スカイライン4ドアGT-Rから モデルチェンジしたハードトップ(以下略 HT)GT-Rに移行した初戦レース

勿論ニッサンワークスとしての参加だ、あまり多くは報道されていないような気がするが紹介してみよう。

(残っている映像が非常に少ないです)

=当HP:レーシングGT‐R開発簡略録より=

主要寸法は4Drに比べ全長:65mm短く 全幅:55mm広く 全高:15mm低く ホイルベース:70mm短く 車重:20kg軽量

数ヶ月前まで村山テストコースを覆面で走っていた試作車の1台はすべての試験が終わり第2特殊車両課にやってきた、見た目には立派な中古車で、すでに数万キロ走っているのでレース用実験車として使うには惜しげないベースである。レース車として改修が開始されたが主に軽量化とオーバーフェンダーの取り付け作業だ、後に4Drで開発されたレース用部品を組み込む。共用できないドア関係、ウィンド関係はノーマルのまま。

ハードトップGT‐Rはボディスタイルが変わり空気抵抗が減少している、空力的には前後バランスが4DrGT‐Rと変わりリヤのリフトが小さくテールウィングの効果が顕著に現れている。ホイルベース短縮の影響は直線安定性には影響なく むしろ乗りやすい。HT GT‐Rの特性がわかった今さらにタイムを短縮し 操縦しやすい性質があり今後が非常に楽しみで期待できるマシンであった。(車両設計は桜井真一郎氏)

‘70 10月23日 富士スピードウェイ HT GT‐R シェイクダウン

11月 新車が入手され開発実験も随時実施された、その主なものは下記↓の通りである。

1.)空力的な前後バランスはテールウィングによるリヤの押さえが4DrGT‐Rより大きく その反力でフロントが浮き気味となるため、コーナーでのアンダーが発生すると考えた。対策としてテールウィングの長さ 幅、取り付け角度等を検討したが4DrGT‐Rと共用とし取り付け角度とフロントスタビの径変更でコーナリングのアンダーを解消。

2.)エンジン使用回転の上昇に伴ってクラッチの滑りが発生、プレッシャープレートのクリップが折損するもので形状変更、材質変更で解消。

3.)タイヤについては磨耗、発熱などの対策としてショルダー部を変更し非対称タイヤの開発を進めた。

4.)既にエンジン性能はR380(GR8)を上回っており タイヤのワイド化でコーナースピードを上げる事を考え 将来に備えホイルはフロント:8J リヤ:11Jにすべく設計を開始。それに合わせHT GT‐R用のオーバーフェンダーを新設計、勿論空気抵抗を考慮に入れて規定範囲内で形状を決めた。8.5”×11”のホイルが出来上がるまでタイヤの実験用として前年中止していたアルミ板合わせによるホイルの実験を再開した。

タイヤの開発は目覚しく ‘70 12月には2分04秒6まで向上し アルミ製ホイル使用により車両のマッチングも良くなり‘71 3月には2分03秒4をマーク。

アルミ製ホイルは合わせ面に問題が残り ボルトの折損や緩みは材質変更、締め付けトルクの変更 合わせ面の形状変更など実施したが要求する耐久性を満足出来なかった。規定のマグネシュームホイル(神戸製鋼製)の納入が間に合わず5月は信頼性が高い従来のフロント8Jリヤ10.5Jを使用することとした。


入念なるテストを重ねてハードトップGT-Rは遂にワークスとしてデビュー戦を迎えた。

ワークスカラーも施さず ノーマルシルバーのままで参戦しているところがいかにもウイ陣らしい。


‘71 3月7日 全日本鈴鹿自動車レース大会 

小雪 記念すべきKPGC10‐Rデビュー戦

全日本選手権・Uレース 1周6.004km 1時間 出走25台

全日本選手権・Uレースの出走は25台。ツーリングカー部門が13台、スポーツカー部門が10台。

それにグランドカップレースへの参加車 2台がこれに組み込まれた。ただしこの2台は選手権規定によりタイトルポイント

からは除外される。主だったマシンとドライバーを紹介すると ニッサンファクトリーからは高橋国光 北野元がダットサン

スポーツ240Z、黒沢元治 長谷見昌弘がインジェクションスカイラインHT GT-R、都平健二がブルーバードSSS。

これにSCCNの若手 西野弘美、桑島正美 増田万三 千代間由親がフェアレディZ432を持ち込んだ。

その他 川口吉正がポルシェ910 高原敬武がポルシェ906 そして田中弘がニューニットラAC7での挑戦だ。

黒沢、長谷見のスカイラインHT GT-Rも実践初参加。GT-Rは中身は変わらないがボディ重量が軽減され空気抵抗が

小さくなり 更にホイルベースが70cmも短くなっている事からコーナーが多い鈴鹿では有利との声が強い。それに

“羽根”を付けているのでコーナリングスピードも抜群とは 前日の練習を見ていたレース関係者の話である。

こうした話題をのせてレースの火蓋を切った。

前日の予選上位車の顔ぶれは---------

bU4 高橋国光 ダットサンスポーツ240Z 2分24秒3
bU3 北野 元 ダットサンスポーツ240Z 2分24秒7
bU5 黒沢元治 スカイラインHT GT-R 2分26秒6
bU6 長谷見昌弘 スカイラインHT GT-R 2分26秒7
bV7 西野弘美 フェアレディZ432 2分26秒8
bW0 桑島正美 フェアレディZ432 2分27秒5

