御存知ですか?

ここではバイクに関する一般常識について書いてみます。

御存知の方は良いのですが 御存知ない方は頭の片隅にでも

入れておいてください。

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以前も告知していたと思うのですが ここ最近ノーマルで1万kmも走ってないMD30に起こっている事が

下映像↓のような事例です。

いずれも通常(MD22やME06時代)では考えられない距離で 特に排気側のカムの毟れ(ムシレ)が多く見られる

事です。これはノーマルの希薄燃焼により排気温度が上がりノーマル指定の10W−40クラスでは本来の潤滑が

出来ず油膜切れを起こしている事を意味している。それに加えプラグは単車にしては♯8の焼け型指定が拍車を

掛けている。勿論相手側のロッカーアームのフェイス面も痛んでいて ひどいものは逆に削れて凹んでいるものも

ある。この場合はオイルポンプもやられていると考えた方が良い。オイルポンプのトロコイド部に金属粉が噛んで

気密性を失い吐出量が一気に低下 オイルの流れが悪いとエンジン内で高温に長時間さらされるので加速度的に

オイル劣化が始まる。ますます油膜切れを起こす連鎖に入ってしまうのです。上のカムを見ても分かるようにカムの

頂点以外は新品のようです それだけ走って無いのにエンジン内ではこのような現象が起こっているのです。

昔から良く聞く「早め早めにオイル交換している」と言う方にもグレードが変わらなければ意味が無く 同じ事です、

表示が示す仕事しかオイルはしません。最低15W(10W)−50クラスを厳守して下さい。以前告知した

ワコーズの“トリプルR”20W−60もメーカー在庫が残り少ないそうです。オイルに関しては昔から認識が低く 何度

同じ事を言ってきたか分かりません、未だにお店でオイル交換する時に「60は硬いので40で充分」と言うバイク

ショップはやめた方が今後の得策かと思います。MD30はオイルラインはかなり強化されているにも関わらず

このような事例を多く見ると言う現実を人事でなく ↑上記に当てはまる方 いち早く対応して下さい。

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MD30系ドライサンプ車の正しいオイルレベルチェック 及び 管理

