ヴァイタル的XR250改 300cc

今をさかのぼること1995年頃 250改300ccのチューニングには否定的でした。

と言いますのも 修理で良く300ccに改造されたものが入って来ていて それも組み込んで

から比較的短期間で症状が出ている物が多かったからです。

原因は複数の要素があり まずピストン材質がアルミ鍛造製という事もあり オイル上がり

が多く見受けられました。それとピストンとクランクのバランスが崩れ 振動が発生する事

による弊害。大幅に排気量が上がる事により吸、排気のバランスの崩れ などが主に上げ

られます。しかし そんなマシンでも回っている時のトルク、パワー感はばかに出来ない

ものが有り 何とかウチのやり方で大成できないものかと思考錯誤の上 着手した物です。

しかし 大幅に手が掛かる(=費用が掛かる)為 現実として市販化はせず 1トライとして

製作した事から始まったのです。

= 考 察 =

根本発想は”もしメーカーが始めから300ccとして製作したとしたら”から入りました。

・ピストン重量増加とクランクウェイトのバランス取り

250ノーマルのピストンとクランクの重量、重心の関係をコピーし 300ピストンでの

クランク加工を施す。そのままですと頭が重くなる為 クランク側が軽くなる事になり

ピストンの往復運動による振動が発生する。この振動はエンジンマウント,スタッドボルト、

クランクベアリングに大きな負担をかけ ひいては 回転の上昇スピード、上限の回転の

妨げになる。本来ならばクランク外径大きくしなければならないがスペース的な制限や重く

なることで吹き上がりがマッタリするので クランク加工は軽量化を兼ねてクランク自身の

重心を下げる事により解決する(クランクセンター出しも含む)。

また鍛造ピストンのリスク対策(ピストン膨張率)でピストン修正並びに独自のクリアランス

設定でリスク解消可能。

・ボアアップによるクランクケース内の圧力上昇対策

ボアを上げる事でクランクケース内の容量変動が大きくなり そのままではノーマル

ブリーザーでは追い付かず 内圧上昇による回転上昇の妨げ、ブリーザーからのオイル

噴出が起こります。ピストン運動の妨げにならないよう いち早く圧力を外に出す必要が

有り 対策としてクランクケース内のブリーザー口を増設する必要があります。その手助け

として 勿論外のブリーザーパイプも同時に口径を上げ面積を確保する。

・排気量アップに対する吸,排気バランス

20%排気量アップする事により 本来ならば吸排気のバルブ口径を上げなければいけま

せんが実質燃焼室面積はイッパイイッパイまできています、そこでバルブ口径を上げると

同じ効果を持たせるポート研磨を実施し対応する。ノーマルのままですと実際欲しい混合気

より薄くなり 燃焼温度が高くなりヒートを誘発する、ひいてはデトネーションの危険性も有り

必ず対策を行なわなければならない。エンジンストールの場合 再始動が困難。

吸排気効率アップに乗じて より充填効率を上げる為 ハイカム、強化バルブスプリング

も必須。


以上 上記↑の事はセットでどれも欠かせない事項であり 実施する事で250ccノーマルの

ようにスムーズで素直な吹き上がりが実現します、メインは振動を解消する事でエンジン

寿命を大幅に延ばす事がミソです、プラス味付けフィーリングとして”通勤快速セット”の

フライホイル超軽量、PJキャブ、パルス進角加工でメリハリを付け より消耗を防ぐ為に

ピストンのスリット加工やオイル吐出量アップ オイル潤滑配分変更、各パーツのフリクショ

ンロス軽減(バルブ、リテーナー、ピストン、ロッカーアーム、カムスプロケットなど)の軽量

化を実施。

キャブ口径算出は目標回転から割り出し選択。
 0.7√(rpm×排気量L)〜マイナス2mm(エンジンフィーリングの好みにより選択)

