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5月の日本GPに向けて新しいオーバーフェンダーもこれまで以上に空気抵抗を小さくするものが完成し その準備も佳境に入った。
・車両とエンジンについて全般的に見直した。足回りの見直しでは不等ピッチのコイルスプリングを試作して走行テストを繰り返し、ようやく固まってきた。
S20型とL24型エンジン搭載車の性能比較
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最高出力(ps/rpm) |
最大トルク(kg-m/rpm) |
車両重量K(kg) |
最終ギアレシオ |
ラップタイム |
S20型エンジン搭載車 |
253/8.500 |
21.94/6.800 |
1.020 |
4.875 |
2分02秒37 |
L24型エンジン搭載車 |
236/7.000 |
24.70/6.800 |
1.000 |
4.111 |
2分03秒62 |
※L24型エンジンは最高出力回転数と最大トルク回転数が近く、高速トルク発生型であるのに対し S20型エンジンは中速トルク発生型。
ファイナルギアレシオを考慮した駆動力から判断すると、中速域ではS20型が有利となり、コーナーでの立ち上がりも速い。ストレートでも最高出力差が現れてS20型が有利。L24型の今後の開発計画によると260馬力を目標としており 実現すれば最大出力ではS20型より有利となるが、S20型エンジンも燃焼室改良などによりまだまだ余地を残している。L24型エンジンが必ずしも現時点では優位とは言えないという結果となった。
スカイラインGT‐Rと同様にS20型エンジンを搭載していたフェアレディZ432はL24型エンジンに切り替えてフェアレディ240Zとなる。
S20型排気量アップ構想 この頃ロータリーはM12A型でレシプロ換算で2.292ccに相当する。L24型エンジンの事も有りS20型エンジンを容量増大した場合について検討。シリンダーブロックとヘッドはそのままとし シリンダーライナーの肉厚を薄くする事でボアアップし それに合わせてピストンを新製する計画を構想。2.2リッターエンジンが完成、台上試験結果は無調整で軽く270馬力が得られトルクカーブもフラットとなり非常に期待が持てるエンジンに仕上がる。吸排気のバルブ径増大し充填効率を上げる結果として馬力は上がるがトルクカーブの変動が大きくなり走りにくくなるエンジンになる。燃焼室改良により馬力が上がりトルクがフラットの性能が得られた。こうして得られたデータを組み込んで排気量は上げず燃焼室改良のみで性能向上すべくカムシャフトのオーバーラップとリフトを見直しインジェクションの燃圧変更で レスポンスの良いエンジンに仕上げる事が出来た。これによってコンスタントに260馬力が出るようになり 最高で264馬力が得られた。このエンジンを搭載したGT‐Rが72年10月富士マスターズ250キロのTSレース予選で黒沢が1分59秒70をマークする事が出来た。 |