“ご存知ですか”で一応記してはいるのですが

純正マニュアルにも書いてありますがアイドリングのみでの暖気後(5分前後)エンジンを停止しバイクを前後タイヤを

接地させた状態で直立させフレーム側のオイルレベルゲージを抜き取りウェスで拭いて差すだけ(ねじ込まない)⇒

コレは正解でレベルを見るように説明されています。

しかしこれでは実際の正しいオイルレベルは量れません、良く言われるのは「ゲージにあまり着かないのでオイルを

食っているのではないか」そしてオイルを足してしまう。アイドリングの状態では5分や10分暖機をしてもオイルは

正規のレベルまでには達しません。ではどうしたら正しく量れるのか と言うと 最低5分は走って下さい。

一番良いのはその日の最後に走り終えた時 エンジン停止直後↑上記の要領で計測して下さい。

通常ドライサンプのME08やMD30はエンジン側に700cc フレーム側に1リッターで安定しています。

オイル消耗が有った場合 エンジン側はあくまで700ccをキープし フレーム側が少なくなるのでゲージに

少なく出るのです。負荷(レーシングは負荷にならない)を掛ければ一気にオイルが回るのでこの状態で

比較しないと正しいレベルチェックが出来ないのです。またウェットサンプの場合 オイルを入れ過ぎると

エンジン内の内圧が上がり過ぎて良くありませんがドライサンプの場合はフレーム側に多く押し上げエンジン内は

あくまでも700ccをキープしますので問題は有りません。純正マニュアルにはオイル交換時1.4リッターの交換と

記してありますが ヴァイタルでは1.7リッター入れています。オイルは多少でも消耗しますので常にアッパーレベル

近くにいつもキープしていれば オイルのヘタリも少なく良い状態をキープし易くなります。オイル交換はフレーム側

ドレンとエンジン側ドレンの2箇所で抜きます、フレーム側には1.2リッター以上入りませんので一気に入れようと

すると溢れてフレームが汚くなります。通常はフレーム側に1リッター入れ エンジンを掛けオイルを回した後 追加で

入れなくてはなりませんが 一度に済ませたい。ヴァイタルではフレームに1リッター入れ エンジンのタペットキャップ

(またがって右前⇒排気側)を外し700cc入れて行っています、これなら1度で済みます。

ついでに多くのオーバーホールをしていて気付く事ですが10W−40クラスのオイルを常に使用している場合 

10.000kmぐらいで排気側カムシャフトに巣が出ているものを多く見受けられます。昔よりRFVCエンジンは排気側の

カムがチョット無理をするとこのレベルのグレードでは油膜が切れフェイス面が荒れる事があります。

最低でも15W−50クラスのオイルを入れて下さい、オイルは命ですべての源です。

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= フロント回り =


まず バイクのホルダー系には取り付け方向が有り 絞め付ける順番が有ります。

フロントフォークのアクスルホルダー・・・矢印↑が上方向で 絞め付けは上2つが先で下は添える程

                       度に絞め付けるだけで充分です(スタッドが折れた場合交換

                       が効きます)。また フロントアクスルも力づくで絞め付けず

                       ソコソコでOKです、また シャフトを回す時 フロントホイルを

                       見ながら回すと ホイルが振れた場合シャフトが曲がっている

                       証拠なので 要交換となります。フロントアクスルは転倒時に

                       フロントフォークの変形を守る為 あえて柔らかい素材で出来

                       ています。

フロントブレーキマスターホルダー・・・矢印↑が上で 上から下へと絞め付けます、下の絞め付けは

                      そこそこ(0.7kgmほど)で。  

クラッチホルダー・・・ポンチマーク・が上で 上から下へと絞め付けます。下の絞め付けはそこそこで。

ハンドルクランプホルダー・・・ポンチマーク・が上で 上から下へと絞め付けます。下の絞め付けはそ

                 こそこ。レンサルなどのローレットが入ってないタイプのハンドルの場合

                 は 下方向のボルトもキツメに絞めてください。              


ハンドルの取り付け角度・・・車体の横から見てバーエンドが水平を標準として下さい。

レバー類の取り付け位置・・・ブレーキもクラッチもレバーエンドが握った状態で グリップエンドの内

                 側に入る位置で取り付け 角度は水平に近い方が望ましい。絞め付け

                 具合は ホルダーに力を入れて動く程度にして下さい。

アクセルグリップカラー・・・良くケミカル剤やグリスを塗付してるものを見受けますが 時間を追うに連

                れてゴミやカスが混ざって硬いグリス状になり 動きが悪くなります。金属

                と樹脂は滑りの相性が良いので 何も付けず使用してください。

ワイヤー類・・・これもワイヤーインジェクターなどでケミカルを吹き入れるくらいであればワイヤー自

         身の交換をお勧めします。理由は同上です。

シフト、ブレーキアーム・・・ステップ上限位置を基準に水平を標準として下さい。どちらもあえて柔らか

                い金属で出来ていて ヒットした時に曲がりシャフトなどを保護する役目が

                有る為 強化品の使用はお勧め出来ません、特にシフトペダルは。

ブレーキホースとアクセルワイヤーの位置・・・ブレーキホースの下をアクセルワイヤーが通るよう配置。


フロントフォークのメンテ

フロントフォークオイルの交換時期は 基本的にエンジンオイルと同時期(3〜5.000km毎)。

新しいオイルは表示通り常温から使用による温度上昇まで安定した性能を発揮します。しかし市販の

大半は鉱物性で開封と同時に空気に触れる為 酸化(劣化)が始まります。構造上 カートリッヂは

水鉄砲のような作りで サスがストロークする度に強制的にオリフィスと言う小さな穴を出し入れされて

その抵抗でダンパー性能を得ています、その時に熱が発生するのです。そう言う作りな上でオイルに

は非常に過酷な条件にさらされているので 劣化も早いのです。

・内圧をマメに抜く・・・サスがストロークする度にインナーチューブの凸凹に付いている細かい気泡が

サス内に導かれ 伸びる時シールに掻き落とされ内部に溜まってゆくのです。サス内は正圧になり

(今の標準は大気圧)動きがどんどん硬くなっていきます。1日サーキットで遊ぶ程度でも 

結構内圧は上がります。レーシングスタンドでマシンを上げ 圧を抜いて見て下さい。

倒立サスの注意事項

・正立サスと違いオイルが漏れ始めると 止めど無く漏れ続けます、漏れ防止の為 インナーチューブ

に付着しているホコリや干上がった土を気が付けば拭っておく必要が有ります。また 町乗りがメイン

の方はインナーチューブの下(フルボトム付近)が滅多にストロークしない為 錆びているものを多く見

受けられます(カバーが有る為見難いのも有ります)、ご注意下さい。

トランポに積載時には フロントフォークストッパーを

車にマシンを積む時に フロントフォークを縮めるわけですがストッパー無しではかなり沈み込みま

す、その時のフォーク内の圧はシールを痛める原因になります。フロントフォークストッパーの

装備をお勧めします。

フォーク剛性の作り

縦方向は2本のフォーク 横方向はトップブリッヂ、アンダーブラケット、アクスルシャフトの構成に

なっています。転倒や衝撃保護の為に横方向の3つにはそれぞれ役割が有ります。中心のメイン

