1986年 XR600R E/G 修理依頼

先日 関東方面のユーザーさんから修理依頼があった。

最近ツインキャブXR600Rを気に入って乗っていたら 突然シフトが入ってながらニュートラルになったらしい。

そして何処にギアを入れてもエンジンは回転は上がるが駆動がタイヤに伝わらない。

よく見てみるとフロントスプロケットが付いているカウンターシャフト(ドライブシャフト)のスプラインが

ズルズルに舐めた状態になっているそうだ。勿論31年前のパーツなんてとっくに生廃になっている。

気に入って乗っていただけに弱り果てていたところ ユーザーさんのブレーンから「XRならヴァイタルに

相談してみたら?」と言われウチを知ったようだ。

連絡が入った時に治るかどうかは50/50で あとは現物を見てみないと分からなかった。

ユーザーさんは思い立った時の行動は早く数日後にはエンジンを持って来店した。

私には治せるという根拠の無い一筋の光りが見えていた。

オーバーホールを兼ねた修理の依頼であったが詳細は開けてからと言う事でひとまず引き受けた。

まず分かっている事はピストンのオーバーサイズは生廃、カムスプロケット&チェーン ⇒ 生廃

それにカムシャフトはおそらく巣が出ているだろう、オーバーホールに必要な主力のパーツはメーカーには無い。


エンジンを開けてみた。すると意外だったのはカムシャフトとロッカーアームが非常に綺麗であった。

ピストン&リング シリンダーはヘタっていて圧縮は著しく低下、オイルも結構上がっている。

腰下に移るとクランクケース、クランクはまったくヘタっていないが5速メインシャフトギアが虫食いに。

想定外だがツインキャブのミッションとシングルキャブのミッションは明らかに品番は異なる。

まずはドライブシャフトだが新型が合うかどうかは現物を目の前にしてみないと分からない。

取って合わなければウチのデッドストックとなる、普通の店なら諦めるだろうなぁ〜と思う。

もし合わなければ次々と新型のミッションに変更しなければならない。それも1枚でもギアが生廃であれば

取ったパーツはすべてパア ユーザーさんには請求出来ない、販売店にとってはすごいリスクがある。

詳細は細かく書きませんが新型のドライブシャフトに無事入替え出来 5速メインシャフトギアも流用出来た。

折角なのでクランクセンター出し&ベアリング交換、クラッチも焼けていたので入替え。

ピストンのオーバーサイズ、カムチェーンも入手、カムスプロケットもウチの秘蔵パーツを使った。

カムも良い状態を維持する為にWPC加工を施した。

こうして無事 31年前のXR600Rは通常オーバーホールもクリアし新車に近い状態まで

仕上げる事が出来た。

一か八か 綱渡りの状況もあったがこの状況をユーザーさんは正しく理解されているのか

直せて当たり前ぐらいに思われても困るんだけどなぁ〜。

末永く乗って欲しいものだ。

------------ At a later date -----------

エンジンを載せてやっと乗れるようになったとユーザーさんから連絡があった。

やっぱ ツインキャブ600 カッコええわ〜


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