−構造−
手もとのレバーを引く事で シリンダーヘッドに付いているデコンプカムを動かし、そのカム
は排気側ロッカーアームを押します。そうすることで排気バルブが若干開き 圧縮を排気バ
ルブより抜くわけです(圧縮によるキックが重くなる部分が柔らかくなります)。エンジンを止
める時に作動させ止めた場合 シリンダーが乾いた状態で止まりますので 再始動しやすく
なります。またこの事でバルブキッスする事はありません。場合によっては 下りで使うとエ
ンジンブレーキを和らげると共に押し掛けがし易くなります。
冷間時でもシリンダー内の状態を均一なクリヤ−ドライな条件にする為 マニュアルデコンプを使うようクセを付けるように心掛けてください。
@まず マニュアルデコンプを引き アクセル全開で空キック3回ほどします。
(注)マニュアルデコンプを使う時は 必ずアクセルは全開という作業はセット作業とお考え下さい。その理由はエンジンが掛からない時は シリンダー内が燃料の吸い込み過ぎで湿っている事が大半だからです。アクセルオフでキックしますと キャブレターとキャブのピストン間のクリアランスが狭く エンジンの吸入による負圧が高くなり よけい燃料を吸い込んでしまうからです。スロットルを開ける事でその負圧を和らげ よりフレッシュなエアをシリンダー内に呼び込み 乾かす必要が有るからです。
Aキャブレターのチョークレバーを引いて 通常通りキック始動してください。
B5回ほどキックしても掛からない場合は 直ちにチョークレバーをオフにして(出来れば 燃料コックも) デコンプレバーを引きアクセル全開で 空キックを3〜5回ほどして下さい (シリンダーを乾かす為)。
Cそして 次ぎはアクセルが開き始めるところで手首を固定し キックを最上段から ストッパーまで体重をかけ勢い良く踏みきります。
(注)無意識にキックと同時にアクセルが開いている方が多く見受けられます、その場合はブレーキレバーに指をかけて少し握り キックすれば防止出来ます。その開度以上ではまずエンジンは始動しません。中にはXLRのように 加速ポンプが付いている物はアクセルが開く度にその都度 セミの小便のように シリンダーに向けて燃料が吐出していますので よけい掛からなくなります。
Cの補足・・・出来れば デコンプから手を離し キックを踏んで硬いところを出します (硬いところがピストン位置が圧縮上死点付近です)。硬いところが出ましたら デコンプを 引き キックの踏みシロ5センチほど踏み下げてください(ピストンを圧縮上死点位置から 少し下げて 軽いところでキックするとピストンストロークスピードが上がり 圧縮も上がり 易く混合気に着火しやすくなる為です)。そしてデコンプから手を離し キックを上まで戻し 最上段から体重をかけストッパーまで勢い良く踏みきります。
(注)俗に言う上死点もクソも無い”ガムシャラキック”では掛かりにくいです、特に硬いところからの踏み切りは ピストンストロークスピードが早くならない為 掛かりにくいと言うかまず掛からないです。
Dこの行程を繰り返してください、早い内に掛かるはずです。
この場合は エンジンを切った直後とか 転倒によるエンジンストール時の場合です。
−状況−
エンジンをキルやメインキーで切った直後は点火が止められる為エンジンは止まりますが
慣性でクランクは回りながら止まります。その少しの間でも燃料は吸入はされますので
燃焼室は湿ってしまいます。それと転倒時はキャブからのオーバーフローにより カブって
止まります、この場合は燃料カブリと 急激なエンジン停止による燃焼室内の温度上昇で
なお更掛かりにくい状況になっています。
@シリンダー内の濃い混合気をいち早く外に出すと同時に 温度を下げる為に上記の@の 行程を行います(空キックは多い目の方がシリンダー内の温度が下がり 掛かり易いで す)。そしてCの行程を行い、繰り 返してください、早い内に掛かるはずです。