この後ろにbT9増田万三フェアレディZ432 bT6田中弘ニットラAC7 bV3高原敬武ポルシェ906 

bW3千代間由親フェアレディZ432 と並ぶ。

 スタート:このうちまず飛び出したのは65黒沢、66長谷見の新鋭スカイラインHT GT-R。

ポールポジションの64高橋ダットサンスポーツ240Zはやや遅れ気味のスタートだ。やがて2分40秒近くで

トップグループがスタンド前に帰ってきた、先頭から1位65黒沢HT・GT-R 2位66長谷見HT・GT-R 

3位63北野240z 4位bT9増田z432 5位80桑島z432 6位83千代間z432 といった顔ぶれだが

ほとんどダンゴ状態。64高橋240zはこれより遅れてスタンド前を通過したが2周目に5位、3周目には4位へ進出

トップ争いは激烈を極めてきた。しかしそのうち83千代間z432が遅れだしニッサンファクトリーの4人に立ち向かって

いるのは80桑島z432、59増田z432のふたりだけとなった。2分28秒前後で走る4車にまったく良く食い下がっている。

トップは65黒沢HT・GT-Rから66長谷見HT・GT-R、さらに63北野240z、そして再び黒沢といったぐあいで

めまぐるしく変わるが 10周を過ぎる頃から63北野240zがトップに立った。後ろはやや遅れて65黒沢HT・GT-R 

bT9増田z432 80桑島z432となる。快調だった66長谷見HT・GT-Rは10周目のスプーンカーブで戦列を

離れていた、アクセル系統のトラブルが原因だ。

 このあと7番手を走っていた83千代間z432もスプーン出口で藤井SSSに追突されてリタイア。さらに16周目に

差し掛かったところで上位グループに大きな変動が起こった、5番手にいた80桑島z432が1コーナーから2、3複合

コーナーにかかる地点でスピン。これを避け切れずにすぐ後ろについていた59増田z432が桑島の右リアホイルに

突っ込んでしまったのだ。増田はフロントにダメージを受けたがすぐに立ち直って再走。桑島もややあってコースへ

帰ったがフェンダーがタイヤに当たっていてもうもうと煙を吐きながらS字からダンロップブリッヂへと消えていった。

その周はそのままスタンド前をかすめ去って行ったが次の周でピットへ飛び込んできた。右リアタイヤが完全に張り裂け

ホイルだけで走っていた感じ。これで桑島は大きく後退した。その直後65黒沢HT・GT-Rもピットイン 右フロントタイヤ

を交換した、サスペンション系統のくるいらしい。

 その結果 トップ2車63北野240z 64高橋240z は変わらないが3位以下が変動した、といっても黒沢は

約30秒のロスタイムで4位。この間に59増田z432がはさまれている。65黒沢HT・GT-Rのうしろは順調に走っていた

川口910が上がり 77西野z432 高原906 80桑島z432とつづく。

 やがて1時間02分21秒を経過したところ63北野240zが25週をマークして優勝のゴールラインをかすめ去った。

ほとんど同タイムで64高橋240zが2位 以下59増田z432 65黒沢HT・GT-R 川口910の順でフィニッシュする

筈だったが最終ラップでもうぜんとスパートした川口910が65黒沢HT・GT-Rを0秒1おさえて位に食い込んだ。

 なおこのレースのスタート直前 北野の240Zはダンロップの最新型ドライタイヤ“CR92”を装着していた為 

オールウェザータイプの“CR65”に変更すべきかどうか迷っていたが結局“CR92”で走るという一幕があった。

このタイヤは非常に粒子の細かいゴムが使われグリップ力は抜群と言われるが完全にドライ専用。

当日の天候は小雪がちらついたりして不安定な為だが 結局北野は途中雪が降りつける悪コンディションの中で

見事これを使いきった。

また77西野z432 80桑島z432 59増田z432 の3人のマシンにも同じタイヤが装着されていた。


‘71全日本鈴鹿自動車レース大会 全日本選手権・Uレース結果

1位 bU3 北野 元 ダットサンスポーツ240Z 1時間02分20秒9 25周
2位 bU4 高橋国光 ダットサンスポーツ240Z 1時間02分20秒9 25周
3位 bT9 増田万三 フェアレディZ432 24周
4位 bU9 川口吉正 ポルシェ910 24周
5位 bU5 黒沢元治 スカイラインHT GT-R 24周
6位 bV7 西野弘美 フェアレディZ432 24周
7位 bV3 高原敬武 ポルシェ906 24周
8位 bW0 桑島正美 フェアレディZ432 23周
9位 bU7 大塚光博 スカイライン4DRGT-R 23周
10位 bW2 浅谷孝夫 ロータリークーペ 23周
11位 bV2 鼻山 日盛 フェアレディ2000 22周
12位 bV9 前川 弘 ロータリークーペ 22周
13位 bU8 岡本 甫 スカイライン4DRGT-R 21周
14位 bW1 水野 栄 ロータリークーペ 21周
15位 bV5 佐々木信隆  ブルーバードSSS 20周
16位 bU2 都平健二 ブルーバードSSS 20周
17位 bU1 清水省一 ブルーバードSSS 20周
18位 bW5 恒次利章 ロータリークーペ 19周
19位 bV6 湯口磯昭 ブルーバードSSS 18周

ハードトップGT‐R初陣 黒沢ドライブで37勝目を飾る。総合5位 Tクラス優勝


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