=パワーユニット(吸排気系)=
●ブロック
外からの見た目上L20〜28まででブロックの大きさには変化が見られない。しかし シリンダーの内壁の厚さに違いが有り
各ブロックによってシリンダーのボア・アップの限界値が変わってくる。表に挙げた数値は限界値としながらも あくまで
どのシリンダーでもまず間違いなくその数値まで拡大でき しかもチューニングエンジンとして使用に耐える数値を上げた
ものだ。どのシリンダーでもと前置きしたのは 鋳物であるゆえに製品差も大きく あるものは4mmボーリングしても大丈夫
だが あるものは4mmではシリンダー内壁に穴が開くという場合があるためだ。ちなみにL型で最もボアの拡大が可能な
ものはL20でノーマル78mmから83mmと5mmも拡大できる。そのボア拡大は本当の限界値だがシリンダーの肉厚が最も
薄い部分で2mmといったところ。
●カムシャフト
カムシャフトは排気量により違うというよりも排気ガス規制の前後であるとか 始めに搭載されていた車種、ミッションの種類
生産された年代などによって変化している。勿論性能の向上をはかるチューニングであれば それを加工するなり 専用に
削りだされたもの、つまりハイカムを使用するようになる。また輸出用のカムは国内向けのものに比べハイカムであるので
(68度)、それを使う手もある。勿論 L型のカムは受け軸間の距離やカムホルダー、カムスプロケットなどがL20〜28まで
同様なのでどのヘッドでの流用は可能。
●クランク
L型エンジンの優れた部分の1つにL20〜28 強いて言えばLD28までのクランクの受け軸の寸法、シリンダー間のピッチ
がまったく同じというものがある。つまりこれは単純にストロークの違うクランクをどのシリンダーにも組み付けることが出
来る。厳密に言えばストロークが伸びた分 クランクに組み込まれたコンロッドの大端部やクランクウェイトがブロックに
干渉する場合があるのでこの部分は削ってやる。しかしこのことによりL20にLD28のクランクを組み付け可能なのでスト
ロークを69.7mmから83mmのロングストローク化も可能であり、またL28のブロックにL20のクランクを組み付け79mm
から69.7mmのショートストローク化も可能となる。使用目的に応じて4種類のストロークから選ぶ事が出来る。
●コンロッド
ピン上の数値の違うピストンを使ったりストロークの違うクランクを使うL型のチューニング、ブロックのハイトは変化しない
なのでどこかで長さを調整しなければピストンがブロックから突き出したり 逆にトップまで行かなかったりする。それでは
ヘッドが組めなかったり圧縮が低くなり過ぎたり適正化が図れない。ストロークが増大した分ピストンのピン上が短くなって
いればそれぞれ相殺されて問題は解消するがそれが出来ないばあいはコンロッドの長さで調節する事になる。その場合
よく使うのがL14、FJ20などのコンロッドだ。またスタンダードのコンロッドの小端部を偏心加工を施すことで対応も可能
だ。
●ピストン
L型はL型同士でもまた他機種からもピストン流用がやりやすい。ボアアップがチューニングの主流となっているL型だけに
専用のピストンも多く存在する。純正流用の場合バルブリセスを追加加工しなければならないがその分圧縮が下がったり
燃焼効率が下がるデメリットがあるが低価格でしかも純正パーツだけに充分な強度あることに魅力はある。専用ピストンは
パワー&高回転を追及し設計しているだけに純正パーツ流用に比べ形状が大きく異なる。
=L型チューニングメニュー=
※ここで要注意はバイクのピストンを使った場合 良くエンジンブローした話を聞く。ピストン単品はクルマ用のピストンに
比べ非常に軽い、と言うのも特にピストンピン周辺の作りがまったく異なるからである。ピストンは結局車体の総重量を
ひとえに支えていると言っても過言ではなく バイクの重量と比べても比ではない。だから耐つわけが無いのです。
出来るなら避けるべきでしょう。そして中古のピストンを組むなんて程度にもよるが基本的には論外で話にならない。
L28ベースにL24クランクを使い ボアをФ89にする、ショートストロークL28エンジンが出来る。同時に圧縮アップも行えばレスポンスが良く パンチが効いた高回転型のL28エンジンが出来る。このレイアウトが理想的だと思う。
以上の事を踏まえて自分が思うエンジンを作ってみよう。