剛性はアンダーブラケットでほとんどの車種がアルミ鍛造製で出来ています。ヨジレに対してトップ

ブリッヂ(鋳造製)とアクスルシャフト(スチール製)を変形させて逃がしフロントフォークを守っている

のです。特にアクスルシャフトの変形は早く 見極めの目安はフロントホイルを外す時にアクスル

ホルダーを緩め アクスルシャフトを回す時にホイルのリムに目をやってください、シャフトが曲がって

いればリムが左右に振りますので その時はアクスルシャフトを交換してください、意外と良く

曲がっています。ホイル脱着の時には必ず確認をして下さい。


MFバッテリーについて
・初期充電の仕方、重要性

新品のバッテリーは液を入れる注入口にシール(アルミ箔)が張ってあります、それを剥がす時に

吸入音がする物が良品です。付属のバッテリー液を本体に差し込み約30分放置しておきます

(初期の反応が落ち着くまで)。シールドをして 初期充電30分して下さい。充電はMFバッテリー

専用の充電器を必ずご使用下さい(通常の充電器は追い込み量が多く バッテリーに過充電になり

ますので)。ここまでやれば100%の力が発揮できます、そのバッテリーの寿命は初期の取り扱いで

決まります。液を入れただけのものは7〜8割ほどしか性能がありません。

通常バッテリーを使っていて上がった場合は インジケーターランプが付いている程度であれば 

充電すれば復活しますが 完全に上がっている物はほとんどが充電してもダメで要交換です。


キャブレター内のそれぞれの担当

 キャブセッティングで苦労されている事が多いと思います、経験がものを言う分野ですが 

この表を理解して頂ければ 今よりも楽に的が絞れると思います、参考にして下さい。


急報 4サイクルモトクロスレーサーのエンジン寿命

ここ最近 YZ、WZ、CRFなど4サイクルモトクロッサーが随分普及してきています、そして

良く耳にするのが”4ストだからエンジン寿命が長い”と言う言葉です、一般ユーザーなら

まだしも 全日本を回っているプロショップでさえこれを言っているようです。雑誌などで

ニュ−カマ−として大体ピストンの映像が出ています。これを見てすぐに”もたないな”と

思わないのでしょうか?元々が2サイクルに取って代わる4サイクルなのでパワー重視で

 極論で言えば1レース持っているポテンシャルが保てれば良い作りです。極限まで摺動

抵抗やフリクションロスを無くしパワーに貢献させる。2ストモトクロッサー並の超軽量の

フライホイル、クランクシャフト 定番必須の超ショートストローク 高圧縮化 DOHC水冷

化これらは絶対外せない条件です。この中で超ショートストローク化による副産物ピストン

寸法がロングライフには不利なのです。極力エンジン重量、車体重心を低く抑える為高さの

抑制によりコンロッドも短くせざるを得ない、ピストンスカートが下死点ではクランクギリギリ

まで下がり 必然的にピストン高も短くなります。これがピストンの首振りにつながります。

増してピストンリングもフリクションロス軽減の為コンプレッションが1本です。これらの事が

見るだけでピンと来るだけの知識を持って欲しいのです。

下記↓映像をご覧下さい、これはCRF450の物ですが 1年で3時間エンデューロ3回、

練習5回ほど使ったものです。これを見てどう思われますか?トータルで20時間ほど使った

物がこのヘタリかたなのです、XRで言えば10.000km走行に匹敵するものです。ピストン

サイドの強いはずの表面処理がめくれています、これが出てしまうとピストン寿命は終了で

す(ピストン構造はチューニング狂の詩で詳しく述べていますのでここでは省きます)。

それも450ccと言う大排気量でこれでしたら250ccはもっと消耗は早いと言う事です。

ですから市販ナンバー付き4ストとはまったく違い 消耗は比較にならないほど早いと言う

事です。従来の2ストモトクロッサーの1.5倍の寿命と言うほどでしょうか、再認識して

ください。あと排気量の割にはオイル容量は少なく消耗も早いです。


=スチーム洗車厳禁=

レースや林道ツーリングでドロドロになった車体を高圧洗車機で洗っている光景を良く見う

けます。モトクロッサーの様に車体全体にわたり全バラメンテが当たり前のモノでも知らな

い間に各部が痛んでしまう原因になります。と言うのもまずベアリング回りが錆びることが

多い。例えば三つ又のステアリングベアリングや前後ホイルベアリングなど、そのベアリン

グの上には保護する為に必ずオイルシールが有ります、高圧洗車機の圧力でさらされると

ひとたまりも有りません。そのシールを圧力が勝ち 水が進入します。ベアリングなどの材

質は水分にさらされると30分有れば真っ赤になるほどの速度で酸化(錆)していきます。

そしてその水分は逆にシールされている事で外に出ず 常にウェットな状態になっているの

です。

また別件でエアクリーナーボックスやマフラーから入る水の悪害、バルブ回りの錆の誘発。

運悪くエンジン静止状態でバルブを押したままの事があります、その時は水分がシリンダー

に進入し シリンダーやピストンリングが錆びます。これも30分あれば指で触っで表面がザ

ラつくほど荒れてしまいます。シリンダーは鋳鉄でこれが錆びるとカビのように根を張るタチ

の悪い状態です。万が一水が進入した場合 エンジンを掛け暖機して下さい。アイドリング

状態であれば最低30分以上、と言いますのもアイドリングで5分程度であればシリンダー

までは充分暖まりません、腰下やマフラーに充分熱が充分伝わり水分を蒸発させるには最

低30分は掛かるからです。一番良いのは5分暖機後 15分ほど走行するのが吸気,排気

に圧力が掛かり吹き飛ばしてくれるからです。

あと キャブのドレン、ブリーザーから水が進入しエンジンが始動出来ない状態になったり

電装のキャプラ−に入りリークしてしまう事もあります。

以上のことにより 高圧洗車機による洗車はお勧め出来ません、一番良いのはやはり手洗

い洗車です。各種類のブラシで隅々まで洗ってやってください、そうする事で車体全体の状

態も自然に目に入ってきます、ネジの脱落や緩み オイル漏れ 破損など。新車を美味しい

とこだけ乗ってすぐ乗り返る方は別でしょうが その中古を買った人はかわいそうだねぇ。


=エアクリーナ−のメンテ=

オーバーホールなどで入ってくる車両のエアクリーナーエレメントにドロドロの高粘度の

フィルターオイルが多量に着いているモノが多く見受けられます、外す為に触ると もうベト

ベト。モトクロッサーのように表面積が大きいものでしたらまだマシなのですが トレール系

の単車は色々な装備のせいでエアクリーナーボックスのスペースが犠牲になっていてレー

サーに比べると小さいです。このエアクリーナーエレメントに粘度が高いフィルターオイルを

多量に着けると スポンジ自信の組織をつぶしてしまい、吸入面積が少なく抵抗が増えま

す、しかしエンジンは回転に応じて吸い込もうとしますのでキャブ内の負圧は大きくなり 

ガンガン燃料を吸い上げてしまいます。すなわち 燃費も悪く 濃い為加速も悪く 黒煙ぽ

い排気ガスが出ます、燃焼室内は勿論 排気ポート エキパイ マフラーにカーボンが溜ま

り易くなるのです、そしてそのくすぶりがプラグを汚し火が飛びにくくなるのです。要はエア

クリーナーエレメントの役割はホコリ等の粒子を阻止すれば良いわけです。ヴァイタルでは

エレメントをガソリンで洗い 硬く絞り 乾かないうちに手の平に乗る程度の4サイクルオイ

ルをエレメントの着けまんべんなく広げます、その上から乾いたウエスで更に揉んでやり汁

気を取りエアクリーナーボックスに取り付けます。そうする事で組織をつぶす事無くエレメン

トにホコリなどを付着させ 最大限に吸入面積を有効に使い、レスポンス向上に貢献させて

います。

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↑上記事項を来店ユーザーにアドバイス後 頂いたメールをご紹介します。 

