= Camshaft =

カムシャフトはパワー曲線を描く重要なパーツです。

まずノーマルカムのプロフィールを見てみよう。






総排気量 (cm3) 397.2
内径×行程 (mm) 85.0×70.0
圧縮比 9.3
 ⇒ HRC 11
最高出力 (PS/rpm) 40/7,500
 ⇒ HRCkit 44.5
最大トルク (kgm/rpm) 4.21/6,000

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HRC ハイカム




HRCカムはノーマルバルブスプリングで対応可

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シングルロードレーサーXR600Rを手掛けた理由は

オフロードとオンロードのチューニングは同じではない ある部分ではまったく逆の味付けをしなければならない。

私の思考が正解であれば 自ずと順位に反映してくる。

実に遣り甲斐のある事と受け止め挑戦する事にした。

ロードのシングルの世界は花形で強豪のショップが多く その中に参入して何処まで出来るか

「下克上」的な事が大好きな事も有り 様々なノウハウを得るには絶好のチャンスと見た。

始めは直線が短いコースでのシリーズ戦だったのでウチの真骨頂レスポンス重視のチューニングで

その年のシリーズチャンピオンは獲得出来た(5戦中4勝)。

翌年からストレートが長い国際コースをメインとする事になった為 

今までのチューニング内容はリセットしなければならなかった。

そこで出会ったのがメガサイクル社のカムシャフト

ロードでは低速からトルクが必要でフラットなパワー曲線(山なり)が有利で

競り負けない為の高回転を確保しなければならなかった。

従来のカムは左側のような尖ったカム山が主流でどの回転域でピークパワーを出すかはっきりした

作用角がソレを表している。

メガサイクルのカムは右側のようにカム山が丸っこいプロフィールが特徴。

左右のカムプロフィールのイメージ図

左カム:黒線 右カム:赤線

バイク好きなら今更カムについてウンチク垂れる必要は無いでしょうが・・・

ここに最高馬力回転数とバルブタイミングの相関表がある。


カムはより多くの吸入混合気をシリンダーに送り込むかで出力が決まる。

吸入量を多くするにはバルブのリフトを大きくするか 長い時間開けておくか

それでも充填効率は最大50%ぐらいです。

コレを1%とか数%アップするだけで大きく出力が変わってくるのです。

どの回転域でパワーを出すかはオーバーラップの広さで決まってきます。


限度問題ですがオーバーラップが広い方が高回転型という傾向があります。

そしてバルブが開いている時間が長い方が充填効率もアップします。

右側のカムプロフィールの方が低速からトルクが太く トルク変動も少ない、

ピークエンドを迎えても回転は延び続け大きく出力が落ちる事が無い。

ソレに加えバルブスプリングのレートをムチャクチャ上げなくても
(従来の外品のレートとノーマルの中間レート)

済むので カムを作動させるフリクションロスも軽減出来る。


リフトが極端に尖ったタイプは↑上図のようにバルブジャンピングやバウンスが出易い。

コレはサージングに繋がってきます。


以上の事を踏まえカムシャフトを選定していきます。

メガサイクルのような特性はロードだけでなく クルマも含めオフロードでも有効な事だと言う事が分かった。

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現在のバイク 特にDOHC車のほとんどは下映像↓のようなプロフィールが主流です。



典型的な尖ったタイプです、コレはフワ〜と回るけれどトルクは全般的に薄い。(特に低中速)

同じ排気量であれば「恐るるに足らず」

バイク業界は本当に進歩が“牛歩”


当店のカム選定


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