今まででも特化した性能を誇ってきたヴァイタルチューン“XR400R”でした。

あとは「乾いた雑巾を絞る」かのような細部に渡るテコ入れを進めていました。


4サイクルモトクロスに参加していたこの頃 モトクロッサー相手に何度も優勝出来るまでの

仕上がりを見せていましたが まだこの「三種の神器」は創作されておらず

もし当時コレが出来ていたら もっと楽に走れたり・勝率が上がったのに と思うばかりです。


令和になりブッ千切りのレベルまで 大幅に引き上げるアイテムが三種(プラス one)完成しました。

       1.)最高出力を絞り出せる理想的な進角特性をもつC.D.Iユニット

       2.)嘗て例の無い角度のHiカッタウェイ(フォーランナーバルブ)

       3.)大幅なキャブ位置の変更

       プラス one.)チタンバルブの実用化 ⇒ 非買

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1.)今まで各種そのエンジンが高出力が得られるようにベストと言われる進角度数に近いC.D.Iを使ってきました。

しかし ドンピシャなモノが無いのでなるべく近いものを選択してきました。

資料の見直しは常にしてはいるのですが この令和になってXR(A.C)に理想的なC.D.Iを発掘、

同時に400Rはリミッターの効きが早いのがネックでしたが このC.D.Iは実質ノンリミッター、

プラス4.000rpm以上は回せるようになります。

メーカーのピストンスピードの限界データで回転を割り出してみよう。

一般的にピストンMAXスピード:35m/sec が限界とされている。

XR400R:内径×行程 (mm) 85.0×70.0 から算出すると15.000rpmとなる。

XR600R(630cc)をモタード化しロードレースに参加していた頃 600Rのピーク回転は

計算上10.000rpmであったが 実質12.000rpmは回っていた実績があります。

またノーマルXLR250R(MD22)のサージング域を調べると12.000rpm、

250ベースの通勤快足セット仕様(チタンリテーナー付)で13.800rpmでサージングを起こします。

傾向としてピストン重量や排気量が大きくなればなるほどピーク回転が下がる傾向にあります。

こういったデータや計算により目安が立てられるので役立ちます。

コレにピストンの摺動抵抗を減らすサイドスリット加工や軽量ピストンピンを加えれば・・・

しかし一筋縄にはいきません、配線変更やパルサー(抵抗値)の変更 ベストの位置に取り付け出来るよう

フライス加工やベースの加工などなど・・・

やっと市販化出来るところまでになりました。

試作で取り付け 加速テストを行ったところ アクセルひとひねりで加速で視野が一気に

狭くなるほどの劇的な変化が見られました。

2.)もともと当店で使っているPJキャブは加速重視のスロットルバルブが標準で付いてきます。

ただでさえこのPJキャブは構造上レスポンスが良い事で使ってきましたが

標準で付いてくるバルブがカッタウェイのきついモノ。

しかしもっと上の♯(番手)がある事が判明、しかしすでに生廃・廃盤となっていた。

そこでノーマルバルブを加工出来ないものだろうかと試行錯誤・・・

かなりのバルブを潰しましたが安定して加工出来る手法を確立しました。

ノーマルPJキャブにハイカッタウェイを入れて走れば 誰でも分かる変わり方を示しました。

それを更に同じ性能の上がり方で効果があり ますます加速力に拍車が掛かる結果となりました。

3.)PJキャブはベンチュリーの割りにキャブ本体が小さく各機種に取り付けるのにダイレクトに

取り付け出来ます。前にも述べたようにキャブ位置はエンジンに近いほどレスポンスが上がります。

パーツが無い時はインマニの取り付け面を面研していた程です。

5mmほどの研磨で誰でも体感出来る変化を見せます。

特にXR400Rのノーマルインマニは距離が長く PJキャブを取り付けると作動性に

問題はありませんがキャブの頭がフレームに当たるのがネックでした。

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=インマニ長=

XR400R:63mm ショートインマニ:38mm

25mmもの短縮に成功しました。
(この数値がどれほどのモノか分かる方は猛者です)