こんにちは 田口さん
先日 徹夜明けに突然お邪魔してしまった
XR400R乗りの Tです
その節は 徹夜明けにもかかわらず 
お時間をいただき 大変ありがとうございました。

あのときに 教えていただいた 
エアークリーナーえの フィルターOIlの使用
ツインエアーをやめ ギアーOILを お猪口に
1杯程度を練りこみ 走行しました
いや〜 ここまで変わるとは驚き 
レスポンスはもちろん 同じアクセル開度で
回転もすばらしいです。
なれた林道をせめても ペースがここまで違うとは
驚きでした。 ウッズを走って良し 
ある程度だるさをのこしつつのフィーリングは
僕には ジャストでした。
ますます 貴店のいや 田口さんのファンになり
XR400rの懐の広さを愉しんでいけそうです。
ありがとうございました。 


=慣らしの仕方=

”今の新車は慣らしが要らない” なんて随分前からクルマでも単車でも耳にします・・・とんでもない話です。

確かに機械精度は随分上がりましたが 新品パーツの組み合わせですので 比較的早く当たりが出るパーツと

時間を掛けないと当たりが出ないパーツが有ります、これは新車でも中古をO/Hしたりチューニングした時も同じです。

メーカーで指定された要綱など有りますが 今まで様々なエンジンを開けてきた経験で”永く良い状態のパワーが持続し

下から上まで綺麗に回るエンジン”の慣らしの仕方を書いてみたいと思います。


=新車の場合=

新車の場合は延べで3.000kmは慣らし気分でいて欲しい物です。

・まず 新車、中古、慣らし中にかかわらず エンジン暖機は最低5分は行って下さい(諸事情や環境など有りますが
 理想論です)。

・スロットル開度で6割まで(ノーマル:F13T R40Tですとトップで60km/h強まで)で 街乗り走行(ストップ&GO)で
 まず じっと我慢の
1.500km。ここでオイルフィルターとオイルを交換してください、オイルは10W−40程度の
 グレードがあまり高く無い方が良いです(高性能オイルを入れますと皮膜が強すぎて当たりが出にくいからです)。

これで主力部分(クランク、〃ベアリング、カムチェーン、シリンダー、ピストン、カム、ロッカーアーム)の粗(アラ)取りが
出来たはずです、あくまで粗取りですのでまだまだ油断禁物です。ミッションや減速器(カム回りも含む)などはエンジン
回転よりも低い回転ですので当たりが出にくく時間が掛かります。

・1.500km以降から8割ぐらいまでアクセルを開けても良いし タマのフルスロットルもOK。ただ高速回転をキープ

 するような事は絶対避けてください。そして 2.500〜3.000kmまで来ると徐々にアクセルを開けるようにしていきま  す。 延べで3.000km走行後 また 2度目のオイルフィルターとオイルを交換してください。ここから高性能オイルを
 いれる事をお勧めします(○○W−
50レベル)。

※なお一気に高速などで距離を稼ぐやり方はお勧め出来ません。何故ならピストンの”首振り周期”と言う言葉を
 聞いた事が有ると思います、ピストンが上下運動する時に各回転で特有な首振り周期を起こしています。車などの
 中古車で エンジンを回さない人が新車から乗っていたエンジンは回りにくいエンジンになっています。ピストンと
 シリンダーとの当たりが低い回転の首振り周期に道筋が出来ていて その周期を逆にピストンがなぞる為
 それ以上の回転に上がりにくいのです。

 また 周期のみならずピストンやシリンダー、カム ロッカーアームの当たり面は綺麗な当たりが出る前は大きな凸凹で
 あると認識してください、慣らしはその凸凹の山の頂点を磨耗させなじみをつけることが最大の狙いですので 
 なじみが出る前に大きな負荷を掛けてしまいますと必ず引きずり傷になります、ピストン&シリンダー間であれば
 圧縮抜け オイル上がりの引き金を引いてしまいます。カム&ロッカーアーム間では同じくフェイス面に傷が入ります
 ロッカーアームのフェイス面は高周波焼入れで高度を保っており人間の歯の構造に似ています、表面の数ミクロン
 単位しか硬くないのです(メッキのようなもの)。ですのでこの表面に傷が入ると 剥がれるきっかけを作りあっという
 間に硬いフェイス面が剥がれその下の柔らかい部分まで削ってしまうのです、当然カムも無事では済みません。
 この削れた金属粉はオイルに混ざりエンジン全域に悪さをします(以降 ”エンジンはどのように痛んで行くのか”を
 参照下さい)。


=中古の場合(オーバーホールや途中でパーツなどを組んだ場合)=

・ピストン、カム交換が入っている場合は最低500kmは必要です。アクセル開度6割を厳守し フル加速、
 高回転キープは厳禁です。新車同様街乗り走行(ストップ&GO)で行い 暖機も5分以上を厳守してください。
 オイルのグレードも新車同様です。

・500km走行後 オイルフィルターとオイルを交換してください。ここからはハイグレードのオイルでもOKです。

・500km以降はプラス300kmは8割ぐらいまでアクセルを開けても良いし タマのフルスロットルもOKですが
 

出来れば更なる慣らし促進の為10W−40程度をお勧めします。ただ高速回転をキープするような事は絶対
避けてください。そして 延べで800〜1.000kmまで来ると徐々にアクセルを開けるようにしていきます。
ここで1.000km走行後10W−40程度のオイルを入れている方には オイル交換を実施してハイグレード
オイルを入れてください。

