事の始まりは長谷見昌弘・砂子義一・北野元 ワークスドライバーの証言で

「イベントでお客さんのクルマに乗ったりする事がありますが

当時乗っていたスカイラインとは掛け離れた操縦性の悪さ、

それはフレームそのものがだいぶ痛んでいる事に加え

今のタイヤはグリップが良過ぎてフレームにしわ寄せが来る 結局フニャフニャなフィーリング。

スカイラインはこんなもんじゃないと伝えているんです。」

そういう指摘が無ければ気が付かないし 「そんなもの」としてスルーしていた。

言われるまでも無くフレームはまず重要な部位。

では当時のハコスカの操縦性はどうなのか 知りたくなってきた。

原点に戻りフレームを検証してみる。

あらためて

当時のワークスドライバー達は「KPGC10のフレームは剛性が強くコントロールがし易い」と言っているのを回想する。

勿論 今のクルマとの比較は出来ないと言うのが大前提だが・・・ 当時としてはと言う事だ。

当時のレースレギュレーションとして補強は許されなかった。

故に設計の段階にノーマルの状態でレースに耐え得る“強度”を持たせたと考えられる。

ハコスカ系のサイトではノーマルモノコックフレーム構造を深く探求したものはまず皆無だ。

そこで構成をあらためて検証してみよう。


構成





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本来の4DRから2DRに変更事項&セールスポイントの詳細は日産社内報が一番詳しく伝えられている。

そのサービス周報に基づきここに紹介します。

4DRと比較して (サービス周報より)

・前後のウィンドウガラスを傾斜を鋭角化

走行性能
経済性:セダンに比較して重量軽減がなされ 高速域で大きく影響する空気抵抗が軽減した為 燃費向上
加速性能:SS1/4マイル加速も重量軽減と空気抵抗の減少で性能向上

騒音・振動:ホイルベース短縮に伴いプロペラシャフトの長さが70mm短くなった為
         駆動系の騒音が低下し静粛性向上

安全性
・ドアロック:ドアロックラチェットの板厚増大 ドアストライカープレートの板厚増大等を図っている
・ドアアウタハンドル:対歩行者への安全性向上に対する配慮から 形状をプッシュボタンタイプから
 アツブハンドル方式に変更







当時の常識として4ドアから2ドアに設計変更する場合 ボディ補強する為重量増加が当たり前だった。

反し日産は軽量化に成功 画期的に報じられた。

重量比較

PGC10 車輌重量 1.120kg 前軸重:605kg 後軸重:515kg

KGC10 車輌重量 1.100kg 前軸重:605kg 後軸重:495kg

KPGC10 車輌重量 1.100kg 前軸重:595kg 後軸重:505kg

KPGC110 車輌重量 1.145kg 前軸重:640kg 後軸重:505kg


経年劣化した車体剛性を上げる為 ひとつの手段としてロールゲージという手法がある。



これらのゲージを使えばガッチガチに固められるが 私が思うに当時のワークスドライバーが

言っているのはそういう事では無いと思う。

“剛性と撓りの融合”

故にモノコック構造を充分理解したうえで補強・剛性アップを実現していきたい。


実践施術


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