‘81XR500R  あるユーザーの修理依頼

私の影響?で関東のユーザーさんが感化を受け ‘81XR500Rをアメリカから輸入した。

もともと熱狂的なXL250Rパリダカのファンでウチに来られました、丁度壁に雑誌のコピーで

ホンダメモリアルホールのパリダカの記事を貼っていた。コレに限りなく近づけたいと言う話から

ホンモノは‘82XR500Rをベースに作られたもの XLはいくらやってもXL、根本的にXRとは違う。

‘81XR500Rのプロモーションビデオや純正カタログなどを見せて話は終わった。東京に帰って

フツフツと思うところがあったようでXL250Rパリダカを転売し本格的に‘81XR500Rを捜し始めた。

どれだけの時間が経ったか忘れたが綺麗なモノが出たので見て欲しいと言う事で映像を見た。

ソレがコレだ。↓


比較的五体満足のようであとは細々自分で直せば良いんじゃないかと言う事でGOサインを出した。

そして数ヶ月を要し手に入れココ京都に送ってきた、ボチボチ作業に取り掛かろうとした時に連絡が

入り「もっと綺麗なモノが出た」と。送ってきたものはすぐに売り綺麗なモノをGetしたいと言う事だった。

オークションにて売れたので落札者に引渡し 新たな‘81XR500Rを待つ事になった。

その綺麗な‘81XR500Rの米からの映像がコレだ。↓



コレは綺麗だ、良くこんなのが残っていたものだ 流石本場アメリカ!

またまた数ヵ月後オーナーの手元に渡り ココへ来たわけです。

私が入庫時現車の取った映像がコレだ。↓


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=依頼=

まず ・電装の充実化 ・ヘッドカバーのオイル漏れ修理 ・タンクボルトボケ修理 ・フロントフォーク交換

あとはお任せ。

電装の充実化:ノーマルは6Vで コレを12Vのバッテリーレス あわよくばヘッドライトの大容量化を実施したい。
          勿論すべてXR純正パーツで構成し イメージを崩さない。

ヘッドカバーのオイル漏れ:このタイプのエンジンは必ずと言っていいほどヘッドカバーからオイルが漏れる。
                 例の3本のボルトを対策に入替え。

タンクボルトボケ:フレーム側の雌ネジではなくボルトの方らしい、このボルトはメーカーのスペシャルボルトなので
           最悪作らなければならないかもしれない。

フロントフォーク交換:私の‘81XR250RにФ43CRフォークが入っているのを見て変えたいと思ったようだ。
             コレも個別に捜して‘82CR480Rのものを送ってきた。

お任せ:電装もお任せの構想だがあとはリアショックが抜けているのでオーバーホールの実施。

     エンジン両サイドのカバーの色剥げ エキパイ&マフラーの化粧直し。

     チェーンローラーのベアリング化×2箇所。

     リアスプロケットが48Tの純正が入っているので街中では乗りにくい、増してや引取りは乗って帰るそうなので
     ノーマルは温存し41Tスチールを入替える。

     ハンドルが外品が入っているので気に入らない、田口コレクションを分けて付ける事にした。

     
このイメージを崩さないように↑上記の事柄を満足させる。

------------ next ----------- 

=実車検証=

車検が取れている割にはおかしな事が・・・ メインキーが付いていない、メーター照明球も無い、

リアブレーキスイッチも無い、このヘッドライト(昼行灯)で通るわけが無い、施錠装置も無い、

リフレクターも無い、マフラーサイレンサーも無い(爆音)。指定工場で取ったに違い無さそうだ。

=修理着手=

まずは電装 ユーザーさんに米よりXL−R系のステータコイル&フライホイルを調達持参してもらい

根っこの発電系は準備していた。しかしコレはライト・ウィンカー・ホーン・ストップなどすべての電源を

1系統で賄うのでウィンカーやストップが点く度にライトが暗くなるのが欠点だ。ライトも何W出るか

やってみないと分からない。


上映像↑:ノーマル6Vの発電系

ココでコイルを入替える前に分かった事が最新の保安系2系統のコイル↓が使える事が分かった。

この事でライトレンズの規格次第だがH4のバルブ(45W以上)が使えるようになる。


フライホイルを入替える時 奥のバランサーチェーンの弛みを見なければならない。

やはり弛んでいたので張らなければならない、調整はクラッチカバー側を開けなければならないのだ。

両カバーの塗装もあったので丁度良い。


の部分を緩めチェーンを張る、元が中位置だったのでそれほど使われていない程度が良いエンジンのようだ。

コレも幸いな事にガスケットキットBがメーカーラスイチ(生廃)だった為助かった。


エンジン両カバー 並びに排気系を純正耐熱スプレーで塗装しておいた。

耐熱塗料は熱を入れて初めて硬化するのでこの夏日まるまる二日間天日に干してカッチカチにしておいた。

耐熱塗料も昔から色々試したが純正スプレーが一番耐ちが良かったのでコレを使用。


そうしているうちにリアショックのオーバーホールも出来上がってきた。

=フロントサスペンション=

前述のように持ち込まれたのは‘82CR480Rのフォーク&三つ又だった。流石にオイル漏れを起こしている。

オイルシールの在庫をメーカーで見ても流石に生廃、何故か‘83のモノがあった。取り寄せてみるが外径が

合わない。オイルシール1ヶの為にフォーク入替えを断念しなければならないのか?!