また 1.000km走ったからといって即全開走行は避けてください、徐々に様子を見ながら開けるよう心掛けて下さい。

以上のような 要綱を無視して”自分のはどうも無い”と言われる方には 我がヴァイタルは無縁のものです、
ただその考えを他人に強要することはくれぐれも避けてください。


暖機を怠ると↑上記のようにピストンの裏が焼け ピストンピンにも油膜切れが顕著に出ます。

ピストン冷却はクランクの大端からの吹あげで潤滑しています、エンジンの温度が上がらないうちに負荷を掛けると

オイルは硬く吹き上がりにくく ピストンは温度が上がり焼けるわけです。ピストン首振りも油膜が少ないと消耗し 多きくなるのです。

当然 ピストンピンにガタが出て段ツキが起こるのです、オーバーホールの時にどんな使い方してるかすぐ分かります。

=オイルに付いて=


ヴァイタルでは 推奨オイルはノーマルベースでもグレード言うと #10〜15W−50をお勧めしています。

以前よりオーバーホールなどで入ってくる車両を見ますと 1年中#10W−40クラスを使っているものは2万キロ

前後でカム、ロッカーアーム、ピストン、シリンダー周りの消耗が著しく 通常はここまではならない と言うほどです。

また 3〜500km毎など早め早めに換えていても多少マシぐらいで大差ない。

オイルの表示は前半の数値は常温の粘度指数で 後半はエンジン内温度が理想的な時(96〜100℃まで)の

粘度指数を表す、良く”×W−50?硬くないですか?”なんて言われるのを耳にしますが 明らかにオイルの事が

分かっていない証です。上の50と言うイメージで言っているのだと思われますが 今時シングルの#50的発想では

困りモンです、あくまでも指数です。この番手は暖機後 エンジン内では水のような状態になっています。 

バイクで特にオフロード車は時として知らず知らずに悪条件にさらされます。

低いギアで回転を上げなければならない時(マディ条件やオフの足場が悪い坂道などで約5〜10分以上 

スタックしてしまった時や 2〜3速で長時間走らなければならない時、ゲロ系、夏場の渋滞など) 要はエンジンに風が

当たりにくくエンジン回転を長時間回している時にエンジン内温度が100℃を超えオイルの油膜が切れてしまい本来の

潤滑油の役割を果たさない。ご存知の通り油膜は金属と金属の間に薄い皮膜を形成し 直接当たり面が触れないよう

役割を果たしています。その皮膜が切れてしまいますと強い摩擦で短時間でそのあたり面は荒れてしまい磨耗の

きっかけを作ってしまうのです(以下 ”エンジンはどのようにして痛んで行くのだろう?”を参照下さい)。

オイルは110℃前後まで温度が上がると そこから一気に上昇しオイルの終わり(酸化)です。

オイル選びですが 表示の粘度があるのは当たり前のことでその他の付随する性能でも大きく左右します。

粘度の持続性、清浄性、流動性、形成素材、それとバイクはミッションも同じオイルで潤滑しますのでクラッチに与える

影響などトータルで考えます。ただこれは長期にわたりテストしないと分からないことですので目利きが効く信頼出来る

ショップでお尋ね下さい。

エンジンオイルは昔から 私が一般ユーザーから聞く限り意識はほとんど変わっておらず ひどい時には”入っていれば

何入ってても大丈夫”ぐらいの認識しかない方も居る。オイルはエンジン保護の要ですのでノーマル、チューニングに

かかわらず充分気を使って欲しいパートです。

←この手のテンプ計を良く見ますが実際の温度より表示は10℃前後多く出ます。

メーターに誤差が有るワケでは無く、フレーム内のゲージ部はオイルとエアが混ざった状態やオイルの霧状態ですので 

本来の油温より温度が高くなるわけです。エンジンドレンがセンサーになっているタイプをお勧めします。


=オイルレベルチェックの仕方=

○ドライサンプ車の場合

純正マニュアルに書いてあります、ただの暖機直後(アイドリングの状態のみでエンジン停止後) 単車を直立させ

(前後タイヤを接地させた状態)でゲージを抜き拭いて差し込むだけでレベルを見るように指示されていますが 

これだけではオイルレベルは充分に上がりません。

暖機後 100mほど走ってエンジンを止めた直後 単車を直立させ(前後タイヤを接地させた状態)でゲージを抜き

拭いて差し込むだけでレベルを見るようにしてください。要は少しでも負荷を掛けないと正規のレベルまでは

上がりにくいので要注意してください。

また 単車を使って走ってきた後に見るのが一番良いでしょう。


○ウェットサンプ車の場合

この場合は ただの暖機後(アイドリングの状態)エンジン停止状態で 約3分経過後 単車を直立させ(前後タイヤを

接地させた状態)でゲージを抜き拭いて差し込むだけでレベルは見れます。

↑上記2種とも出来るだけ アッパーレベルまでオイルを入れておくことをお勧めします。


=オートデコンプカムのタペット調整=


オートデコンプカム装着車は通常の圧縮上死点(Tマーク)を出すだけではタペット調整は出来ない。

純正マニュアルを見る限り理解しにくいので 当店のやり方を紹介しよう。


・まず シート、タンクを外し エンジンヘッドのタペットキャップを4ヶとも外します。

・フライホイルカバー側に立って見ます(↓図参照)

