1998年頃 RVS400R INTERCEPTER TYPE-R(XR400R)を開発途中でチタンバルブを
実用化しようと思い 試作&装着そしてテスト走行まで行ったが強度・耐久性・構造的な問題で
暗礁に乗り上げ断念した経緯がある。
話は1989年に遡るがXR600Rベースのロードレーサーを手掛けていた頃
米国に社外品レース用パーツとしてチタンバルブが販売されていると言う事を聞いた。
当時セットで250cc1台分のオーバーホール代ほどの金額であったのとバルブ周りの
軽量化でどれだけの効果があるかを経験していなかったので軽んじていたこともある。
バルブにそれだけの経費を掛けるぐらいであれば他のメニューがどれだけ投入出来るか・・・
そんな事で話はスルーしていまいました。今や市販レーサーでは当たり前だがバルブだけの
効果は垣間見る事は出来ない。
昨年だろうか ウチの身内が激安で本国からそのXR600R用チタンバルブを手に入れることが出来た。
F-1などのメーカーからオーダーを受け ロッド単位で製作する企業のデッドストックにうまく当たったようだ。
現物を見せてもらった。
構成パーツを見ると納得した、ミソはモザイクが入っているパーツだ。
RVS400R INTERCEPTER TYPE-R で断念した症状はバルブとロッカーアームの
接触部分が面で押さえるタイプでなく アールを描く弧で押す為(曲圧が掛かる)バルブの接触部分が
潰れる症状が出るのだ。クルマでもバイクでもチタンバルブ採用車は一応に面で囲う構造で
製作されている、面圧を一定にし分散させる構造なのだ。
CRF-R
RFVCエンジン
ME06からME08に変わった時メーカーが力を入れたのにエンジン動弁系を大幅に軽量してきた。
バルブ径はそのままでシャフト部分を細くすることでトータル重量を抑えてきた、バルブが軽くなった事で
従来のバルブスプリング&リテーナーも小型化が出来る事で大幅なバルブ追従性が向上している。
蛇足だがカムチェーンの巾も細いタイプ(軽量化)に変更され同時にカムスプロケットも薄い物に出来る。
ME08エンジンはME06系RFVCエンジンのまさしく進化版でより一層吹き上がりが速く サージング域も
より一層上に上がっている。しかしオートデコンプ機構やMD30に至ってはリミッターが付けられたせいで
その恩恵は本来のカタチでは体感が出来ないどころかそれ以下のフィーリング。
製作当初 RVS400R INTERCEPTER TYPE-Rで組み チタンバルブの体感には驚いた。
組む時の構想としてはバルブが軽くなった分 バルブスプリングのレートを落とせる事。
チタンリテーナー付強化スプリングのインナーを外し使うパターンか ノーマルスプリングから
インナーを外し使うパターンか 迷ったがリテーナーが軽い分前者をとった。
レーシングだけでも明らかに違うレスポンス、例えればノーマルキャブからPJキャブに入替えた
に近い感覚。しかし前述のような症状が出てRFVC型式ではバルブボルトオンと言うわけには
行かない事を痛感する。バルブを押す部分にチップを摩擦圧接出来れば使えるかなどなど
いろいろ考えたが・・・・ 今に至った。
そして上映像↑のモザイクパーツが入手出来た事でXR400Rのチタンバルブ化が一気に
現実のものになりそうだ。
過去のやり残した宿題がココ最近次々と解消して行く。
最近のバイクユーザー層の中でチューニングという概念が薄れてゆく中
ウチは相反して他のライバルの追随を許さない“地上最強のXR”の名を揺るぎ無いものにしたい
と思う今日この頃でした。
今でも我がホームページに250及び400のチューニングメニューに未記載部門が多いですが
このチタンバルブの市販化は考えておりません。ココまで考えてやっていると言う事だけ知って欲しいのです。
最近はウチが何屋か知らず来られている事例も多く見受けられ 時代の移り変わりを痛感しております。
釈迦に説法状態が情けないです。
ユーザーさんと話をしていると多くの人がチタンと言う材質を誤解されているようです。
同じ容積で比較するとチタンは鉄の2/3の重量でアルミは1/3です。
アルミより軽いと思っているユーザーさんが多い事に驚き呆れます。
=追伸=
今でも“Air Charger System”+MY XR400Rはユーザーインプレでほとんどの方が
「“Air Charger System”要りませんヤン」と良く言われますがコレで“決まり”と言える
上位排気量も充分食える
(レーサーでは食ってきましたが)
モンスターに出来る可能性が
確定出来るアイテムとなりそうだ。
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