=諸元比較=
車重: 前軸重 後軸重
HT GT‐R 1.100kg F:600 R:500
GT‐改 1.130kg F:630 R:500
バネレート kg/mm
HT GT‐R F:2.35 R:11.6
GT‐改 F:2.82 R:13.92
以前は吸気系の話をしましたが 今度は排気系のお話です。
ハコスカGT‐Rの排気系(エキパイ)は3 IN 1 が2系統独立型(ディュアルマフラー左右干渉無し)で構成されています。
排気系はエキゾーストパイプとマフラーに分けられ それぞれの役割を持っています。S20型エンジンもL型エンジンも
点火する配列順は同じです、エキパイは前3気筒、後ろ3気筒を一つに集合させ 干渉させること無く独立の排気パイプで
排気している。
まずエキパイですが3気筒を一つに集合させる理由は各気筒から出るそれぞれ脈動した排気周波を互い違いに組み
合わせる事で均等な排気流にする役割をさせている。単気筒の排気脈動は分かると思います、その脈動した排気流は
パイプの中では流れにくい特性が有り 簡単な説明を下記↓に示すと
1気筒目:●→○→○ 2気筒目:○→●→○ 3気筒目:○→○→● コレを集合部で 3 IN 1 後:●●● となるように
組み合わせるわけです、そうすれば連続した流れになり流速を上げる事が出来ます。
その集合させる距離でエンジンフィーリングを変える事が出来ます、集合部が早いほどレスポンスが上がる傾向がある、
高速域は逆にピークエンドがはっきりとしてしまう。集合までの距離が遅いほどレスポンスは落ちるが高速域が延びると
言う傾向がある。φ数はノーマルのφ数を基準とするが限度は有るが太くするとトルク感が増える、小さくすると低中速の
線がはっきりし、上が回りにくくなる傾向がある。
マフラーをディュアルにするメリットはトルクの谷が無くなり下からフラットな山ナリのパワーカーブを描く特性がある。また
マフラー長を短くすればレスポンスが上がり ピークエンドがはっきりとする、長く取ればレスポンスは落ちるが高速域が
伸びる。これらはφ数によってその傾向がキツク出たり 緩和されたりする。
また等長エキゾーストマニホールドは前3気筒、後ろ3気筒の諸条件を均一にし主に全般的にトルクがのる。
GT‐Rの日産スポーツコーナーで出されていたレース用マフラーはサイド出しのショートタイプとロングタイプの2種類
用意されていた、コースやユーザードライバーの好みに味付けを選ぶことが出来た。
以上の特性を把握し それぞれの吸気、エンジン、排気を組み合わせ 求めるエンジンフィーリングを組み合わせ作り
上げていくのが本来のチューニングなのです。
今日ウチの近くの車屋さんにHT GT‐Rがやってきた、以前より「もしかして入ってくるかもしれない、入ってきたら本物の
Rかどうか見て欲しい」とは聞いていたがソレも3ヶ月以上も前の事だった。私は音だけでS20だと分かっていた、早速
車屋さんが呼びに来てくれたのでそそくさと見に行った。「R 入ってきましたね」と言うと「本物のRとよく分かったね」と
言われましたが排気音がLとはまったく違いカン高いのですぐに分かる。
まず外観は綺麗に乗っているなぁと言う印象、聞けば「2オーナー目で 車庫保管 雨天未使用 持って結構長い」と
言うことだった。塗装は一度やり直したようだが下回りやドア内側など(定番で痛んでくる場所)は古さは伺えるが実に
綺麗(手入れが行き届いていて綺麗と言うことでなくベース自体が綺麗に保存されていると言う意味)。持って来たのは
いつも世話をしている中間業者さんでオーナーではなかった。エンジンルームを見て唖然!汚い、外見からは想像が
付かないほど・・・(下の映像では伝わらないが)
コード ゴム ホース ハーネス類にはまったく手付かずでノーメンテ状態(かなり古そう)、サーモスタット回りにクーラント
漏れの跡、クラッチマスター付け根に古い漏れ跡が有り塗装が剥離、エンジンルーム隔壁のあちこちに蚊に刺された
ぐらいの錆び浮きがポコポコ。エンジン本体にもオイル漏れ有り、しかし調子は良さそうでタペット音は静かでアイドリング
の脈動も無い キャブ回りは綺麗で手が入っているようだ。ストラットアッパーはひび割れ伸びていている。
室内も全般的に綺麗で新車時の時のように何にも付けていないようだ、内張りが汚くヤレている。
ホーンボタンがRのものがそうなったのか GTのものを加工したのか分からないぐらい朽ちていて 室内を綺麗に掃除
したような形跡も無い。車屋の大将が試乗に乗って出た時にマフラーからタバコの煙ほどの白煙が・・・
細かく見て行くとこのオーナーは本当にGT‐Rが好きなのか?と正直思った。永く乗る気構えならこんな乗りっパ状態に
なるまで放っておくわけが無い。運転席側に良く見れば分かる凹みが2箇所、前後ホイルも色や程度がバラバラ 今なら
綺麗にまだ治せる状態なので是非実行して欲しいものだ。このGT‐Rはほとんどストックのまま維持されていてそれなりに
手は入れず保管は良い条件で維持されていたようだ、充分上物と言って良いだろう。
久々にGT‐Rを目の前にして心が高鳴ることを想像していたのだが 意外にも 失望的な気持ちに近いものがあった。
(ここでGT‐Rファンの方々にくれぐれも言っておきたいのですが 決してGT‐Rを侮辱しているのでは無い事は理解して
欲しいのです 憧れのクルマには変わりない事だけは言っておきます)
GT‐Rでもオーナーの愛情の片鱗が見えなかったからだろう、生き生きとしたGT‐Rでは無かった。
しかし GT‐Rは憧れのハコスカに違いは無い、自分でも自分のGT‐改に何を求め探求しているのかを見失ってしまった
のだろうか、しかし 口で説明出来ないのだが何かを投影して手を入れている、 今はうまく説明出来ないのです。
でもこの気持ちは時間が経てば自然に点と点が繋がって 後になって分かってくるような気がする、自分の信じる道を
突き進むだけだ。