・↑上の映像の位置から見ますと 通常クランクの正常回転は反時計回りです。その反時計周りの方向にセンタ−の

穴に17mmソケットで回し 圧縮上死点(ノーマルTマーク フライホイル軽量車は縦溝のキリカキ)を出します。

(4サイクルはクランク2回転で1サイクルを終えます その2つの圧縮上死点のうち 1つはオーバーラップ時でこの時は

タペット調整は出来ません。 Tマークを出し 左右にクランクを回した時にロッカーアームが動かない位置がタペット調整

が出来る圧縮上死点です)


       ↑クランク反時計回りが正回転                 ↑クランク時計回りが逆回転

・圧縮上死点が出ましたら ヘッドカバーのロッカーアーム4ヶ中 左奥(単車にまたがった状態で右上)のロッカーアーム

だけが少し押えられていてバルブを押した状態になっています。


左奥(単車にまたがった状態で右上)


この状態ではタペット調整出来ませんので これを解除します。その方法は左奥(単車にまたがった状態で右上)の

ロッカーアームを見ながら 現在のTマークから時計回り(逆回転)に約1回転前後まで回しますと”パチン”と音を立てて

ロッカーアームが上にはね上がります(このときオートデコンプが解除されました)。その後 クランクを反時計回り

(正回転)に回し圧縮上死点に戻します。

この状態にしてはじめてタペット調整が出来るようになります、IN EXそれぞれシックシネスゲージで調整を行ってください。

この行程を怠ってタペット調整をしますと ヘッドから異様にデカイ タペットノイズ(ガチャガチャ音)が出ます。


=サスセッティング=

サスセッティングに万人向けのセッティングは無い、走る路面状況 天候による状況変化 ライダーの体重 乗り方etc...

