XR600R エンジンオーバーホール


北の大地よりXR600Rのエンジンオーバーホールの依頼があった。

走行距離10万キロオーバー、今回で初オーバーホールと言う事だ。

もともとフロントスプロケットのシャフト側 スプラインが減っているとの事で

全バラ前提だ。

早速バラしてみよう。


ロッカーアームフェイス面に要所要所剥れが見られる。


お約束 カムシャフト排気側に消耗が見られ 巣が出ている。


カーボンの堆積もさることながらバルブにオイル下がりの痕跡が・・・


ピストンリングの凹み摩耗もきつく ピストン首振りも著しい


燃焼ガスの吹き抜けもココまで来ればオイル上がりでオイルがカーボンに染み込みソレが燃え無くなってゆく。
ピストンサイドは最初ガスの吹き抜けでカーボンが付着するがクリアランスが大きくなりピストンの首振りが
大きくなり擦れカーボンが剥れてゆく(ピストン前後の上下に擦れキズが・・・)。それでシリンダーに引きずり傷が付く。



3速ギア全体に摩滅消耗が・・・ そしてスプラインの摩耗。
スプラインを傷める主な原因は純正以外の社外品の装着によるものが多い、クリアランスが甘いからだ。


流石にクランク大端に横ガタが・・・

総評として10万キロ初オーバーホールにしては非常に程度が良かった、それは大排気量の成せる技であろう。

大きな排気量は極低速でも充分トルクもあり回さなくても充分走る、ソレに加えオーナーさんの走りも相当

ジェントルな扱い方だと想像出来る、走っても走らなくてもかなり短いスタンスでオイル交換もされていたようだ。

しかし痛むところは例外なく距離に応じて来ますので安心してもらっては困ります。

------------ and -----------

修理に着手

内容はオーナーさんと相談の上下記↓に実施してゆきます。

基本はノーマルベースのロングライフ仕様です。


クランクのガタは大きさにもよりますが一度だけなら修正が可能 同時にセンター出しを実施。


ベアリング全交換


ミッション組替え後 クランクケース内組み込み完了


強化オイルポンプ GHA加工アルミクラッチ 強化カムチェーン組み込み
勿論 定期交換部品は入替え済み パルサーのクリアランス調整、ミッション作動確認も忘れずに


クランク、コンロッドの位置関係を確認


ピストンは純正ワンオーバーに上下スリット加工(どんな加工より確実に効果あり)
シリンダーには超細密ボーリングに規定のクリアランス。




バルブすり合わせも長耐ち仕様に ガイドのクリアランスも測定確認。


バルブスプリングも馴染み作業を行う、この作業によりバルブクリアランスが変化し難い。

ヘッド組み込み完了



オートデコンプ機構を削除するついでにカムスプロケットホルダーも軽量タイプに変更。


オイルポート加工やもろもろも同時に実施 これらの作業で大幅な吐出量アップ


オートデコンプ機構削除によりロッカーアーム軽量を兼ねて要らない部分を削除


シリンダーヘッドまで組み込み完了


ロッカーアーム シャフトを新品に入替え バルブクリアランス調整後 組込み作業終了。

以上。


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