いよいよ腰上の組付けです。

600のシリンダーはもうありませんので Ф100HRCピストンが使えるシリンダーを選択

AIポートが付いているので放置したままだと見た目が悪い、

ウメ栓を製作


取り付け

同じ鍛造ピストンでもHRC製(XR400R・630)は別格 専用設計にて外品鍛造ピストンと違いオイル消費が少ない。



もともと入っていた鍛造ピストンとの比較(左:HRC 右:アリアス)

HRCは何処をとっても均一な肉厚で作られている。(均一な膨張)


今となってはレアなHRC RS600Dの630ccハイコンプピストン(鍛造)

このピストンはもともと耐久性があり永く使えます。

以前手掛けたXR600Rモタード ロードの世界でも実績を挙げ立証済み


それにもっとロングライフになるように当店オリジナルのスリット加工を施工

ピストンを組み込み シリンダーへと

ヘッドはRS600D張りのビッグフィン



RS600D ヘッド



アルベーカーのヘッドポートは表面を磨いただけのものなので本来のポーティングにやりかえる。

そして秘蔵のRS600Dカムシャフト

旧タイプなのでカム山の配列が異なる、

ロッカーアームやベアリングもこのサイズに合わせる。


一箇所ロッカーアームが合わないので加工するのに苦労した。


この後シリンダーまで組んだエンジンをフレームに載せ ヘッドを組んでいきます。

(ヘッドがでか過ぎてエンジンがフレームに載せ難いので)

ドライサンプ車は定期的にフレームのストレーナの掃除をしてください。

 ⇒ 
オーナーさんはココを見ていたようで比較的綺麗な状態でした。

------------ after a long time -----------

次にヘッドのポート修正とバルブの組み上げです。


バルブをシートカット・ラッピング仕上げします。

修正後のポート



バルブ組み付け




クロモリリテーナー&強化スプリング

いよいよシリンダーにヘッドを載せていきます。


強化カムスプロケット&HRCハイカム組み付け

600の場合テンショナーが独特の構造でテンションを張るのが一苦労 純正工具は使いものになりません。

また強化カムスプロケットを使いますが ノーマルのようにタイミングを合わせる時 カムの取り付け位置が

逆になります、そしてカムを通す時 逃げ場が無いので チョッとコツが必要になります。

続いて

ヘッドカバーを載せていきます。

600は250や400のように簡単に取れそうで取れません、脱着にコツがいるのです。

「知恵の輪」風で 取り付けます。



タペット調整をし キャップを付けますが 左IN側からオイル1L
フレーム側に1.4L慣らしオイルを入れておきます。

さあ これからがヒト作業 オイルポンプのエア抜きが大変です。

セルが無いのでひたすらキックの雨嵐 同時にフレームにエアで圧力を掛けて抜いていきます。

この作業を怠ると3分も経たずカムやロッカーアームが先に焼きついてしまいます。

------------ Wait a little time -----------

無事オイルポンプのエア抜きも終え 周辺パーツを組んでいきます。

ステーターコイル&パルス配線 エキパイ&マフラー フロントスプロケット・カバー&チェーン

チェンジペダル クラッチワイヤー などなど・・・

フロントスプロケットを取り付ける時に気が付いた。



フロントチェーンスライダーが硬化 ボロボロに欠けていた。



幸い新品がまだ出るので入替え

そして最終 キャブレターのセッティング


オーバーホールを兼ねてジェット類の確認

油面の位置がずれていたのを修正 このズレで大幅に修正しなければならない。

今の仕様とは合わないのでジェットを入替えますが 当店に在庫が無くメーカー発注 部品待ち

To be continued.

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今となってはRS600Dといってもピンと来ない人も多いと思います。



HRCのフラットトラッカー500と600がある。

主に海外(US)向けで生産されたが日本にはわずか2基しか入らなかった。

XRは40PSに対し 600Dはマニュアル通りに製作すれば60PSを発揮した。

今となっては“超お宝”

XR系が好きな方でこの存在を知らない人は「モグリ」と言われても仕方が無い。

この主力のカムとピストンを使ってビルドアップしています。


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