店の在庫のフォークをノギスで測りまくっていると「ん!使えるかも」と言う候補が2種類出てきた。

試しに取ってみた、するとビンゴ!まるで誂えたようだ、これでフォークが付けれる。

=意外なところに落とし穴=

前後サスも準備万端 取り付けに掛かるが「うっそ〜」 前後アクスルシャフトがビクとも動かない。

見た目は綺麗だが錆び付いているようだ、MD30のスィングアームシャフトを思い出した。

しかし力技でやるとシャフトの予備は無い。地道に行くしかない、結局二日掛けて無事外す事が出来た。



リアスプロケット チェーンローラーをベアリング入りの物に入替え、アンダーガードの凹みを修正。



‘82CR480Rの三つ又にメーターステー ライトカウルステーの取り付け穴を施工


フロントウィンカーを配し メインキーステーを製作、メーターを取り付けた。
この時に気付いたのがメーターの照明球が付いていない事だった、勿論純正パーツを取り配した。
このステーは本体に加工する事無く取り付け出来るよう作った。
そして田口コレクションのXR純正ブラックハンドル。



ココもこだわりで作った部分、純正テール(ナンバー灯付) 極力フェンダーを加工する事無く取り付け出来るように。

ナンバーのビビリ止め、車検対応のリフレクターは必須アイテム。

リアウィンカー サイレンサーも取り付け。

------------ next -----------

32年経った今だからノーマルに忠実に再現させる事が最大のポイントだと思う。





各ラベル類は定位置に必須


‘81ならではの特徴


リアショックサブタンクはフィン付き&コーションラベル


エキパイボルトは焼付き防止の為袋ナットに変更、ジョイントカラーも新品に



‘81はすべて樹脂チェーンローラー式で走るとうるさい ゴムローラー&ベアリング入に2箇所変更


付いていなかったリアブレーキスイッチを新設


ノーマルアルミ48Tからスチール41Tに変更 無論チェーンはT-リングチェーン装備予定


サイドスタンドも化粧直し

使えそうなR-119フロントフェンダ

------------ Related to the previous -----------

ユーザーからの依頼の中にヘッドカバーからのオイル漏れがあった。

開けて見ると各ボルトに緩みボケは無く どうやら液体パッキンの塗付が薄かっただけのようであった。

カムの巣も無く ロッカーアームも新品のようだ、本当に乗っていない車両のようだ。

500は250系と違いスタッドボルトの閉め代はすべて均一で対策しなくて良い。

念の為 雌ネジにタップを立てねじ山を整え かじり防止のグリスを塗付の上緩み止めの平ワッシャを

入れておく。液体ガスケットは超耐熱耐圧のブラックシーラーを使用、良くグレーやえび茶色の

液体ガスケットが使われているものを見るがスマートでなく じじくさい。

勿論タペット調整もやり直す 広かったので適正クリアランスに設定。

------------ next -----------

次に電装系のレイアウトに着手

XR純正ハーネスをほぐし エンジン始動、保安系が作動するようにとりあえず結線。



新しい高進角特性を持つC.D.Iに変更する為 各ユニットの位置を決める。

エンジン始動 キック1発で心地良く掛かった、久々に聞く500らしいいい音だ、エンジンも静か。

本当に程度が良いエンジンだ。ひとまずはノーマルライトマスクを使う為PH7の35W/36.5の

ハロゲン球に差し替え。別電源(本来は55Wのヘッドライト用)は結線せず温存。

これで電装は今のXRと同じ機能を持たせる事が出来た。

そしてハーネスを車体に合わせまとめレイアウトに入る。


すべての外装を取り付け 完成!






どうよ このド迫力 やっぱホンマモンは違うわ。

------------ Icing on the cake -----------

この当時のフロントフェンダーにホンダファクトリーでは雨天時に備え

オーバーフェンダーとスタビライザーが装備されていた。

XL系のオプションパーツでもアクセサリーとして販売された。

ファクトリーと初期のアクセサリーでは白ではなく 乳濁色を採用していた。


レア品だ。

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それとコレを知っている方はなかなかの猛者だと思います。


今のオフ車と違い当時のマシンはタンクとシートは‘81XRのようにくっきりと分かれていた。

フロント荷重にする為にタンクの上に座る事があり上映像↑のようにタンクにパットがファクトリーマシンには

張ってあった、当時のカワサキやホンダのタンクはFRP製でパシフィックオーバーシズが製作。

上映像↑のようなウレタンパットが張られていて 非常にカッコ良かった。

完結

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H26 2月2日社長室にも書きましたようにユーザーさんの諸事情で売りに出す事になりました。

↑上記内容を見て頂ければどれだけの車両かは言うまでも無いでしょう。

これだけの上物装備品はないと思います。墓まで持っていく覚悟のある方に渡って欲しいものです。

¥1.280.000‐(税別) ⇒ =売約済=

分からないことがあれば連絡下さい。


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