=実際やってみた事=

PJキャブをXRにボルトオンの装着する時にコネクティングチューブとキャブの間にアタッチメントを

製作します、キャブを可能な限りエンジン側に寄せ取り付ける為です。

XR600Rでこのアタッチメントをエンジン側に加工し取り付けるとどんな感じになるかやった事がある。

実質15mm後ろにオフセットする事になります。

そしてその体感はアレだけレスポンスが良かったのが 負圧キャブのように一テンポ遅れて

反応がドヨ〜ンと悪くなってしまいました、

まだノーマルキャブの方がレスポンスが良いぐらいまで下がってしまいました。

それだけキャブ位置が重要な意味を持ってくるのです。


↑:ノーマルインマニ                    ↑:ショートインマニ

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当時あちこちの掲示板でFCRかPJか論争がありました。(圧倒的にFCR派が多かった印象)

前述にも書きましたがキャブの構造を理解していればこんな論争にはならなかったと思います。

言葉上「フラットキャブ」という名称で同じ呼称なので同一線上に比較していたのだと思います。

サッカーでボールを手で持ってラグビーのような攻め方をして「反則」を取られ

「何が悪い」と言っているようなモノ。


まずスロットルバルブの厚み


FCRのスロットルバルブはPJの約1.5倍厚い。


一目瞭然キャブセンターからエンジン側までの距離がPJの方が短い

FCRはスリングショット(斜め傾斜のバルブ軌道)によりスロットル開閉スピードが遅い。

また取り付ける機種によっては最近セル付きが多くフロートチャンバーとの干渉を

避ける為 インマニを長くし後ろにオフセットせざるを得ない。

FCRの多くは純正スロットルを加工して取り付ける場合が多く巻き取り角度が大きい。

FCRは加速ポンプが付いており燃料の吐出量が多く 頻繁な開閉でカブる場合がある。
(ホンダの同機種の場合 例えばXLRとXRではXLRには加速ポンプが付いていて
XRには無い、その理由がカブりの問題が出るからです)

キャブ単体で比較してみよう、

取り付け距離が同じと仮定してもバルブの厚みが影響して実質PWKと同レベルの性能。

通常のキャブにエアジェットが追加されているせいでセッティングのベストが出し難く

季節でセッティングを変えざるを得ない。


FCRユーザーが最後に言うのは「YZ400Fに標準装備されていて

あのレスポンス・パワーが生まれる」と言う。

エンジン単体で見れば確かに2ストに近いレスポンスを生む造りです。

昔バックオフの“チューニング狂の詩”でも書きましたが 逆にPJキャブを装備したなら

アクセルに忠実過ぎてシャキシャキのエンジンになり 乗り手を選ぶ難しいマシンになってしまいます。

スロットルコントロールがトラクションに合わせてコントロール出来るクレバーな乗り手にしか

手に負えなくなるでしょう。

FCRを付ける事によりレスポンスをボカしていると言うのが見抜けないのでしょう。

FCRを知らない訳ではなくロード仕様XR600Rで採用していました。

シングルのロードレースで席巻したXR600R“改”

手掛けた当初は630ccでPJ38.3を使用(小さい中山コースが中心)

コースを筑波などのハイスピードに移した為 FCRシングルに変更
※当時大きなベンチュリーはFCRФ41しか無かった為

650ccに変更した時からSRX600用のFCR×ツインを採用
シングルポートをツインポートに改修

680cc時にも同様FCR×ツインで走らせました。

延べ十年にわたり当店で手掛けた車輌です。

FCRが良ければ当然使っています。

FCRとPJキャブを2種類買い比較したユーザーは居ないでしょう。

当時でも十万以上はしましたから・・・

FCRを付けたユーザーさんが当店でチューニングした際 多くはキャブはそのままでやって欲しいと言う。

出来上がって当店の試乗車と乗り比べると(エンジン内容はまったく同じ)

ウチの試乗車の方が良く走るのは何故かと聞かれる。

「だからキャブの違いだと・・・」私曰く

こういったユーザーさんが過去3人ほど居ました。

このやり取りは当ホームページのQ&Aにユーザーさんの感想が載せられています。

一読ください。


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