等など諸条件でまるで換わってしまう。しかし 最低やっておく基本セッティングを紹介しておこう。

メーカーが指定するサグ出しです。

 ↑上記はレーサーですが基本は同じ 

・実走行と同じ重量条件にし ↑上記のように測定をする。

・乗車時 リヤサスストロークの1 / 3 沈むようサグ出しを設定する。

(例)MD30 リヤサスストローク260mmとすると 約87mmとなる。

一応これが基本基準となりますので 後はいつもの自分が走るところで硬いのか柔らかいのか判断をしてスプリングの

イニシャルを設定する、その時 スプリングアジャスターは2回転を1行程として調整してください。

工具のピンスパナでのスプリング調整はショックを外した時でないと使えません、ショックを車体に付けたまま調整する

場合は柄の先がなるべく鋭くない貫通ドライバーで叩いて回します。その時はレーシングスタンドで車体を浮かした状態で

行う。

・乗った感じがほんの心持ち柔らかいと感じた時は スプリングをいじらずにダンパーを硬い方にアジャストした方が

 感触が良い。

・ダンパーのイニシャルが目一杯ハード側にしないとダンパー感が出ない場合はオーバーホールか交換になります。

・また コースでの走行になる場合 スプリングの伸びる反力を利用して走る場合がありますのでダンパーを

 硬くし過ぎないようセッティングします。

・ダンパーはリヤシートを押した時に戻り方がダンパー性に富んで無いと役割を果たしていない。

 走り込んで行くとサス本体は熱くなりそのダンパー性能も冷間時に比べると落ちる傾向があります、またオイルが

 ヘタっていると 冷間時は硬く サスが暖まると腰(ダンパー感)が無くなります、正常な状態はこの差が少ないのです。


フロントサスはリヤに比べ やや固めの方がスピードに乗りやすく コントロール性が良い、逆に柔らかい場合はサスが

動き過ぎてスピードが食われて行き失速し易い(浮き砂利が多い路面では固めの場合は滑り出しが早いので初期の

作動性を良くしておく)。


今のところ モトクロッサー以外は乗り心地と走破性が両立したものは無く ライダーの好みでどちらかの方向性を選択

しなければならない。


=カムチェ−ンテンショナ−の固定方法=

カム交換などでテンショナーを縮め取り付けるのにカムチェーンテンショナーの固定の仕方は純正マニュアルで

記載している方法では非常にやりにくい、そこで当店でのやり方を紹介します。

まず テンショナーの弓形のスライダーの中央を長いドライバーなどで(先端がなるべく大きいものが望ましい)押す。

そうすると奥側のロッドが出てきます、いっぱいまで出てきたところでそのロッドをハンドプライヤーで挟み固定します。

↑上図のような構図になります。カム、スプロケットを正規の位置で固定しましたらこのプライヤーを解除します。


=クラッチASSYをハウジングに楽に入れる方法=

クラッチセンターCOMPにディスク、プレートを入れ クラッチプレッシャープレートを組み これをクラッチアウター

COMPに入れる時すんなり入らず苦労しているかと思います。これを楽にいれる方法を伝授します。

一通りクラッチセンターCOMPにディスク、プレートを入れ クラッチプレッシャープレートを組んだものに 1本だけ

スプリングを取り付け映像のような工具を作り スプリングに軽くテンションが掛かるまで締めます。

ハウジングに入るようにクラッチディスクの耳を揃えハウジングに差し入れます。

センターのシャフトのスプラインが合わず途中で止まった時 マイナスドライバーをシャフトに差込みスプラインが

合うところにねじり奥まで差し込みます。センターのシャフトにワッシャ、ナットを入るところまで入れ この工具を

緩め外します。クラッチシャフトの本締めが終わり スプリング、クラッチリフタープレ−トを付けますが正規の位置まで

本締めせず少し緩めておきます。

クラッチリフターピンを入れ 指でピンが回して軽くなる位置を出します、↑上図のようにマイナスドライバーなどで

調整しながら ピンが軽くなるところを探します。そのベストな位置が出ましたら本締めしてください。

本締め後 再度ピンが軽く回るかどうか確認してください。これを怠るとベアリングを痛めることはもとより

クラッチの軽さにも大きく影響します、また これがセンターが出ていない場合はエンジン始動状態でクラッチ

レリーズが上下にピョコピョコ動きますので 外目にすぐ分かります。


お客さんのオーバーホールなど見ていると 意外とシリンダーが錆びているものが多い。

湿気が入ったり 雨や洗車などで水が入ってのことです、要は置いているだけでつぶれていく場合が

往々にしてあると言う事です。シリンダーのスリーブは鋳鉄で水分にさらされると30分あれば真っ赤になるぐらい

進行は早いのです。

私は下の映像のように栓をして これを予防しています。

みそはエンジン停止後 完全にエンジン本体の温度が冷えてから栓をすることです。


エンジン内に水が混入する原因


最近 立て続けにオーバーホールで送ってきたものでエンジン内に水が入りダメージを受けている例を見ました。

オーナーに聞くと 水没したような事は無く 車両の管理も野ざらしでは無いようだ。

MD30発売以来 セルモーターのフライホイルカバーとの勘合部分(シールはO‐リング)から 水分が入った形跡は

チョクチョク見ました、セルモーターのベアリングがイカレたり リダクションカバー内が白濁したマヨネーズ状の

ものが付着します。しかし フライホイル側にまで混入している例は稀でエンジンに致命的なダメージを与えるまでには

至っていない。この対策として セルモーターの取り付けボルト2本を緩め モーター自体を収まりの良い位置に馴染ませ

取り付けボルトを再び締付けてください。

しかし エンジン内にオビタダシイ水が混入している原因としては 構造上 雨水や走行中にエンジン内に入ることは

考えにくい。そこで過去の経験を振り返って見るとまず第一候補の筆頭に上がる事例に心当たりが有る。

それはエンジンのブリーザーパイプである、この構造はブリーザーパイプからチャンバBOXには入る。そしてその

BOXの下にブリーザーチャンバードレンチューブ、上にはブリーザーチャンバーエアクリーナーケースチューブが

配される。下のブリーザーチャンバードレンチューブのエンドには栓がして有り密閉式で 上のブリーザーチャンバー

エアクリーナーケースチューブはエアクリーナーBOX内(エアエレメント内側)に通じていて ブローバイガスは

再燃焼させる為 還元されるシステムである。

当店で車両持込でAI解除キットなどを組む際 このノーマルブリーザーパイプ類を削除します。外したもののほとんど

にはエンジンブリーザーチャンバ内にナミナミと水が溜まっているのです、その水のほとんどはおそらくエンジン温度と

エアの温度差から出来る結露の溜まりと思われます。XLR時代に取り説でブリーザーチャンバードレンチューブのドレン

キャップを定期的に抜き 水抜きを実施することを義務付けていたように思いますが ここ最近はトンとそのウタイ文句は

聞かなくなりました。ここで注意ですが それならそのドレンキャップをハナから付けなければ良いと アンチョクに

思わないで下さい、このドレンを外したままにしておくと 吸入エアはエアエレメントを通らず ブリーザーパイプを

通して直接吸うようになりますので ホコリなどをモロに吸ってしまいエンジンに悪影響を及ぼしますのでご注意下さい。


↑ 純正ノーマルパーツ


そこで対策ですが 定期的にブリーザードレンを抜いてやれば良いのですが どうせであれば大口径ブリーザー

パイプキットの装着をお勧めします。エンジン内の加圧されたブローバイガスをいち早く抜いてピストンの上下運動の

妨げの原因を解消します、お勧めです。


水が混入しただけではこのように白濁はしない、エンジンを掛け混ざってしまうとこのようになります。

上図のような マヨネーズ状になったものは 社外品のフラッシングオイルなどでもまず落ちることはない。

綺麗に取り除くには全バラして ブラシなどで直接洗い落とすしか方法は無いのです。


衝撃映像

皆さん ”オーバーレブ”と言う言葉をご存知でしょうか?許容回転以上エンジンが回った時にバルブサージングが

起き バルブとピストンが干渉するいわゆる”バルブキッス”の事を言います。どのエンジンでも起こりうる事で

回し過ぎや加速中のギア抜け 転倒時にエンジン回転が急上昇した時などに起こりやすい。良く有る事でも有りませんが

機械モノを正しく理解して頂き”ムチを入れまくるとこんなリスクが有る事を認識してください”何事にも限度が有るのです。

バルブが曲がり圧縮が抜けてエンジン停止した場合はまだ軽症だが バルブの首が折れ脱落した場合が悲惨です。

このオーバーレブはノーマルエンジンでもチューニングエンジンでも起こります、チューニングエンジンで強化バルブ

スプリングを組んでいる場合はノーマルよりサージング域は当然高く追従性は良い、しかし それ以上回してしまうと

起こってしまう。(中には強化バルブスプリングを入れているから絶対バルブは突かないと思っている人が居るようで

 これは間違いですので認識を新たにしてください)