排気系も勿論 目標とするフィーリング特性でエキパイ、マフラーを選択。

また 使用用途(ハイパワー重視か、トルク重視か)に応じて圧縮は燃焼室加工で

圧縮比調整。


=実施事項概要=

・エンジン脱着
・クランクウェイト調整
・クランクケース内ベアリング脱着
・クランクセンター出し
・バルタイ調整
・ブリーザー加工
・300cc(310cc)キット
・スリーブ採寸、入れ替え加工
・シリンダーボーリング加工
・ピストン修正
・ヘッドポート研磨
・ハイカム(ビレット)
・強化バルブスプリング
・通勤快速セット(PJキャブキット、フライホイル超軽量、パルス進角加工)
・A,Bオーバーホール工賃
 以上

ここであらかじめ表示しておきますがノーマルエンジンからの300cc化の費用は

エンジン内部、PJキャブ(エキパイ、マフラーを含まず)までで¥45万程掛かります。

300用のスリーブ外径がクランクケースに入らなくなる為 エンジンを下ろしケースの

ボーリング行程が入ります、ボーリングするとアルミの切削粉が散る為 ベアリングは

すべて外します。以上の行程が普通のボアアップと異なる為 金額に繁栄してくるわけで

す。


これらが完成した時の雑誌インプレを紹介しておきます。
文章は読めないと思いますが詳しくは”チューニング狂の詩”で紹介させて頂いています。ちなみにチューニング
マシンの紹介でカラー6ページはこの雑誌初だったようです。


↑画像をクリックすると大きくなります。

このエンデューロバージョン(圧縮10.5:1)のパワーチェックグラフです(ダイノジェット)。

同じエンジン300でマフラー容量変更による比較です、上表はマフラー容量小、下表は

マフラー容量大の特性変化比較表です。このエンデューロバージョンでエンジン換算

38.3PS/8.900rpm 3.43kg-m/7.000rpmを発生しています、なお現在の300はショートストローク

スプリント仕様は40psオーバーです。
(チューニング狂の詩 抜粋)



ここで300にしたユーザーM隊員のインプレコメントを紹介しておきます。


自分のXRは、田口さん曰く、ほぼヴァイタルのRVS300に近いチューンがなされています。

乗った感想はまずエンジン。エンジンのパワーがノーマルとは比較になりません、またピッ

クアップが非常に早く、YZ250Fとまではいきませんが、何ら不満のないツキの良さです。

アッというまにレブ付近まで回ってしまうので、自分も良く回し過ぎでエンジンを唸らせてし

まいます。(へたくそですね)やはりきっちりとバランス取りをしているエンジンは回り方が

非常にスムーズでエンジン回転数もノーマルより遥かに回り絶品です。レース中、WR425Fと

バトルになりましたが長いストレートでまったく問題無くついていけました とゆうか少し

上回るぐらいで走れたのにはこちらもびっくりで最初はYZ250Fだと思ってました。

多分エンジン性能だけではなく、サスペンション、二本だしマフラーの良さも手伝っての

総合的な結果だと思います。


次にRVS300のサスペンションについてですが、大きなジャンプをこなしてもまったく問題

無く、特にリアサス(デルタリンクサス)が、なんと言うか猫足と表現するのがぴったりの

サスです。ネッチャと路面に食いつくトラクション性能がなんとも良い味?を出ていて、

初期が大きいのかな?とにかく自分は大好きで、RVS300の大きな特徴の一つです。

それと、両サイドから出ている二本だしマフラー。デザインも良いんですが、性能のほうも

バッチリ。以前、自分はステンチューン命、二本だしは?・・と思っていたんですが、付けて

みると軽いは、抜けは良いわ、良いことずくめで、まったく田口さんの発想に脱帽です。

こけても丈夫ですよ。


最後になりましたが、レース中、最新のモトクロッサーやEDマシーンをジャンプでまたは

コーナーでズバズバ追い抜けたのは爽快で、トレール車のXRがココまで走れることはすごい

ことだと、お猿さん状態。うきっきっーと非常に楽しく走れました。

皆さんも是非、楽しいチューニングにいそしんでください。それでは。

補足)なお このM隊員の300は‘03 関西ガルルカップ オープンクラス
    年間シリーズチャンピオンに輝きました。




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