かつて2サイクルモトクロッサ−のチューニング幅は少なく エンジンに手を入れてしまうとパワーダウンか ピーキーな
特性になりがちで主にチャンバーなどが寄与する事が多かった。4サイクルに変わってからも同様であろうと思っていまし
たが とんでも有りませんでした。蓋を開けてみますとXR同様有るは有るは・・・どれも足を引っ張る事無く効果的な部位
ばかり 4ストを熟知する方であれば言うまでも無いだろう。細かいところはシークレットですが今 実車がMFJを走ってお
り 着実に実績を上げています。
CRF250Rを公式レースに出すには 音量規制と言うレギュレーションが有る為 オプションのマフラーを付けざるを
得ない。その理由は 今のところ音量をクリヤーしつつ ノーマルのフラットパワーの良いところを殺さず メインジェットの
下げ代をを最小限に食い止める、そしてフロント,リヤ荷重バランスを崩さないもの と言う諸条件をクリヤーするには
オプションマフラーを選ばざるを得ない。この条件をベースにエンジンチューニングを進めてみたい。
エンジンを全バラしてみて 対策を練ると まず
@バランサータイミングをベストに合わせる(バックラッシュ取り)
Aクランクセンター出しを中心に 用途に応じて軽量も可能
B実車でTマーク刻印
Cピストン、シリンダーのクリアランス合わせ(リング合わせも含む) ピストン加工 特にサイドスリットは有効
Dポート研磨の実施
Eバルブの当たりをレース仕様に変更
Fタペットクリアランス再調整
Gカムタイミング合わせ
H簡単に軽量可能な部分は実施 例)ロッカーアーム、バルブ、ピストン、コンロッド、クランク,フライホイルなど エンジン、車体6mmボルトを可能な限りジュラボルトに変更(最低90本は可能)
IFCRキャブのベストセッティング
以上の事項をバランス良く実施 組み上げることでスムーズでレスポンスも良く 吹きあ
がりも早いエンジンを作ることが出来る。
コーナーからすぐのジャンプ、ギャップにアクセルを開けるだけでリヤを瞬時に縮める
挙動や飛距離 ダッシュ力、テールの出し入れをコントロールし易くなります。
同じレースに出る以上 4ストレーサーは同じ枷が掛けられますので これらの実施で
スタートからゴールまですべてにおいて 優位に立てるでしょう。
また マフラー規制が無い場合は なお更パワフルで機敏なマシンに生まれ変わる
でしょう。
=‘04 レース報告 ‘05 1/22 =
昨年 前半は練習中の手首骨折でまったく参戦出来ず 後半からのエントリーになってしまいました。しかし 着実にポイントを取り最終戦を
終わってみれば 無事国内A級に昇格出来ました。半年の間でポイントを取りポテンシャルを発揮出来たことで更なるチューンを‘04ベースで
行う事にする。
‘04 CRF250Rベースで ‘05シリーズを戦う `05 01/22
昨年はノーマルエンジンのバランス取りを中心に行いましたが ‘05シリーズを戦う為に大幅なチューニングを行う事にした。
=目標=
・規制入り純正マフラー(94db)を装備しつつ ノーマルを上回るトルク、パワーアップを狙う。
新型‘05を考察して見ると メインは低、中速のトルクアップのようだ。これを実現する為に カムプロフィールを丸くし
ヘッドポートを細く(同時にポート挟み角を狭くする作用で性能アップを図っている〜このカムプロフィールの傾向と作用角の事が
分からない方は勉強してください)、フロントエキパイを長めに取っている(メーカーがやる手法としてはイマイチ)。
そこで欲張りなモンで‘05のおいしいところも頂いて 全般的にトルクアップと同時に吹き上がりはシャープさを増し
アクセル動作にダイレクトに連動したパワーレスポンス(路面のμは関係無くカッ穿るレスポンス)を移植する事にする。
カムは‘05を選択、ヘッドは‘05を選択せず(ポートが細いのは低、中速は良いが中、高速でトルクの弱りパワーが出にくい
からです)‘04をポーティングしトルクアップ、効率アップの挟み角が出るように施す。エキパイはやはりレスポンスを落としたく
ないので‘04を仕様。CRF250Rのポートを見るとやはり市販車ベースで無駄肉やアラが多く XR系のものと変わらずここで
大幅な性能アップが望めることが分かった(トルクアップ、高速)。そして カナメはバルタイとタペット調整ペットに尽きる(インレットがチタン製で柔らかく
座が沈み易いので すぐにクリアランスが詰まってしまう〜これに対しても対策を講じました)。ピストンはロングライフ、及び
フリクションロスが実現できる加工を精密旋盤にて施す。今回はヘッドチューンがかなりの貢献をしてくれそうだ。
=サスペンション=
戦うクラスが一つ上がるだけに サスチューンもおろそかに出来ない。我ヴァイタルではBABANA SHOXSさんと技術提携しており
オリジナルスーパーデルタプロリンクが完成したのも馬場さんのおかげです。3年の歳月を掛けリヤショック(スプリント仕様)の熟成
出来ました。通常は普通のオーバーホールしかされないようですが ウチからのオーダーで自由自在のチューニングが可能です。
経歴は言うまでも無いでしょう、ご本人が乗れて触れる強みと国際A級それも頂点に君臨されたワークスの実績はまさに宝もの
です。現在も皆様ご存知の通り全日本MXに携われている関係上 コースや内情に詳しいので特に注文はせずお任せチューンを
依頼しました。特に作動性が良いフリクションロス加工を重点的に行ってもらい マル秘のチューンをやってくれたそうです。
(注)ここでBABANA SHOXSさんに個人オーダーでサスチューンに出すのはご遠慮下さい、馬場さんに迷惑が掛かりますので。
一般にはチューン作業依頼は行っておられません、あくまでヴァイタルとの提携でやっている事です。
なお 今年は全日本にも参戦するらしく フルパワーマフラーでエントリーが可能です、94db仕様ですでにフルパワー以上の
ジェッティングが出来てるということは(どう言う意味かお分かりと思いますが) 排気規制が解除される事でこのエンジンがどんな
パワーが出せるか非常に楽しみです。
ヘッドチューンの補助としてエキゾースト側のロッカーアーム軽量を実施、そしてチタンリテーナーを製作予定。レートアップシムで
バルブスプリングのレートアップを製作中。