回るからといって回し放題回しているとこのようになるかも?限度がありますのでご注意下さい。


‘06 10 / 18 ホンダ直営ショップからの実例

先日 お客さまからのクレームで次のような話があったそうだ、‘06MD30のノーマル(AI装備)で社外品マフラーのみ

装備した単車が高速で全開走行したところ焼き付いたそうだ。詳しく聞いて見るとそのマフラーはタダでさえ抜けが良い

のに中の仕切り板に穴を開けて更に抜けを良くしていたそうだ。それら諸条件を聞いた私は”その状態だったら焼けても

仕方ないかもね”クレームにはならないでしょう・・・MD30以前のモデルだったら考えにくい事例ですが特にAIキット装備

モデル以降であれば充分あり得る話だ。と言いますのも 排気ガス対策で希薄燃焼の状態が今のノーマルの現状です、

それに加え排気系をノーマルから抜けの良いモノに変えるともっと薄くなります。そこに持ってきて高速の全開走行などの

負荷がきつい状態ですともっと薄い状態になるのです。4サイクルは2サイクルと違いなかなか焼きつくことは考えにくい

のが常ですがそれが焼き付くということはよほどの事と言う事です。雑誌などや個人の仕様をちらほら見る限りではこの

手の仕様が多いようですが ご自分の単車に心当たりはありませんか?最低限メインジェットの設定を変えるとか対策

しないとどえらい事になりますのでここにコーションとして実例を挙げておきます。(マフラーの実名は挙げることが出来

ませんがポピュラーに良く目にするモデルです、またこのマフラーに限らずもっと抜けが良いマフラーはたくさんあります

ので構造を良く把握してご自分の責任において対処してください)。何が言いたいのかと言いますと現モデルはノーマル

でこのような状態で有ることを把握しておいて欲しいのです。


 暖機運転 再び

冷間時からのエンジン始動時は今も昔も”暖機運転”は欠かす事が出来ない。ご存知の通り金属は熱を帯びると

膨張し大きくなります。ピストンはそれを見越して肉厚の関係でピストンヘッドはスカートより小さく 縦方向はピン方向

より小さく造られていて、暖まるとそれぞれが均等になるようになっている。暖機無しに走ってしまいますとオイルも

適温に達せず正規の仕事をしてくれません。それとピストンも特にヘッドの首振りが大きく縦運動するには抵抗も大きい。

走らずとも空吹かし(レーシング)を繰り返し早く暖まるように?かどうか理解に苦しむ行いをする方を意外と多く

見受けるのには驚きを通り越してあきれてしまいます。ウチにも試乗車があり エンジン始動後”5分待ってね”と

言ってアイドリングさせていると 言ったシリからアクセルに触るかと思った瞬間バンバンレーシングをする人も多いのが

実情です。そういう人の限って”付いてこないですね”なんて言い エンジンストールさせる。圧縮も正規に上がって

いないのに付いてくるわけ無いじゃないですか!これが当たり前の事ですが知らない事とはいえ ”知らない事自体が

”です、このレベルでバイクを語るにはおこがましい 恥ずべき事だと思ってください ウチでは”だって知らないん

だもの”などと言う甘えの言葉は通らない店なのです。

(電子レンジに濡れたネコを入れて乾かそうとするレベルの話と同等です)

先日バイク屋の店主が来た時にウチの試乗車を乗ってもらう時 これをやられました。プロがこのレベルでは嘆かわしい・・・

こんなところはまずやめた方が良いでしょう。

タダでさえ”試乗車”は使う条件が厳しい、5分と言っても充分な暖機ではなく 最低レベルのことです、そして走り出すと”どのくらい走るのか”

と全開走行ですので よっぽど消耗痛みが早いのです。人のバイクだから気を使わないのか ノー天気なのかは分かりませんが正しい

理解の上に”ある程度の労わり”があってしかるべきだと私は思います。 

”冷間時の空吹かしに百害あって一利なし(温間時でも同様で無意味な行動です)”← 2スト4スト共通の事項で

実に愚かな行為です。


これもいわゆる衝撃映像かも!?

ここ最近電極が細いタイプのプラグがやたら付いたエンジンが入ってきます、ウチに入るものは勿論オーバーホールや

チューニングで入ってきますがノーマルエンジンが多いです。今まで来店した方には口頭で伝えてきましたが耐え切れず

ここに書かせていただきます。(商品の名前は勿論言えませんが・・・)

上の映像がベストの燃焼状態のバルブ焼けです、インレットは吸入混合ガスで冷やされやや黒っぽくなります。

エキゾーストバルブは燃焼した高温ガスで焼けて薄茶色になります、一般市販車は燃焼温度を下げる為とトルクを

出す為 やや濃いぐらいになっています。しかしMD30が出てからは混合気を薄くする事で燃焼温度を上げ有害ガスが

出にくいようセッティングされています。ノーマルプラグを使っている場合上図のエキゾーストバルブのようにインレットも

薄茶色に焼けるのが通常で カラッカラ状態です。ここで言いたいのは電極が細いプラグを使ったらどうなるのかです。

この映像がそのプラグを使ったもので これに限らずほとんどの4ストに言える事です。着火が悪くくすぶっているのです。

このプラグに変えて始動性が上がったとか、トルクが増したとか、加速が良くなったなどと聞きますが 気のせいです。

すべてはこの燃焼室が物語っているのです。プラグの碍子にも色が付きにくいし 通常の目安にもなりません。

昔 似たようなVプラグがありましたが2ストにはテキメンの効果が有りましたが4ストには少しのメリットも有りません、

これが常識でした。ただ火の飛び位置が安定しているだけの事でその火は極細いのです、増してや4ストは2ストと違い

圧縮が高いのでなお更です。ただし圧縮が12以上のものにはこのタイプが向いていますが・・・その場合のお勧めは

NGKなどでレーシングプラグ#10番と言うカテゴリーがありますのでそれがお進めです。

チョッと前に 250のインライン4ロードバイクの純正で付いていたものがありますが 不思議でなりませんでしたが謎は解け

ました。それはこのプラグを付ける事で排気ガス対策が出来るからです。通常のセッティングであれば上の映像のように

くすぶってしまうのですが 綺麗に焼くためにはジェット類を薄くしなければなりません。このプラグを採用する事で

AIシステムと同様の効果が得られるのです。この手のプラグは4ストにはデメリットはあってもメリットは無いのが

現実です。

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