ある日 電話が掛かってきた、「オークションでFTR250を買ったのだがキックが壊れていて その修理とオーバーホール、

チューニングなどをやって欲しい。永年欲しかったのでお金が掛かっても構わない」と言う趣旨の内容だった。

私は「現状見ないと分からないけれど直せると思いますよ」と言う事で出品者のところから直で店まで送ってもらう事となった。

落札者は中部地区 出展者は関東、落札者から出展者へその趣旨を伝えると出展者から直接ウチに電話が入った。

「FTRの修理が出来るのですか?以前からホームページは見ていて何かあればお世話になろうと思っていた。キックギアが

欠けて修理を頼もうと思っていたらホームページで通販でのエンジン修理は中止したと書いてあったので“生命線は

絶たれた”と思い やもなくオークションに売りに出した」とのことだった。まさに電話一本の行動力が明暗を分けたのでした。

「またFTR250を買ってオーバーホールやチューニングを依頼するのでその時はよろしくお願いします」と言うことだった。

気持ちは分かるのだが しかし このような買い戻す事例は少なくなく 買い戻した試しはまず無い。

入ってきたFTR250を依頼通りの修理&チューニングを行い ユーザーさんは乗って帰られました。後にフロントの

ディスクが歪んでいたらしく 以前製作したアタッチメントの話もしていた、その製作の依頼が来たので一ヶ月の納期を

もらった。出来上がった時にユーザーさんに連絡しなくては と 思っていた時に一本の電話が入った。

「以前FTRを手放した者ですが あれからオークションで探してやっと見つけたのですが意外と高額で泣く泣く決めました。

出展者に連絡を取ったところ なんと私が以前オークションで売った人だったのです」 

情熱はホンモノだった (脱帽)

私は「え〜 もう以前のオーナーさんは売ったの〜」 買値を聞くと前オーナーがFTRに掛けた金額と同じだったので

「逆に得したんじゃないの フレームも塗り替えられ タンク・シートも美品に変わりエンジンもフルオーバーホール

されている」 出展品を見て元自分のだとは気がつかないほど綺麗に変わっていた。

またFTR250GにありがちなのがエアクリーナーBOXが無いのがほとんど。

コレは百害あって一利なし 特にRFVCエンジン特有の低速のレスポンスや全般のトルクが落ちるのだ。

前オーナーにもオークションなどで出ていれば必ずGetしておいて下さいと言っていた。

コレも揃えたようでパーツで付いてきたとの事、希少なパーツだけに実にラッキーだ。

しかし 前オーナーはなんで売ったのかと聞くと「キックがしんどかった」らしい。あれほど

欲しくて欲しくてやっと手に入り お金を掛けたFTRが“キックがしんどい”と言うだけでいともたやすく売ってしまうとは・・・

情けない トホホ・・・

しかしもとのユーザーさんに帰ってきたのは幸いだった、こんな話があるんですねぇ〜


後日 手元に来たFTR250Gを乗っていくうちもう一つパンチ力が欲しいと思われたらしくPJキャブの相談があった。

キャブの通販を止めているとの主旨を言うと以前扱った事があるようなので通販を承諾、しかし思ったとおりインマニが

カチカチでキャブが付かないようだ。FTRのインマニはすでに生廃・・・ 作るには現車が要る。同時にマフラーの

話しも出たので逸品“Powerd Muffler Mk.W”を加工で取り付け出来る事を伝えると現車を送ってくれることになった。

FTR250Gのキックはギア比もあるが踏み降ろすストロークがXR系に比べ短いので“ケッチン”や始動性が落ちる。

マニュアルデコンプを装着すればグッと楽になるので「PJキャブ&インマニ製作」「Powerd Muffler Mk.Wマフラー取り付け」

「マニュアルデコンプ取り付け」以上3点の依頼を受けることになった。

そしてそれらが完成


完成 全景


ワンオフ インマニ製作 & PJキャブ



マニュアルデコンプ取り付け



Powerd Muffler Mk.W取り付け加工


只今 慣らし中


随分前から言っている事だが これからの時代 お気に入りのマシンをジックリ磨いていく時が来た。

今後10年は我がヴァイタルが思う“良いバイク”は出てこないだろう。

ちびちびとお金が掛かりますが自分のペースで仕上げていけば良いと思います。

決して新型のバイクに引けを取る事無く 

逆に後塵を浴びせるシーンはユーザーのみが味わえる醍醐味だと思います。

かねがねバイク乗りは「オンリーワン」傾向が強く ヒトとは違ったモノを欲しがります。

“走り”という実力をもったオンリーワンバイクを作るのはいつ作るのですか?

部品が何とかなる 今でしょ!


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