「ご存知ですか」にも記しているように走ってトルクを掛けないと
しっかりとオイルは上がってこない事は述べています、このユーザーは勿論見ていなかったようだ。
ちょっとした勘違いから当店に入庫したわけだがオイル漏れは治すとして ついでに”通勤快足”を
組む事となった。‘96XR400R 初期型のわりにはメーター読みで1万キロ走行と言う事で中古として
購入されたようだ、手に入れて5千キロ おそらくエンジンはノーマルだろうと言う事だ。早速バラして見た。
ヘッドカバーを外しロッカーアームのフェイス面をチェックすると4箇所共荒れている。
何故だ、ヘッドにはしっかりとオイルは上がっているのに・・・ カムを見るとカム山の4箇所共カジって
いた、目を横に写すとオートデコンプ機構が無い 外品のカムなのか?いやいやノーマルカムの
デコンプ抜きのようだ。それもオートデコンプ用のオイルポートが塞がれていない、これが原因のようだ。
ウチがデコンプ抜きをご披露しているせいか 中途半端な施工がされている。機械的リミッターを
解除する目的だがC.D.Iはノーマルで先に電気リミッターが効くのでカムのデコンプ外しには
まったく効果が無い。外したデコンプ機構を潤滑するためのオイルポートは
カム山のオイルポートより大きな穴が2つも開いている しかも外すと負荷が無くなるのでオイルの
吐出量はハンパ無い、そのポートからオイルが出る事により
カム山へのオイル圧が下がってしまい大幅な吐出量低下によるカジリが出たのだ。
しかもオートデコンプ用のプランジャーも外されていなかった まさしく機能を理解していない猿真似だ。
これがエンジン作動中に外れ エンジン内に落ちると取り返しがつかないような事になる。
そしてヘッドを外す折 4箇所のスタッドボルトに手を掛けたらまったくトルクが掛かっていなかった。
その内1箇所は手で回るほどだった、オイル漏れはコレが原因だ。そしてピストンを見ると
外品鍛造ピストンの420ccになっていた。
これで5千キロ走行とは思えないほどオイル上がりを起こしていて御覧の通りピストンヘッドは
オイルでベッタベタ。ピストンメーカーの指定通りでボーリングするとこのように浅い距離でも
早々にこのような有様になる。鍛造を組む限りはノーマル鋳造のようにはいかないがオイル食いが
出にくいようなクリアランスがあるのだ。※HRCピストンは同じ鍛造だがオイルは食わないので例外で除く。
またオーナーが言うにはコレが400のパワーなのかが
分からないと言われていたがまったく本来のパワーは出ていない。
こんな排気口が付いている限り 有り得ない。すでに作るのが面倒臭い生廃にしたノーマルマフラー用の
オリジナルのサイレンサーを作って対応する事にした。総評として前オーナーがやった事とは言え
チューニングに対する冒涜 非常にナメたやり方だ、非常に腹が立った、今のオーナーさんが可哀想。
今のオーナーさんもまさかこんな事になっているとは思っていなかったどころか年式のわりには
良い買い物をしたと思われていたようだ。不幸中の幸いでウチに見てもらって良かったと前向きな
コメントを頂きました、待って良かったと。
出来上がりのインプレで青褪める顔が楽しみだ。
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もうひとつ最近では有り得ない壊れ方をしたものをご紹介しよう。
MD30の腰上をバラして驚いた。
硬い進化型HOTCAMUがこんなに削れるとは・・・ 有り得ない
エンジンにオイルが入っていない、ME06 MD22系以来の焼付き症状だ MD30 ME08系では
まず見られない症状だ。
ロッカーアームは半分ほど削れ カム山は1mm近く減っている、エンジン、パーツに残っているオイルが
焼け干上がりヘドロのように残っている。乗っている本人はまったく気付かずそのまま乗っていたようだ。
エンジンがヒート状態になった時クラッチからヘンな音がするのでエンジンをバラしたついでに見てくれとは
聞いていた。それ以前にヘッドから
どえらい音
が出ていた筈・・・
それにまったく気付いていないようだ。またノーマルでも
必ず多い少ないは有るにせよオイルは減ります、自分のバイクのペースは小まめにチェックして把握すべきです。
オイルは命
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